KPMGコンサルティング、「Future of IT—これからのIT戦略」(日本語版)を発表

ITリーダーやIT部門がテクノロジーを活用し、持続可能なデータドリブン組織を構築するために取り組むべき事項を解説したレポートの日本語版を発表しました。

ITリーダーやIT部門がテクノロジーを活用し、持続可能なデータドリブン組織を構築するために取り組むべき事項を解説したレポートの日本語版を発表しました。

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、AI(人工知能)をはじめパブリッククラウドやXaaS(あらゆる物事のサービス化)など、さまざまな先端技術の普及が進むなか、CIO(最高情報責任者)をはじめとしたITリーダーやIT部門がテクノロジーを統合・活用し、持続可能なデータドリブン組織を構築するために優先的に取り組むべき事項を解説したレポート「Future of IT—これからのIT戦略」(日本語版)を発表しました。

本レポートは、AIが普及した世界におけるITリーダーやIT部門のミッションおよびバリュープロポジションに与える影響のほか、数年先を見据え、テクノロジー投資を促進し、AIや自動化によりデータを活用することでITが組織をどの程度デジタル化できるかについて考察しています。さらに、このような未来を実現するために、ITリーダーやIT部門が優先的に取り組むべき事項や習得すべき能力として、「XaaSチャンピオン」「データ中心主義」「レジリエンス重視」「人材の育成」「イノベーションの加速」「責任ある運営」の6つについて解説しています。

1.XaaSチャンピオン(XaaS活用のエキスパート)

KPMGがテクノロジーに関する組織の優先課題などについて行った調査をまとめた「KPMGグローバルテクノロジーレポート2023」では、回答者の64%が「パブリッククラウドやXaaSテクノロジーを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んだ結果、収益性や業績が向上した」と回答しています。

クラウドやXaaSはデータの管理・統合に優れ、先端技術の導入を加速し、カーボンフットプリントの削減またはサステナビリティの向上などのメリットをもたらす一方で、ITリーダーやIT部門に新たなリスクとコストを生じさせます。なかでも、複雑で予測不可能な消費に基づく価格決定モデルの管理や、テクノロジーベンダーが用いる多様な価格戦略に対するコスト予測の管理は今後最大の課題となると考えられます。

ITリーダーやIT部門がXaaSのチャンピオンとなるためには、(1)パブリッククラウドの進化を管理するガバナンスを浸透させる、(2)IT部門、ビジネスパートナー、ベンダー間で調整・協力する、(3)サイバーセキュリティおよびデータ保護機能を開発する、(4)IT関連コストの資本的支出から運営費への移行に伴う財務システムやポリシーの変化に対応する必要があります。

2.データ中心主義

今日、競争上の優位性を構築するためには、効果的なデータ管理が必要不可欠です。企業全体における高度なデータ管理能力が構築されることで、多くの社員がデータ分析を行えるようになり、組織はビジネス価値を生み出すインサイトを迅速に提供できるようになります。また、データが組織のあらゆる部分で必要不可欠であることから、今後、ITリーダーは企業全体の各部門と連携し、それらをまとめて真のデータ中心主義を実現する必要があります。

組織をデータ中心主義へと移行させるためには、(1)データをより広範なテクノロジー戦略に統合する、(2)データ中心のITオペレーティングモデルとロードマップを作成する、(3)データ人材の不足を解消する、(4)XaaSへの移行が必要です。

3.レジリエンス重視

パブリッククラウドやXaaS、スマート製品の利用が増加し、ITとオペレーショナルテクノロジー(OT)システムの融合が加速するなか、多くの組織でサイバーセキュリティにかかるコストが大幅に増加しています。これは、インシデントおよびそれに関連する復旧コストの増加にともない、今後さらに拡大すると考えられます。脅威に対する認識を高め、脆弱性を理解し、ほぼリアルタイムでより適切に復旧できるようになるために、CISO(最高情報セキュリティ責任者)は企業全体で連携を図る必要があります。ビジネス部門と連携して運用およびビジネステクノロジーにレジリエンスを組み込むことは、顧客と信頼関係を築くことにつながります。

