DX成功の肝はERPデータの活用にあり
高度にデジタル化された現代のビジネス環境においては、複雑かつ大量のデータが日々追加・更新されています。企業が保有するERPシステムのデータ(ERPデータ)は、単なる財務データの記録にとどまらず、実に多様な企業活動の記録を保有する貴重なデジタル資産であり、今やその企業固有のビッグデータであるといえます。
多くの企業においてDXへの取組みが進められている昨今、自社のERPデータをいち早く効果的に分析し、経営への意思決定サポートや業務プロセスの最適化といった高付加価値業務へと活用することは、デジタル社会において勝ち残るための強力な武器となります。
ERPが保有するデータイメージ
データ分析における一般的な課題
ERPデータを分析し、これを有効活用するまでの過程では、多くの課題に直面することになります。例えば大量データを処理するためのリソースの確保や分析対象データの特定、データの標準化、分析技術とノウハウの習得など、課題は多岐にわたります。
あずさ監査法人では、さまざまな規模・業態の監査クライアントに対して継続的・網羅的なデータ分析を行うため、分析ツールや技術の研究・開発を進めています。監査法人として培ったデータ分析のソリューションを用いて、これらの課題にどのように対処しているかを紹介します。
ERPデータ分析の壁
1. 分析対象データが多すぎる
- データ量が膨大であり、抽出作業が困難
- 抽出したデータの容量が大きすぎて扱いきれない
2. データ分析の技術、ノウハウ不足
- BIツール、プロセスマイニングツールといった分析技術を使いこなすための人材や情報がない
3.データが体系的に管理・統一されていない
- データの所在や定義について全社レベルで統一・整理されておらず、分析対象とすべきデータへ容易にアクセスできない
- データが多岐にわたりすぎて、意味ある分析が困難
ソリューション1 KPMG Data Extraction tool
(対応課題:分析対象データが多すぎる)
あずさ監査法人では、大量データを効率的・効果的に抽出するソリューションとして、専用のETLツール(KPMG Data Extraction tool)を提供しています。KPMG Data Extraction toolは、KPMGインターナショナルがERPシステムからのデータ抽出を目的に開発したプログラムです。本ツールは抽出対象とするテーブルをカスタマイズ可能で、監査に必要となるデータの抽出にとどまらず、BIツールやプロセスマイニングとの併用によりさまざまなシーンで経理DXの実現に活用することができます。
- ERPデータの一括抽出
- ERPシステム標準搭載のテーブルに加え、アドオンテーブルの抽出も可能
- データ抽出に特化し、データ更新を行わない
- データ問い合わせ処理と抽出データのファイル出力処理で構成された、極めてシンプルなプログラム
ソリューション2 最新デジタル技術を活用した多角的分析
(対応課題:データ分析の技術、ノウハウ不足)
データを効果的に分析するためには、正しいデータの理解と適切なデジタルツールの選択が不可欠です。あずさ監査法人はデジタル監査の実現のために、データ分析技術を監査のさまざまな局面で取り入れてきました。多種多様な業界のデータ分析を通じて培われた実績と、大容量データを高速処理可能なインメモリBIツールやプロセスマイニングといった最新のデジタルテクノロジーを駆使することで、企業のDX推進をサポートします。
BIツールを用いたERPデータ分析 主なベネフィット
- ダッシュボードレビューによる各種KPIモニタリング
- 増減比較、推移分析
- 大容量データの高速処理
- 明細データの詳細確認
- 分析要件に応じた柔軟なカスタマイズ
プロセスマイニング 主なベネフィット
- 人の処理に依存しているプロセスの特定と自動化
- リードタイム・件数分析によるボトルネックプロセスの探知
- 非効率なプロセスの特定と業務改善
- 内部統制から逸脱したプロセスの検知と是正、ガバナンス強化
ソリューション3. データマネジメント
(対応課題:データが体系的に管理・統一されていない)
抽出されたデータは、直感的かつ即時に理解できる形で可視化・分析されることで、業務改善や経営の意思決定サポートにつながります。このように意義のある分析・可視化を実現するための近道は、データが標準化され、適切に管理されていることです。あずさ監査法人は監査を通じて培ったERPデータに対する深い知見に基づき、ERPデータ分析の専門家が複雑なデータの理解をサポートします。データの標準化・管理に関するサポートについては、「データマネジメント態勢構築」をご参照ください。