各国は、AIの迅速な導入を進め、将来的にはビジネスの利益とプライバシーや信頼を守るための明確な公的セーフガードとを両立させることを目指しています。
オーストラリアは、安心・安全かつ信頼性の高いAIの利用を保証するために、8つの自主的な「人工知能倫理原則」を発表しました。
ブラジルは、AIの開発と利用を規制するための原則や規則、ガイドラインの制定に着手しました。ブラジルは、ラテンアメリカ地域におけるAI政策立案の最前線にいると考えられており、この地域におけるブラジルの規模と重要性を考慮すると、ブラジルが提案した「AIフレームワーク」は、この地域のトレンドセッターとなる可能性があります。
カナダの法案「C-27」には、「人工知能とデータ法」が含まれており、それは責任あるAIの開発と配備のための新たなルール作りを目指したものです。政府は「C-27」で提案されたフレームワークを補完する付属文書を発表し、カナダ国民やカナダの企業によるAIの技術革新を積極的に導き、AI技術の責任ある導入を奨励する新たな規制制度への第一歩としています。
中国は国家安全保障と国民の権益を守るため、「インターネット情報サービス推薦アルゴリズム管理規定」を発表し、また「生成AIサービスの管理に関する法案」についても提案しました。
フランスは3つの重点目標を含むAIの国家戦略を立ち上げました。重点目標とは、1つめに世界最高の人材を育成・誘致し自国におけるAIの科学的レベルを最高レベルまで高めること、2つめにAIへの投資を促進すること、3つめにAIの使用とプライバシー保護に対する倫理的アプローチを確保することです。フランス共和国データ保護機関(CNIL)は、詳細なセルフアセスメントガイドを含むAIに関する資料を掲載したウェブページと、EUのAI法に備えるためのAIに関するアクションプランを掲載したウェブページを公開しました。その計画は、GenAIのような最新のAI開発にも対応しています。
インドのAIタスクフォースは、2018年に政府が5年間活用できるAIの倫理的展開に関する政策提言を行いました。
日本の「人間中心のAI社会原則」は、データのプライバシーとセキュリティを確保し、個人が組織に提供するデータから社会が利益を得られる環境を作ることを目的としています。また、経済産業省は「AI原則実践のためのガバナンスガイドライン」を発表しています。これら新たなAIの枠組みによって、AI活用を促進する社会となるための下地を作るという目標の達成に近づくでしょう。
ニュージーランドは「ワイタンギ条約/AI、アルゴリズム、データおよびIoTに関するテ・ティリティとマンオリ族の倫理ガイドライン」を発表しました。このガイドラインは、政府機関やその他マオリ族のデータやコミュニティと関わる人々を対象としています。
サウジアラビアは2020年に「データとAIに関する国家戦略」を打ち出しました。加えて、2023年3月に「個人情報保護法」が改正され、個人のプライバシーに関連するあらゆるデータの使用に際して包括的なデータ保護が提供されるようになりました。
シンガポールは、自主的な「AIベリファイフレームワーク」を導入しました。この枠組みは、企業が自社のAIシステムで何ができるか、あるいは何ができないかについてより透明性を高めることを奨励するもので、AIに対する信頼を構築するために、ステークホルダーにより良い情報を提供し続けることを目指しています。
個人情報保護委員会(PDPC)は最近「モデルAIガバナンスフレームワーク」を発表しました。このフレームワークと併せて、組織向け実装・自己評価ガイド、ユースケース大要、シンガポールのAIベリファイ財団テストフレームワークとソフトウェアツールキットに関する解説など、役立つ資料もリリースされました。さらに、金融保護管理局は、シンガポールの金融セクター向けにAIの利用とデータ分析における「公正性、倫理性、説明責任、透明性(FEAT)を促進するための原則」を発表しました。
スペインはAIを監督する欧州初の国家機関を発表しました。スペイン人工知能監督機関(AESIA)により、スペインは欧州におけるAI規制をリードしたいと考えています。スペインデータ保護庁(AEPD)は最近、AIを含むデータ処理活動を監査するためのガイドラインを発表しました。
韓国の個人情報保護委員会は、「AI個人情報保護自己チェックリスト」を発表しました。
アラブ首長国連邦(UAE)は、AIの利用を規定する具体的な法律がないなか、責任をもってAIシステムを利用するにはどうするべきかについて事業者や一般市民の理解を促すために「倫理的AIツールキット」を作成しました。2017年10月、UAE政府は人工知能に関するUAE戦略を発表しました。
英国(UK)は、AIが個人の権利と自由に「高いリスク」をもたらす可能性があるとして、AIの適切な利用を優先事項として宣言しました。AIを安全に導入するためには、国民の信頼が最も重要であるとしています。国家AI戦略は、英国が世界的なAI大国であり続けるための10年計画を定めており、英国はAI規制に対してイノベーションを促進するアプローチを提案しています。この取組みを支援するために、情報コミッショナー事務局(ICO)は、AIとデータ保護ツールキットを含むAIとデータ保護のリソースを提供しています。データ倫理・イノベーションセンター(CDEI)も「AIバロメーター」を発表しました。
米国(US)では、連邦政府によるAIの法規制はまだ提案されていません。しかし、州法レベルでAI関連法を制定している州や、州法の制定に取り掛かっている州もあります。国立標準技術研究所(NIST)は、AIリスク管理フレームワークを開発し、連邦取引委員会(FTC)は、人工知能とアルゴリズムの使用に関するガイダンスを発表しました。