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      ハイライト

      • 本会計基準等の公表の経緯
      • 本会計基準等の概要
      • 本補足文書

      この記事は、「旬刊経理情報(中央経済社発行)2026年6月20日号(通巻No.1779)」に掲載したものです。発行元である中央経済社の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

      ※WEB上の機能制限により レイアウトや箇条書きの表示など 原稿とは異なる場合があります。ご了承ください。


      この章のエッセンス

      • 期中会計基準等は中間会計基準と四半期会計基準を統合した会計基準等である。
      • 上場会社(特定事業会社を除く。)においては、金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等ならびに金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期および第3四半期の四半期財務諸表に期中会計基準等が適用される。
      • 企業の報告の頻度によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとする原則が採用されているが、有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法については期中洗替え法を原則としつつ、例外的に期中切放し法の適用が認められる。
      • 本会計基準等は2026年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の最初の期中会計期間から適用され、早期適用の定めはない。

      はじめに

      2025年10月16日に、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という)から、企業会計基準37号「期中財務諸表に関する会計基準」(以下「期中会計基準」という)および企業会計基準適用指針34号「期中財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下「期中適用指針」という。また、以下、期中会計基準と合わせて「期中会計基準等」という)、企業会計基準第38号「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正」(以下「中間作成基準等の一部改正」という)ならびに関連する企業会計基準および企業会計基準適用指針の改正(以下、期中会計基準等および中間作成基準等の一部改正と合わせて「本会計基準等」という)が公表された。また、あわせて、補足文書「実務対応報告及び移管指針において定めている期中の取扱い」 (以下「本補足文書」という)が公表された。

      なお、金融商品取引所から2026年4月1日以後開始する事業年度または連結会計年度の最初の四半期会計期間または四半期連結会計期間から適用される「四半期財務諸表等の作成基準」(有価証券上場規程施行規則 別添9)が公表されており、同作成基準第4条(1)では、上場会社は四半期財務諸表等(四半期財務諸表および四半期連結財務諸表等または四半期累計期間に係る財務書類)および注記を作成するにあたり、期中会計基準に準拠すべきことが定められている。また、財務諸表等規則等についても所要の改正が行われているが、当該改正は期中会計基準等の公表を受けたものである。

      そこで、本章では、本会計基準等および本補足文書の概要および本会計基準等が適用される2026年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の四半期決算における留意点を解説する。

      なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。


      本会計基準等の公表の経緯

      ASBJが企業会計基準33号「中間財務諸表に関する会計基準」(以下「企業会計基準33号」という)および企業会計基準適用指針32号「中間財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下「企業会計基準適用指針32号」という。また、以下、企業会計基準33号と企業会計基準適用指針32号を合わせて「企業会計基準33号等」という)の検討に行うにあたり、ASBJには上場会社および財務諸表利用者から中間決算と四半期決算は同じ会計基準等に基づいて行うべきであるとの意見が聞かれていたことから、企業会計基準公開草案80号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等の公表時に、今後の基準開発の方向性として企業会計基準33号等と企業会計基準12号「四半期財務諸表に関する会計基準」および企業会計基準適用指針14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下、合わせて「企業会計基準12号等」という)を統合した会計基準等の開発を行うかについて意見を募集した。

      ASBJに寄せられた意見では、中間決算と四半期決算で同じ会計基準等に基づき決算ができるようにするという方向性については反対していないと考えられた。そのため、ASBJにおいて企業会計基準33号等と企業会計基準12号等を統合した会計基準等の開発が進められ、本会計基準等が公表されるに至った。


      本会計基準等の概要

      (1) 本会計基準等の適用範囲

      期中会計基準等では、年度より短い期間の企業集団または企業の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況について報告するために期中財務諸表を作成する場合に適用することとされている(期中会計基準3項)。期中会計基準等の適用対象となる期中財務諸表には、金融商品取引法に基づく半期報告書において開示される「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という)1条1項2号に規定する第一種中間連結財務諸表および「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下連結財務諸表規則と合わせて「財務諸表等規則等」という)1条1項2号に規定する第一種中間財務諸表(以下、合わせて「第一種中間財務諸表等」という)が含まれる(期中会計基準BC21項)。

      以下では、①上場会社(特定事業会社を除く)と②上場特定事業会社に分けて適用対象となる会計基準を説明する(図表1参照)

      ① 上場会社(特定事業会社を除く)

      金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等ならびに金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期および第3四半期の四半期財務諸表(四半期連結財務諸表および四半期個別財務諸表)には期中会計基準等を適用することになる。

