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      目次


      ベネフィットコーポレーションとは何か

      パブリックベネフィットコーポレーションとも呼ばれ、株式会社など、既存の法人形態に次ぐ、新たな法人形態として、米国の半数以上の州やフランス、イタリアなどでは法制化されているものです。国や州ごとに制度の詳細は異なりますが、株主利益だけではなく、他のステークホルダーに対する便益やポジティブな影響をもたらすことをパーパスに掲げた経営を行う会社形態であり、その旨を定款に記載することが求められます。また、NPOなどの非営利組織とは異なり、利益も追及しつつも、その方法が、公益をもたらすためのミッションと整合していることが必須となる法人形態です。


      ベネフィットコーポレーションの意義は何か

      岸田内閣による「新しい資本主義」でも言及されているとおり、社会的な課題の解決と経済的成長の両立を目指す起業家に対し、資金調達の柔軟性を提供するというベネフィットが考えられます。そのほか、昨今、組織の存在意義を示すパーパスを掲げ、パーパス経営の実践を標榜する会社がみられるなか、パーパス実現にむけた経営を確実に実践し、その実践状況についての説明責任を自らに課す、つまりパーパス経営の実践に拘束力を持たせるという意義も考えられます。


      ベネフィットコーポレーションに課される報告義務はどのようなものか

      ベネフィットコーポレーションには、アカウンタビリティの観点から、会社が標榜するパブリックベネフィットのパフォーマンスについて、何らかの報告義務が課されるのが一般的です。報告が求められる頻度や期限、また報告先(株主向けか、パブリック向けか等)は、国や州によって定めが異なります。また、報告書に第三者保証を受けることを定めているケースもあります。例えば、米国デラウェア州では、2年ごとに株主向けの報告が求められていますが、第三者保証は必須ではありません。同じ米国でもカリフォルニア州では、株主およびパブリック向けの年次報告の公表が求められており、第三者による保証を受けることも必須とされています。


      ベネフィットコーポレーションにおける取締役の注意義務はどうなるか

      基本的な考え方として、取締役は、株主の関心や便益だけでなく、企業の行動によって影響を受けるステークホルダーを考慮することが求められます。より厳密に「株主の関心が、他のステークホルダーの関心に優先されない」と定められている例や、株主の便益と他のステークホルダーの便益とのバランスを考慮しなければならないものの、ステークホルダーへの義務を負うものではないと定めている例もあり、詳細な規定は法域によってさまざまです。


      現在、どのくらいのベネフィットコーポレーションが存在しているのか

      内閣官房が「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と併せて公表した基礎資料集によれば、米国では、2010年10月から2017年12月までの間に、7,704社のベネフィットコーポレーションが設立、または株式会社等から移行しており、その設立の割合が最も高いオレゴン州では、州内の会社のうち26%がベネフィットコーポレーションとなっています。また、2021年11月にIFRS財団が設立を発表した国際サステナビリティ基準審議会(ISSB審議会)の議長であるエマニュエル・ファベール氏が、2021年3月までCEOを務めたフランス企業のダノンも、ベネフィットコーポレーションの形態をとっています。


      ベネフィットコーポレーションとB-Corp認証は同じものか

      「B-Corp」は米国のNPO「B Lab」による認証制度であり、米国以外を拠点にする企業であっても認証を受けることができるのに対し、ベネフィットコーポレーションは、国や州など、主に会社法の法域の単位で制定される法制度に基づくものであり、両者は異なるものです。


      日本企業もベネフィットコーポレーションになれるか

      現在、日本ではベネフィットコーポレーションとしての会社設立を可能とする法制度が確立されていないため、ベネフィットコーポレーションになることはできません。


      日本における今後の検討のタイムラインは

      「新しい資本主義」と併せて公表された「実行計画工程表令」に沿って、ベネフィットコーポレーションの法制度の必要性の有無、そして必要性が認められた場合には、2022年度末の通常国会への法案提出に向けて検討が進められることとなっています。


      執筆者

      KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン
      有限責任 あずさ監査法人
      シニアマネジャー 橋本 純佳

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