生命保険会社の責任準備金に係る内部統制整備・評価
生命保険会社の責任準備金に係る内部統制整備、評価関連のサポートを提供します。
生命保険会社の責任準備金に係る内部統制整備、評価関連のサポートを提供します。
あずさ監査法人は、責任準備金に係る内部統制に関する評価体制の整備から文書化、評価、不備の是正までのあらゆる局面において、アドバイスや作業代行等、様々なサポート業務を行っています。
このサービスでは主に、高度な専門性が求められる保険数理分野に関するJ-SOXやUS-SOX等の内部統制整備・評価関連サービスを扱います。
責任準備金の内部統制対応の構築・整備・評価
生命保険会社の責任準備金は、バランスシートの負債総額の大半を占める重要な勘定科目です。今般導入されることとなった財務報告に係る内部統制評価でも、特に十分な対応が必要になります。
ところが、内部統制評価の担当者が「責任準備金だけは特殊」という気持ちから、踏み込んだ分析ができず、対応が不十分なままだと、以下の様な事態が想定され、場合によっては経営者が責任を問われることになりかねません。
- キーコントロールやテスト量が不足している
内部統制報告書の提出後、本来テストすべき所から多額の計算ミスが発覚した場合、報告書が虚偽表示となってしまう可能性があります。 - キーコントロールやテスト量が過剰になっている
評価担当者にとっても、評価される側にとってもテスト負担が重いため、期末日までに評価手続きが完了できず、内部統制報告書における有効性の判断ができなくなってしまう可能性があります。
また、保険計理人は、決算取締役会に責任準備金の適正性に関する意見書を提出していますので、このような事態に陥った場合、その結果によっては経営者と同様に何らかの責任を問われることも考えられます。
責任準備金に係る内部統制担当者の問題意識
前述の事態が惹起される状況では、責任準備金に係る内部統制評価の各担当者は、以下の様な問題意識を持っていることが多いため、経営者は、社内に同様の状況が発生していないかを確認する必要があります。
<1.プロジェクトマネジメント部門>
(内部統制評価プロジェクトの指揮・総括部門: 企画部や主計部などが対応)
- キーコントロールやテストはこれで十分なのだろうか専門性が高い分野において、本来テストすべきものが抜け落ちているのではないだろうか。・テスト負担はこんなにかかるのだろうか内部統制評価部門などからは担当者不足との報告を受けているが、本当にそんなに負担が大きいのだろうか。
<2.内部統制評価部門>
(内部統制の評価実施部門: 既存の内部監査部や検査部または新設の専門部署などが対応)
- 主計部の業務が良く分からない
保険数理計算の専門性が高く、財務報告に関連する業務の全体像が分析しきれないため、テスト手続きがこれで効率的効果的なのか良く分からない。 - 何をどうテストすれば十分なのだろうか
非常に多く、専門性が高い評価対象業務の中で、どの部分をどこまでテストすれば、網羅的で十分と言えるのだろうか。
<3.内部統制実施部門>
(責任準備金の内部統制の実施部門: 主計部などが対応)
- 主計部の業務を良く分かってくれない
保険数理計算の話に拘泥してしまい、どうも重要ではない部分の評価に話が進んでしまっているような気がする。 - 財務報告に係る内部統制はそもそもアクチュアリー業務なのか
財務報告リスクも「リスク」と書かれているが、これまでやってきた保険引受リスクなどとの区別がはっきりしない。
責任準備金の内部統制評価を効率的・効果的に行うポイント
財務報告に係る内部統制評価において、生命保険会社における責任準備金も開示項目の一つの勘定科目に過ぎませんので、他の勘定科目と同様に、取引の流れを把握し、そこから財務報告リスクやそのコントロールを識別し、テストを行えば十分です。
しかし、専門的で複雑な手続きを必要とする見積もり・評価によって算定されるという特殊性を勘案した場合、内部統制を効率的・効果的に行うためには、以下のようなポイントがあります。
<キーコントロールやテストの十分性を確認するには>
責任準備金の算定には非常に多くの計算作業がありますが、それを一つひとつ追い始めていくと、「木を見て森を見ず」という状態になってしまうかもしれません。