      ② 上場特定事業会社

      金融商品取引法に基づく半期報告書において開示される第二種中間連結財務諸表および第二種中間財務諸表(以下合わせて「第二種中間財務諸表等」という)については、従前より「中間連結財務諸表作成基準」、「中間連結財務諸表作成基準注解」、「中間財務諸表作成基準」および「中間財務諸表作成基準注解」(以下合わせて「中間作成基準等」という)が適用されており、中間作成基準等および中間作成基準等の一部改正が適用される(期中会計基準3項)。このため、期中会計基準等の適用対象となる期中財務諸表には、第二種中間財務諸表等が含まれない。

      以上より、金融商品取引法に基づく第二種中間財務諸表等に中間作成基準等および中間作成基準等の一部改正が適用され、金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期および第3四半期の四半期財務諸表に期中会計基準等を適用することになる。

      (図表1)期中会計基準等および中間作成基準等(中間作成基準等の一部改正を含む)の適用のイメージ

      対象会社

      開示対象

      開示書類

      適用対象となる会計基準

      ①上場会社
      (特定事業会社を除く)

      1Qおよび3Q

      四半期決算短信

      期中会計基準等

      中間(2Q)

      半期報告書および四半期決算短信

      ①上場特定事業会社(※)

      1Qおよび3Q

      四半期決算短信

      期中会計基準等

      中間(2Q)

      半期報告書および四半期決算短信

      中間作成基準等
      (中間作成基準等の一部改正を含む)

      (※)企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)第18条第2項に定める事業(銀行業や保険業等)を行う会社

      (出所)ASBJ研究員による解説文『企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」等の概要』をもとに筆者作成

       

      (2)中間作成基準等の一部改正

      中間作成基準等の一部改正により、中間作成基準等の適用対象となる中間連結財務諸表および中間財務諸表が第二種中間連結財務諸表および第二種中間財務諸表であることが明確化された。また、他の企業会計基準および企業会計基準適用指針における中間連結財務諸表および中間財務諸表の取扱いについては、期中会計基準等との整合性を考慮し、第二種中間連結財務諸表および第二種中間財務諸表の取扱いとして、内容を維持したまま中間作成基準等に取り込まれた。

       

      (3) 期中会計基準等の検討の前提

      期中会計基準等は、金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と、金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期および第3四半期の四半期財務諸表の両方に適用可能となるように、企業会計基準33号等と企業会計基準12号等を統合することを目的としているため、次のことを前提としている(期中会計基準BC13項)。

      ① 改正後の金融商品取引法に基づく半期報告書制度に適用できるように、期首から6カ月間を1つの会計期間(中間会計期間)として作成する第一種中間財務諸表等に適用可能な会計処理を定めることを原則とする。

      ② 企業会計基準適用指針32号の経過措置は、金融商品取引法等の一部改正法の成立日から施行日までの期間が短期間であることを理由に定めていたが、短期的な取扱いであるため経過措置としてそのまま残すことは困難であることから、個別に検討を行う。

       

      (4)期中会計基準等によって企業会計基準12号等から変更された取扱い

      金融商品取引法改正後の上場会社(上場特定事業会社を除く)においては、期首から6カ月間を1つの会計期間(中間会計期間)として第一種中間財務諸表等を作成した場合と、企業会計基準12号等に従い第1四半期決算を前提に第2四半期の会計処理を行った場合とで差異が生じる可能性があるが、同じ企業が作成する期中財務諸表であるにもかかわらず金融商品取引法と金融商品取引所の定める規則のいずれに基づくかにより会計処理に不整合が生じることは適切ではないと考えられる。

      このため、期中会計基準等では、金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と金融商品取引所の定める規則に基づく四半期に係る財務情報の会計処理が同一の結果となるように、企業の報告の頻度(年次、半期、または四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとする原則を採用している(期中会計基準BC16項)。

      この原則を採用した場合に会計処理に影響が生じる可能性のある項目は、企業会計基準適用指針32号において経過措置として定められた次の項目である。

      ① 有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法

      ② 一般債権の貸倒見積高の算定および未実現損益の消去における簡便的な会計処理

      これらを個別に検討した結果、図表2のとおり有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法については企業会計基準12号等と取扱いが異なり、期中洗替え法が原則とされたため、留意が必要である。

      なお、従前から切放し法を適用していた企業に追加的な負担が発生する可能性があること等を考慮して、期中切放し法は例外的に許容されることとなった(期中適用指針BC14項からBC16項)(図表2)。