レジリエンスを高めるためにITリーダーが今すぐ取り組むべきは、(1)技術的なレジリエンスとIDベースの万全なセキュリティ対策を講じる、(2)サイバーリスクを生む文化的な障害に取り組む、(3)第2の大規模なプラットフォーム再構築を見据えたサイバーロードマップを策定することです。

4.人材の育成

IT人材を巡る争いは激しくなり、特にアーキテクチャやデータエンジニアリングのスキルを持つ人材の重要性は、今後ますます高まります。テクノロジーの進化に伴い求められるスキルや能力が変化するなか、ITへの投資が増加すると予測される一方、IT人材の育成費は減少すると考えられ、IT人材について根本的に考え直さなければ、将来IT部門は需要にこたえることが難しくなるかもしれません。

IT人材は活躍し成長できるという共通の価値観を持つ組織で働きたいと考え、リモートワーク、技術的なサポート、個人の権限委譲(従来型のヒエラルキーの変更など)、ワークライフバランス、イノベーションの機会などに柔軟である必要があり、IT部門がIT人材の育成を強化するためには、(1)人事部門とのよりダイナミックなパートナーシップを構築する、(2)人事プロセスおよび仕事とキャリアのアーキテクチャを今すぐ進化させる、(3)テクノロジーと働き方を最新化し、魅力的な職場をつくる必要があります。

5.イノベーションの加速

今日、事業戦略とテクノロジー戦略は切っても切り離せないものです。デジタルリーダーはマーケットシグナルをIT部門に適切に伝えると同時に、ビジネス部門と上手く調整を行う必要があります。生成AIをさらに活用することで成果物を迅速に作り出すことができ、人は創造的かつ重要で、責任のある仕事に集中できるようになります。ITリーダーは、業務のどの部分でAIの利用を増やすべきか、そしてAIテクノロジーからより大きな価値を得るためにどのように人を配置すべきか、イノベーションをさらに加速するために、AIの活用に的を絞る必要があります。

イノベーションを加速させるために、ITリーダーが着手すべきは、(1)支えとなるAI戦略とテクニカルアーキテクチャを見直す、(2)DXの障害となる協力や調整の課題を解消する、(3)資金調達のアプローチを急速に進化させる、(4)適切な人材を惹きつけ、定着させ、育成するための機能とジョブアーキテクチャを獲得する必要があります。

6.責任ある運営

金融市場におけるESG投資の運用資産が増加するなか、組織にとってESGは、経費や資本コストの削減などの短期的視点と、マーケットシェアの拡大、従業員の維持、規制リスクやレピュテーションリスクの軽減といった長期的視点の両面において、新しくダイナミックな価値の源泉です。ESGの取組みによって価値を獲得するためには、IT部門を含む組織全体がESGを運用できるようになる必要があります。

IT部門は、循環型ビジネスモデルの構築によって企業のカーボンフットプリントを削減し、新たな規制に従ってESGの測定方法と報告方法を発展させるうえで重要な役割を担うことが期待されています。規制上の変化に対応するためにはビジネス部門と密接に連携することで最新の情報を入手し、関連データを適切なステークホルダーに提供することが求められます。ESGを中心とした組織に変化させるためには、(1)企業のESG戦略および評価に対するITの貢献度を理解する、(2)E(環境)S(社会)G(ガバナンス)について考える、(3)ESGから価値を獲得する必要があります。

本レポートの全文はこちらからダウンロードできます:「Future of IT—これからのIT戦略

グローバル版(英文)の全文はこちらからダウンロードできます:「The Future of IT

KPMGコンサルティングについて

KPMGコンサルティングは、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスの3分野から企業を支援するコンサルティングファームです。戦略策定、組織・人事マネジメント、デジタルトランスフォーメーション、ガバナンス、リスクマネジメントなどの専門知識と豊富な経験を持つコンサルタントが在籍し、金融、保険、製造、自動車、製薬・ヘルスケア、エネルギー、情報通信・メディア、サービス、パブリックセクターなどのインダストリーに対し、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。

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