いったん目線を離して、全体を俯瞰的に眺めて、本当に重要な手続きやこれに対するチェックはどの部分なのか、どこを押さえれば虚偽記載が発生するリスクが低減されるのか、という視点で考えることが重要です。
<テスト負担を軽減するには>
テスト方法に工夫の余地があったり、テスト負担の少ない別のコントロールをテスト対象にすることができるかもしれません。
実施基準に記載されているリスクを識別するにあたっての6つの要件(アサーション)が担保されていることさえ確認できれば十分なのですから、責任準備金の計算周りの実務をあらためて分析し、どのコントロールが何のアサーションに対応しているのか、という視点で整理し直してみると、テスト負担が軽くなる方法が見つかるはずです。
<主計部の業務の理解>
主計部は、監督官庁への決算状況表資料などの報告、経営者への収支分析資料などの報告など、複数のステークホルダーの要請に対応できるような実務を構築していますので、その分析をあらかじめ行っておくと、全体像が見えてきます。その分析結果と、今般の財務報告に係る内部統制の要請とを照合すれば、必要なものが取捨選択できるようになります。
<財務報告に係る内部統制とアクチュアリー>
財務報告リスクと保険引受リスクとは、そのリスクの裏返しになる内部統制の目的(統制目的)が異なります。保険引受リスクは財務の健全性や資本の効率性という統制目的を脅かすものであるのに対し、財務報告リスクは開示される財務諸表の信頼性を脅かすものです。これらの統制目的の違いから、その統制活動に必要となる専門知識やその知識を使う場面が異なります。
責任準備金に係る財務報告リスクの評価において、これまでアクチュアリーが身に付けてきた知識は、実施基準に記載されているリスクを識別するにあたっての要件(アサーション)のうち「評価の妥当性」で必要となる専門知識です。従って、アクチュアリーもこの評価において重要な役割を担っていると考えられます。
また、上記より、責任準備金の内部統制評価を効率的・効果的に行うためには、単に財務報告に係る内部統制評価の専門性だけでなく、規制対応(保険業法・保険検査マニュアル)・リスク管理(ソルベンシー・マージン)・保険数理(アクチュアリー)・決算手続き(ディスクローズ)等の様々な専門性が必要であることが分かります。
これらを縦割りにせず、複数の部署が横断的に各々の専門性を持ち寄り、会社としてのコンセンサスを形成し、それを文書化することが最も大切なポイントになります。
経営者にとって最も難しい課題は、社内の複数の専門性を、複数の要請を満たすように十分に機能させることです。
あずさ監査法人は、生命保険会社などの金融機関の実務経験を背景に規制対応やリスク管理などのアドバイザリー実績を積み重ねた専門員や、保険数理の専門性を有するアクチュアリーと、多くの生命保険会社の監査経験より決算手続きや内部統制評価の専門性を有する公認会計士が融合したチームを組成し、責任準備金に係る内部統制に関する評価体制の整備から文書化、評価、不備の是正までのあらゆる局面において、幅広く複数の専門性に応じたサポート業務を行っています。
提供サービス
<プロジェクトマネジメントのアドバイザリーサービス>
プロジェクトマネジメント部門と協働し、経営者への説明や、内部統制評価部門・内部統制実施部門への指導・調整等のサポートを行います。
<内部統制整備・評価のアドバイザリーサービス>
内部統制評価部門・内部統制実施部門と協働し、効率的・効果的なキーコントロール選定・テスト方法に関するアドバイス等のサポートやショートレビューを行います。
<内部統制整備・評価の代行サービス(アウトソーシング)>
責任準備金の内部統制整備・評価に関する専門知識・実務経験を有するメンバーを提供し、内部統制評価部門・内部統制実施部門のスタッフとして、内部統制整備・評価作業を代行します。
※本サービスは、公認会計士法、独立性規則及び利益相反等の観点から、提供できる企業や提供できる業務の範囲等に一定の制限がかかる場合があります。詳しくはあずさ監査法人までお問い合わせください。
お問合せ先
有限責任 あずさ監査法人
ファイナンシャルサービス本部
〒100-8172
東京都千代田区大手町1-9-7
大手町フィナンシャルシティ サウスタワー
financialservices@jp.kpmg.com