米国上場支援サービス(SPACによるIPO)

日本企業を対象としたSPACによる米国上場について、De-SPACまでに必要な手続や関連したアドバイザリーサービス等について解説します。

日本企業を対象としたSPACによる米国上場について、De-SPACまでに必要な手続や関連したアドバイザリーサービス等について解説します。

支援サービス内容

SPACによる米国上場は、非常に短いスケジュールの中で多岐にわたる作業が発生します。KPMGでは、クライアントが直面するさまざまな課題に対応すべく税務ストラクチャリング支援、買収対象会社の米国会計基準(USGAAP)による財務諸表作成支援、Form S-4作成支援、米国証券取引委員会(SEC)審査対応などSPACによる米国上場を成功に導く迅速かつ高品質なサービスを提供します。

連結財務諸表の作成支援

Form S-4(SPACが米国外発行体(FPI)の場合はForm F-4)に開示される買収対象会社の財務諸表の会計基準については、通常USGAAPとなります(SPACがFPIであるなどの条件に該当する場合、国際会計基準(IFRS®会計基準)を選択することも可能)。

なお、買収対象会社が日本企業のケースでは、USGAAPによる財務諸表を作成していないことが多いため、実務上日本基準をUSGAAPにコンバージョンするための必要な時間が確保できない場合、SPACの要求するスケジュールに間に合わない可能性が高いことから事前に準備をしておくことが重要です。

KPMGジャパンでは、米国SECの開示関連通達や審査コメントの傾向を考慮しつつ、クライアントの業種に即した効率的かつ効果的なアプローチでUSGAAP連結財務諸表の作成を支援します。

税務ストラクチャリング対応支援

SPACによる上場においては、SPACと買収対象会社におけるストラクチャリングが重要な課題となり、De-SPAC後のスキームについて検討されます。

日本企業を対象としたSPACによる米国上場については、以下を参照してください。

日本企業を対象としたSPACによる米国上場における税務上の論点(PDF:387KB)

Form S-4作成支援と米国SEC審査への対応支援

SPACによる米国上場では、SPACの買収対象会社の情報が含まれることからForm S-4の作成が必要となります。Form S-4の記載内容として買収対象会社の財務諸表、プロフォーマ情報、MD&A、リスクファクター、事業計画等の記載が求められます。

買収対象企業の財務諸表は、直近3期分の監査済み財務諸表の記載が必要ですが、以下の場合は直近2期分の財務諸表となります。

  • SPACがEGC(Emerging Growth Companies)に該当して、IPO後の最初の10-K(FPIの場合は20-F)を提出していないかつ買収対象会社がEGCに該当する場合
  • 買収対象会社がSEC報告会社でなくかつSRC(Smaller Reporting Companies: 直近年度の売上が1億ドル未満など)に該当する場合

Form S-4の作成には通常SPACと買収対象会社とのLOI締結からForm S-4の提出までのスケジュールが比較的短期間のケースが多いため、実務上の負担が大きいことから迅速な作業が求められます。

また、Form S-4提出後にSECによる厳格な審査が行われます。通常、SECの審査は3~4ヵ月に渡り実施されますが、その間、SECより複数回コメントレターが送付され、回答には幅広い専門知識が必要となる上に、非常に短期間での回答が要請されます。そのため、想定質問と回答案を事前に用意する等、スピーディーに対応することが非常に重要です。

KPMGジャパンでは、これまでの米国上場プロジェクトで培った知識と経験に基づき、Form S-4の効率的な作成を支援するとともに、SECからのコメントレターに迅速かつ適切に対応可能な体制を整えています。

PCAOB基準による監査対応支援

Form S-4に開示される買収対象会社の財務諸表については、より厳格な米国公開会社会計監査委員会(PCAOB)基準の監査が必要になります。日本における一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠した監査が終了していても、再度PCAOB基準による監査を必要となります。

買収対象会社が日本企業のケースでは、通常PCAOB基準による監査を受けていないケースがほとんどのため、現状の会計監査人がPCAOB基準による監査に対応できる会計監査人であるかどうかの確認、PCAOB基準による監査に対応できる会計監査人である場合でも、PCAOB基準による監査にどのくらいの期間が必要になるかあらかじめ確認する必要があり、PCAOB基準による監査スケジュールを十分に考慮することが重要です。

KPMGジャパンでは、これまでPCAOB基準による監査の経験から、PCAOB基準による監査が迅速に進むようにサポートします。

US SOX法(Sarbanes-Oxley Act)に基づく内部統制の構築支援

SPACによる上場に際して、SPACおよびDe-SPAC後の会社(SEC登録会社)は、経営者による内部統制(ICFR)に対する年次評価と報告(SOX404(a))および監査法人による内部統制監査(SOX 404(b))が必要となります。

US SOX法に基づく経営者による内部統制に対する年次評価と報告および会計監査人による内部統制監査についてSPAC上場後、2年目の年次報告書(Form10-Kもしくは 20-F)から必要となります。

ただし、De-SPAC後の会社がEGCに該当する場合、監査人による内部統制監査ついては、原則SPAC上場後5年間は免除されます。

SPACは、通常業務プロセスが複雑でないため、SOX法に基づく内部統制構築の対象の中心は買収対象会社になると考えられます。

US SOX法に基づく内部統制制度の導入においては、現行業務プロセスの見直しと改善、さらにITシステムの導入が必要となるケースもあり、必要な項目に焦点を絞ったプロジェクトの推進が重要です。KPMGジャパンではUS SOX法に基づく内部統制構築における専門的な知識や経験を有するメンバーが内部統制制度の導入を支援します。

プロジェクトマネジメント(PMO)

SPACによる米国上場を進めるにあたり、上場制度・上場実務慣行を踏まえつつ、SPAC、SEC、弁護士事務所、会計監査人など、さまざまな関係者からの要請に適切かつタイムリーに対応していくことが重要です。

KPMGジャパンでは、上場準備の各ステップでクライアントが解決すべき課題を的確に把握し、上場までの課題解決に向けたタスクの洗い出しと論点整理をした上でロードマップを作成します。上記主要ステークホルダーとクライアントとのコミュニケーションと課題解決をサポートし、米国上場プロジェクトを円滑に推進するよう支援します。