会計・監査ダイジェスト 会計及び監査を巡る動向 2019年8月号

会計・監査ダイジェストは、日本基準、国際基準、修正国際基準及び米国基準の会計及び監査の主な動向についての概要を記載したものです。

会計・監査ダイジェストは、日本基準、国際基準、修正国際基準及び米国基準の会計及び監査の主な動向についての概要を記載したものです。

1.日本基準

新たな基準・公開草案等の公表として、今月、特にお知らせする事項はありません。
 
日本基準についての詳細な情報、過去情報はあずさ監査法人のウェブサイト(日本基準)

 

2.国際基準

会計基準等の公表(国際会計基準審議会(IASB)、IFRS解釈指針委員会)

【公開草案】
IASB、公開草案(ED/2019/6)「会計方針の開示(IAS第1号及びIFRS実務記述書第2号の改訂案)」を公表(2019年8月1日)

財務諸表利用者を含む利害関係者からIASBに対して、「会計方針の開示が有用ではない主な原因は、会計方針に重要性の概念を適用することが難しいためである。会計方針に重要性があるかどうかを判断するためのガイダンスをIASBが作れば有用であろう。」との意見が寄せられていた。
本公開草案は下記を目的として、IAS第1号「財務諸表の表示」及びIFRS実務記述書第2号「重要性の判断の行使」の改訂を提案している。なお、IFRS実務記述書第2号は強制力のないガイダンスである。

  • 財務諸表の主要な利用者にとって重要性のある情報を提供するすべての会計方針を企業が特定し、開示するために役立つ。
  • 企業が重要性のない会計方針を特定し、それらを財務諸表から取り除くために役立つ。

改訂提案の内容は以下のとおりである。

  1. IAS第1号第117項で使用されている表現「重要な(significant)」を「重要性がある(material)」に置き換え、会計方針における「重要性がある(material)」の概念を記述する。
  2. 新設するIAS第1号第117A項において、
    (1)「重要性のない取引その他の事象又は状況に関連する会計方針は、それ自体に重要性がないため開示する必要はない」旨
    (2)「重要性のある取引その他の事象又は状況に関連する会計方針の全てに重要性があるとは限らない」旨
    を明確化する。
  3. 新設するIAS第1号第117B項において、会計方針が財務諸表にとって重要性があると考えられる可能性が高い場合を例示している。
  4. 新設するIAS第1号第117C項において、「企業がIFRS基準の規定を自社の状況にどのように適用したかに焦点を当てた会計方針に関する情報は、財務諸表の利用者に有用な企業特有の情報を提供する」旨を明確化する。
  5. 新設するIAS第1号第117D項において、「企業が会計方針に重要性がないと結論付けた場合であっても、IFRS基準で要求されるその他の情報に重要性があるのであれば、企業はそれらの情報を開示しなければならない。」旨を明確化する。
  6. 会計方針の開示について意思決定する際に重要性の概念がどのように適用されうるかを説明するため、IFRS実務記述書第2号に次の2つの設例を追加する。
    設例S - 定型的な会計方針の開示を避け、重要性に関する判断を行い、企業に特有の情報に焦点を当てた
    設例T - IFRS基準の規定を書き写していただけの会計方針に重要性の判断を適用した
  7. 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。早期適用する企業は、その旨を開示しなければならない。
    コメントの締切りは2019年11月29日である。

    あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年8月7日発行)

    IFRSについての詳細な情報、過去情報はあずさ監査法人のウェブサイト(IFRS)


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3.修正国際基準

新たな基準・公開草案等の公表として、今月、特にお知らせする事項はありません。

修正国際基準についての詳細な情報、過去情報はあずさ監査法人のウェブサイト(修正国際基準)

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4.米国基準

会計基準等の公表(米国財務会計基準審議会(FASB))

【公開草案(会計基準更新書案(ASU案))】
(1)ASU案「金融商品-信用損失(トピック326)、デリバティブ及びヘッジ(トピック815)並びにリース(トピック842):適用日」の公表(2019年8月15日 FASB)

米国基準では近年主要なASUの公表が相次いでおり、中小規模の企業を中心にリソース不足その他の課題が顕在化している。これに対応するため、本ASU案は、以下のASUについて、一部の企業の適用日を見直すことを提案するものである。

上記は、企業を2つのグループに分け、小規模登録企業を除くSEC登録企業の新ASUの適用時期とそれ以外の企業との間に原則として2年以上の間隔を設けるとの基本的な考え方を提唱するものである。ただし、早期適用はすべての企業について認めることが提案されている。

この公開草案の内容で確定した場合、日本基準適用企業においても、米国等に重要な在外子会社がある場合には、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」を通じての影響が想定される。
コメントの締切りは2019年9月16日である。

【あずさ監査法人の関連資料】Defining issues(英語)

(2)ASU案「金融サービス - 保険(トピック944):適用日」の公表(2019年8月21日 FASB)

本ASU案は、ASU第2018-12号「金融サービス - 保険(トピック944):長期保険契約の改訂」の適用開始日を延期することを提案している。提案に当たっては、上記(1)で提案されている基本的な考え方が適用されている。ASU第2018-12号の早期適用は引き続き認めることが提案されている。

変更前のASU第2018-12号の適用時期 本ASU案で提案されているASU第2018-12号の適用時期
公開の営利企業 2020年12月16日以降開始する事業年度及びその期中期間 SEC登録企業(小規模登録企業を除く) 2021年12月16日以降開始する事業年度及びその期中期間
それ以外の企業 2021年12月16日以降開始する事業年度末(期中期間については2022年12月16日以降開始する事業年度から) それ以外の企業 2023年12月16日以降開始する事業年度末(期中期間については2024年12月16日以降開始する事業年度から)

 

コメントの締切りは2019年9月20日である。

【あずさ監査法人の関連資料】Defining issues(英語)

監査関連

PCAOB、監査基準の改訂に関するスタッフ・ガイダンスを公表

米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)は2019年8月22日、最近公表された監査基準の改訂に関連して、以下のスタッフ・ガイダンス(以下、「本ガイダンス」)を公表した。

  • 「会計上の見積りの監査」
  • 「金融商品の公正価値の監査」
  • 「監査人の専門家の業務の監視又は利用」
  • 「会社の専門家の業務の利用」

ガイダンスは、2018年12月20日にPCAOBより公表されたAS2501「会計上の見積り(公正価値測定を含む。)の監査」、AS1105「監査証拠」、AS1210「監査人が契約(engage)した専門家の業務の利用」や関連する基準に対する改訂のうち、重要な点をハイライトするものである。
なお、これらの監査基準は、2020年12月15日以降に終了する事業年度に係る財務諸表監査から適用される。

米国基準についての詳細な情報、過去情報はあずさ監査法人のウェブサイト(米国基準)


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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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