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      本稿は、KPMGコンサルティングの「Automotive Intelligence」チームによるリレー連載です。

      インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムといった、東南アジア主要5ヵ国における自動車(四輪車)市場の停滞の原因を探り、日本企業への影響と課題について考察します。

      1.東南アジアの新車市場

      インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムの東南アジア主要5ヵ国の自動車(四輪車)市場は2024年に前年比8%減の307万台となりました。2年連続の減少です。長期トレンドを見ると、2013年に約350万台に拡大した後、その水準を下回る状況が10年以上続いています。

      この直接的な原因は、東南アジアの2大市場であるタイとインドネシアの停滞です。タイでは、初めて自動車を購入する人を対象とする優遇措置により、2012年に新車市場が144万台に増加した後はピークを下回って推移しており、2024年には57万台に落ち込みました。インドネシアにおいても2013年の123万台に届かない状況が続いており、2024年は87万台となりました。

      【東南アジア主要5ヵ国の自動車販売台数】
      Japanese alt text: 東南アジアのモータリゼーションと日系企業への影響_図表1 出所:ページ末尾記載の各公表データを基にKPMG作成

      2.モータリゼーションの現在地

      マレーシア、タイ、インドネシアでは2010年までに1人当たり名目GDPが3,000ドルを超え、フィリピンとベトナムではそれぞれ2015年と2018年に超えました。先進国の経験則は、これらの国がすでに乗用車普及期(モータリゼーション期)に入った可能性を示唆しています。2023年時点では、1人当たり名目GDPは、マレーシアが12,000ドルを超え、タイが7,336ドルで続きます。インドネシアが4,920ドル、フィリピンとベトナムが4,000ドル前後です。

      一方、乗用車普及率は、マレーシアが526台/千人と先進国並みで、タイが278台/千人となっています。インドネシア、フィリピン、ベトナムは100台未満/千人です。バンコクやジャカルタ、マニラといった東南アジアの大都市では交通渋滞が深刻であるなど、モータリゼーションの一面が見られますが、統計上は乗用車普及拡大の余地があり、新車市場の成長を期待させる一因となっています。

      【東南アジアにおける乗用車普及率および1人当たり名目GDPの相関関係】
      Japanese alt text: 東南アジアのモータリゼーションと日系企業への影響_図表2 出所:ページ末尾記載の各公表データ(2023年時点)を基にKPMG作成

      3.四輪車市場の停滞と日本企業への影響

      先進国の経験則では、経済成長に伴って二輪車から四輪車へのシフトが進みます。四輪車は、車体価格や保有コストが二輪車に比べて高い一方、快適性や安全性、輸送能力などに優れるためです。モータリゼーション期に入ったと考えられるタイとインドネシアですが、四輪車市場が伸びていない理由として、経済性と機動性に優れた二輪車に根強い需要があるためと考えられます。

      2024年においては、タイとインドネシアの二輪車販売台数はそれぞれ168万台、633万台となり、四輪車販売台数の2.9倍、7.3倍でした。温暖な気候、渋滞や駐車スペースなどの道路交通事情、二輪車と四輪車の価格差といったファクターが影響していると考えられます。

      新車市場の伸び悩みに加えて、中国系メーカーの参入、電動化、保護主義政策といった事業環境の変化もあり、日系OEMおよびサプライヤーは事業戦略の再考を迫られています。短期課題は、工場稼働率の向上による収益改善です。また、日系自動車メーカーの牙城と呼ばれる東南アジアは市場としても生産・輸出拠点としても戦略的に重要であり、成長戦略の再構築が中長期課題です。


      ※図表内のデータについては下記のサイトを参考にしています。

      執筆者

      KPMGコンサルティング
      マネジャー 中田 徹

      マイクロプラスチックの環境問題が指摘されるなか、マイクロプラスチックの規制動向やそれに伴う自動車業界への影響、環境との両立について考察します。

      カーボンニュートラル、脱炭素、M&A、OEMの可能性など、さまざまな視点から自動車産業の最新動向を解説した連載の記事集です。

      自動車産業の現状の課題や将来予測に関する連載記事集です。

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