グローバル社会における国際的な緊張や優秀な労働力の獲得競争、物価上昇が激しさを増すなかで、安定調達、コスト削減、ガバナンス強化(サプライヤーマネジメントを含む)の重要性が飛躍的に高まっています。さらに近年は、国・地域レベルでのサプライチェーンに対する政策・規制の強化、消費者や取引先からの要求の高まり、ESG投融資の拡大等、さまざまなステークホルダーからサプライチェーン全体でサステナビリティへの要請が高まっており、調達・購買部門は経営課題の一端を担う重要な部門に位置付けられています。

一方で、日本国内は少子高齢化、団塊世代の退職、人材の流動化の加速により、これまでの体制・スキルセットを前提とした調達・購買オペレーションの維持・継続が困難になりつつあります。そのような状況のなかでAIやブロックチェーンなど最新のデジタルテクノロジーを活用する前提で業務プロセス、ルール、組織の役割を再定義し、次世代の調達・購買オペレーションとしての目指すべき姿を実現、経営に対するプレゼンスをさらに高めていくことが求められています。

KPMGでは、これまでクライアントに対して数多くの調達・購買改革を支援してきた実績から、従来の枠組みにとらわれず、企業のグループ力の最大化を実現する「持続可能な調達・購買オペレーションモデルの構築」を支援します。

調達・購買領域におけるよくある課題

調達・購買領域のよくある課題として、経営者、調達・購買部門は以下のような課題を感じています。

経営者
  • 原材料費、エネルギー価格、人件費の高騰が収益を圧迫しているなかで持続可能な社会の実現のため、環境や人権に配慮したモノ・サービスの調達活動へのシフトが求められている。
  • 急激なビジネス環境変化の予兆をとらえても、国内外のグループ会社の支出状況がリアルタイムに把握できないため、データに基づく具体的な施策が立案できない。
調達・購買部門
  • サプライヤー折衝において最善を尽くしているが、ベストプライスかを判断できる材料が社内にない。
  • 見積書、注文書、納品書、請求書といった文書を個人メールやFAXでサプライヤーと連携しており、社内システムにデータを蓄積するには、転記作業が必要。
  • 海外グループ会社のガバナンスまで行き届いておらず、サプライヤーマネジメントを含め、現地スタッフに任せている。
  • 経験豊富な調達担当者の定年退職が控えており、ナレッジの継承が必要だが、適切な人材の確保見通しは立っていない。

目指すべき調達・購買オペレーションモデルを構成する要素と要件

グループ力の最大化を実現する「持続可能な調達・購買オペレーションモデルの構築」のためには、「サービスモデル」「組織」「人材」「業務プロセス」「テクノロジー」「ガバナンス」の観点で要件(必須要件、実現すべき要件、Nice to have要件)を定義することが重要です。

【目指すべき調達・購買オペレーションモデルを構成する要素・要件】

サービスモデル
  • サステナブル調達方針が関連するステークホルダー(サプライヤー等)に対して展開できており、調達部門内でサプライヤー選定プロセスなどが浸透している。
組織
  • サステナブル調達に関連する社内ステークホルダーの責任が経営層、業務担当者まで特定されている。
  • 調達組織が調達業務やサプライチェーンにおけるサステナビリティリスクのアセスメントを定期的に実施している。
人材
  • サステナブル調達に関する研修が実施されており、調達部門に限定されることなく部門横断的な取組みが推進されている。
  • 調達担当者がサステナブル調達方針および部門戦略に定義された基準に従って購買決定を実施できている。
業務プロセス
  • 調達プロセス内の商品、サービス、サプライチェーン構造、サプライヤー等に関連するサステナビリティのリスクと機会が分析されている。
  • 調達戦略に基づき、調達・購買活動、ステークホルダー(サプライヤー)に対する明確に定義されたサステナビリティの要求事項が存在している。
テクノロジー
  • サプライヤーネットワークと、それに紐付くサプライヤーリスクについて可視化されており、すぐに必要なアクションが取れる状態となっている。
  • サステナブル調達方針に基づいて、人権、自然環境といったトレーサビリティが確保されており、必要に応じて説明可能となっている。
ガバナンス
  • 調達部門におけるサステナビリティのための明確かつ文書化されたガバナンス体制が既存の体制に統合されている。
  • 複数部門から構成される社内のサステナビリティ委員会やワーキンググループに調達部門の責任者が参加し、部門をまたいだ全社視点でのサプライチェーン管理および意思決定が実施されている。

調達・購買オペレーションモデル実現のアプローチ

新たな調達・購買オペレーションモデルを構築する際、現状のオペレーションモデル(業務、体制、役割、システムなど)の延長線で考えるのではなく、業務を「コア業務」「ノンコア業務」に分類したうえで、ノンコア業務は最新のテクノロジーを活用した自動化、省力化を行い、調達の要となるサプライヤーとの関係性強化(新規開拓含む)、交渉、開発購買といった「コア業務」にリソース、構成比率をシフトしていくことが求められています。

また社内外のビジネス環境の変化に伴い、「コア業務」「ノンコア業務」の構成は変化する前提に立ち、定期的に活動実態を把握し、進化させていくことが重要です。

持続可能な調達・購買オペレーションモデルの構築支援_図表1

サプライヤーポートフォリオの再構築

また、調達・購買オペレーションモデルの構築と並行して、品目カテゴリごとに事業とサプライヤーとの関係性(重要度や依存度)を整理し、品質(Q)、コスト(C)、安定調達(D)の観点からサプライヤーポートフォリオの再構築(サプライヤー数の最適化を含む)を図り、優先度の高いところからサプライヤーマネジメントを強化する必要があります。とりわけ直接材の場合は、調達・購買部門だけで協議を行わず、原価企画、設計、生産といった関係部門を巻き込みながら進めていくことが重要です。

持続可能な調達・購買オペレーションモデルの構築支援_図表2

KPMGによる支援

持続可能なオペレーションモデルを構築するためには、企業の戦略、事業環境、カルチャー、これまでの取組みを理解したうえで各社に合った目指すべき姿の設計を行っていく必要があります。

KPMGでは、以下の5ステップの支援内容をベースに、クライアントの課題やスピード感に応じて個別にカスタマイズした提案が可能です。

持続可能な調達・購買オペレーションモデルの構築支援_図表3

お問合せ

関連サービス

関連するサービスを紹介します。下記以外にも、お気軽にお問い合わせください。