製造業界では、海外企業を含めた競争が激化する一方で、社会の高齢化による熟練作業者の減少や製造品の複雑化や高度化により、手戻りのリスクが深刻化しています。しかし、手戻り作業によって発生するコストの増加や製品納期の長期化は、企業の競争力を低下させてしまいます。
この課題に対し、KPMGではMicrosoft HoloLensとAIを組み合わせたソリューション「Holographic Manufacturing」を用いて企業の情報活用の仕方を見直し、競争力の向上を支援します。

Microsoft HoloLensとは

スマートグラスの一種であるMicrosoft HoloLensは半透明のグラスを通して、ユーザーが目前の空間を視認しながら、立体的なホログラムをインタラクティブに表示することを可能にします。

Microsoft HoloLens画像

Microsoft HoloLensの詳細はMicrosoft社のページをご覧ください。

Holographic Manufacturingとは

Holographic Manufacturingでは、製造現場で新人作業員が組立作業を行う際に、熟練作業員のように高品質の製品を短期間で製造できるように支援を行います。
熟練の職人であれば、必要な情報を長年の経験から暗記しており、必要な時に適切な情報を活用しつつ、現在のマニュアルに記載されていない勘に頼った高度な判断を組み合わせて対処することが可能でしたが、こういった職人が暗黙知を個々の脳内のみに保有して引退しつつある現状から、早急に職人の知識を形式知化して企業のアセットとして所有し、それらの情報を現場において適切に共有及び活用することが求められています。
Holographic ManufacturingではMicrosoft HoloLensのホログラムにAIを統合し、新人作業員がAIと一体化したかのような素早く正確な判断を実現します。例えば目前のパーツの判別を容易にし、新人作業員の組立作業を助けます。

Holographic Manufacturingのメリット

  • 業務効率化
    従来、部品の見極めが困難な場合、現場技術者は有識者とコミュニケーションをとるために現場から離れる必要があり、解決に時間を要していました。しかしHoloLensを活用することにより、現場技術者がその場で瞬時に問題を解決することが可能となり作業時間の大幅な短縮が見込まれます。
  • 業務高度化
    AIにより形式化された知識を適切に提供することによって、情報不足による作業漏れや検証漏れを防ぐことが可能になります。また、Microsoft HoloLensにより人の意思を介在しないリアルな情報を取得できるため、これらの情報を活用することにより経営層が現場の状況を正確に把握し、実態に沿った意思決定を行うことが可能です。
【事例】大手製造業A社のケース
従来、A社の製造現場では部品点数の増加とメッキ・塗装加工の手法の劣化により、ヒトによる部品の識別が困難な状況が多発し、誤った部品での組み立てによる手戻りや、熟練技術者へ問合せが発生していました。KPMGはこの課題に対してHolographic Manufacturingの活用を提案し、膨大な部品の知識を有したAIが作業員に必要な情報を適切に提供することが可能になりました。部品識別の精度が90%を超えた一方で、AIの精度が至らない場合は専門家に直接問合せをし、補完しています。
 
Holographic Manufacturingは、その高い問題解決能力を評価され、グローバルのMicrosoft Partner of the Year 2018 Awards(AI部門)の最終選考に選出され、また国内の同Awardsを受賞しました。

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