      (図表2)有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法の変更について

      企業会計基準第12号等

      期中会計基準等

      (四半期)洗替え法と(四半期)切放し法の選択適用可

      原則:期中洗替え法
      例外:期中切放し法(①期中適用指針の適用前に切放し法を適用していたことおよび、②期中切放し法を適用する場合には、その旨を注記することが条件)

      (出所)期中会計基準等をもとに筆者作成

      本補足文書

      本会計基準等では、実務対応報告および移管指針において期中財務諸表に関する取扱いが定められている場合は、期中会計基準等または中間作成基準等には取り込まず、実務対応報告および移管指針についての修正等を行うこととした。この点、ASBJの審議の過程において、「期中会計基準等をみれば期中の会計処理や注記が分かるように、実務対応報告や移管指針で定められている期中の取扱いについても期中会計基準等に取り込むか言及すると、より使いやすい基準等になると考える」との意見が聞かれた(本補足文書8項)。

      ASBJで検討を行った結果、実務において参考となる情報を提供することを目的として、本補足文書を公表し、実務対応報告および移管指針において定めている期中財務諸表における会計処理および開示に関する定めの内容を提供することとされた(本補足文書9項)。

      実務対応報告および移管指針において定めている期中の取扱いは図表3のとおりである。これらは、期中会計基準等には記載されていないため、留意が必要である。

      (図表3)実務対応報告および移管指針において定めている期中の取扱い

      ①期中会計基準等の対象となる期中財務諸表に関する取扱い

      実務対応報告および移管指針の名称

      期中財務諸表における会計処理および開示に関する定めの項番号

      実務対応報告41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」

      10項および42項

      実務対応報告42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」

      21項、22項および23項

      実務対応報告44号「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い」

      3の2項、9項、12項および13項

      実務対応報告46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」

      7項、13項、BC12項、BC13項、BC26項、BC27項、BC28項、BC29項およびBC30項

      移管指針4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」

      7項、32項、53項、54-3項、62-2項および66-4項

      移管指針8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」

      19項

      移管指針9号「金融商品会計に関する実務指針」

      81項

      移管指針12号「金融商品会計に関するQ&A」

      Q31

       

      ②第二種中間財務諸表等に関する取扱い

      実務対応報告および移管指針の名称

      第二種中間財務諸表等における会計処理および開示に関する定めの項番号

      実務対応報告6号「デット・エクイティ・スワップの実行時における債権者側の会計処理に関する実務上の取扱い」

      2.(3)

      実務対応報告44号「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い」

      3-2項

      実務対応報告46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」

      7項、13項、BC14項、BC26項およびBC31項

      移管指針4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」

      7項、32項および53項

      移管指針6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」

      1項および25項

      移管指針9号「金融商品会計に関する実務指針」

      81項

      移管指針12号「金融商品会計に関するQ&A」

      Q31

      (出所)ASBJ発行の補足文書「実務対応報告及び移管指針において定めている期中の取扱い」の別紙をもとに筆者作成

      適用時期等

      (1) 適用時期

      本会計基準等は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の最初の期中会計期間から適用される(期中会計基準34項)。

      また、本会計基準等の適用にあたっては、財務諸表等規則等、金融商品取引所の定める規則および日本公認会計士協会の公表物等もあわせて適用されることとなる。これらの改正等のスケジュールにも配慮した場合、早期適用を定めたとしても短期間となることから、本会計基準等では早期適用を定めこととされた。

      (2) 経過措置

      期中会計基準等の適用初年度において期中会計基準等の定めに従い会計方針を変更する場合、遡及適用は求められず、新たな会計方針を適用初年度の最初の期中会計期間から将来にわたって適用する(期中会計基準35項)。

      期中会計基準等の適用2年目以降において、会計方針を変更する場合には、経過措置が適用されず、遡及適用が求められることになると考えられるため、留意が必要である。

      おわりに

      期中会計基準等は、企業会計基準33号等と企業会計基準12号等を統合した会計基準等であり、基本的には企業会計基準33号等と企業会計基準12号等の定めおよび考え方を引き継いでいる。このため、期中財務諸表に係る会計処理および開示に関して、従来の実務と大きく変わることは想定されていないものの、有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法など、従来から取扱いが変更されている事項も存在するため、本稿の内容も参考にポイントを押さえていただくように留意いただきたい。

      <執筆者略歴>

      伊藤 剛(いとう・つよし)
      有限責任 あずさ監査法人
      会計・開示プラクティス部 マネジャー 公認会計士
      監査法人入所後、製造業、小売業、輸送業などの法定監査業務に従事。その後、2023年7月からの2年間、ASBJに専門研究員として出向し、各種会計基準の開発等に関与。
      現在は主に会計処理および開示に関する相談業務などの品質管理業務を行う。