KPMGコンサルティング、コロナ禍におけるカスタマーエクスペリエンス調査レポートを発行

KPMGコンサルティング株式会社は、「Global customer experience excellence research 2020:カスタマーエクスペリエンスの真実」を発行しました。

KPMGコンサルティングは「Global customer experience excellence research 2020:カスタマーエクスペリエンスの真実」を発行しました

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、「Global customer experience excellence research 2020:カスタマーエクスペリエンスの真実」を発行しました。本調査は、消費者に対してブランドに関する個人的な体験を調査することを目的に実施したオンライン調査で、KPMGが定義する「優れたカスタマーエクスペリエンスを構成する6つの要素”Six pillars”(シックスピラーズ)」である「パーソナライズ」、「利便性」、「期待充足度」、「誠実性」、「問題解決力」、「親密性」 に基づいた結果をまとめています。

今回の調査は、4月下旬から5月上旬にかけて、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延する中で実施しました。新型コロナウイルス感染症は、すべての国、産業、あらゆる層の人々の顧客行動に影響を与えており、顧客の意思決定と購買行動が健康と安全を最優先するように変化したことが示唆されています。

日本の主な調査結果

  • 日本企業の顧客体験評価は全般的に低い
    顧客体験全般にわたる指標であるCEEスコア※1は、今回の日本の調査対象ブランドの平均スコアで6.8、7.0以上となったのは全体の4分の1以下でした【図1】。

【図1】日本企業の全ブランドのCEEスコア

【図1】日本企業の全ブランドのCEEスコア
  • 情緒的価値が低い日本企業
    顧客体験を構成する要素のうち、重要なものとして「利便性」、「パーソナライズ」といった機能的な要素の重要度が高い一方で、「親密性」、「問題解決力」は低いという結果でした。日本のブランドは全般的に機能性や利便性が高く評価される一方、消費者の気持ちに寄り添うという観点からは必ずしも高く評価されていないことが分かりました【図2】。

【図2】CEEスコアにおける各要素の重要度(%)(日本・世界平均)

【図2】CEEスコアにおける各要素の重要度(%)(日本・世界平均)
  • オンラインで形成される共感力は対面よりも高い
    今回の調査で消費者がブランドと接した方法について、オンライン経由の割合が対面の割合より高いブランドの方が「Six Pillars:6つの柱」のスコアが高い傾向となっています。CEEスコアトップ5のうち上位4ブランドにおいて、対面経由の割合よりオンライン経由の体験の割合が高いという結果になっていることから、実際にはオフラインがメインのサービスであっても、オンラインでの体験はブランド評価に大きな影響を与えると考えられます。

グローバルの主な調査結果

  • 顧客ロイヤルティに最も影響を与えるのは「パーソナライズ」と「誠実性」
    顧客ロイヤルティを推進する上で最も強力な要素として、27市場のうち19市場で「パーソナライズ」、6市場では「誠実性」、また、NPS(他社への推奨)に最も強い影響を与えるドライバーとして、27市場のうち18市場で「誠実性」、8市場で「パーソナライズ」という結果でした。
  • 顧客体験の質は世界中で向上
    今回の調査では、実施したすべての国(市場)で、顧客体験の卓越性を示すCEEスコアが向上しています。さらに、各市場のトップブランドのCEEスコアは、対前年平均で各市場平均を11%上回っています。
  • バリューを製品やサービスの差別化要因としている
    COVID-19の影響により、63%の消費者がバリュー(価格の手頃感)を製品やサービスの差別化要因としていることが分かりました。

日本企業に必要な顧客体験向上のポイント

  • オフライン体験のトランスフォーメーション
    ウィズコロナ時代のニューノーマルにおいては、オンラインでの体験を反映しつつ、オフライン体験にも変革を加えながら、ウェブサイト・実店舗、どちらで購入しても非常に満足できるという、オンライン・オフラインで一貫したイメージを形成することが重要になってくると考えられます。
  • 唯一無二の体験価値の追求
    機能面に重点を置くあまり、価値が同質になりがちな日本では、唯一無二の、「そこでしか得られない」体験価値を追求し、徹底した差別化を図ることが不可欠です。自社の商品・サービスが、他に代替出来ない顧客体験を提供できているかを問い直し、埋もれている可能性のある価値をどう再訴求すべきか見直す必要があります。
  • 情緒的価値の強化
    Six pillarsのうち、「親密性」についてはまだまだ改善の余地が残されています。また、情緒的価値をどう強化し、ブランド体験の一部に組み込んでいくかも重要なテーマです。どのインダストリーにおいても、時間と手間をかけて顧客一人一人を理解し、顧客から強い共感を獲得することは、ブランドのロイヤルティを強化すると共に、新たなブランドのファン層を増やしていくうえでも極めて有効と考えられます。
  • 企業存在の理由の再訴求
    企業が何のために存在し、環境・社会・地域・人々にどのような価値を提供できるかという、「存在意義(Purpose)」が改めて問われています。グローバルでもこの傾向は顕著であり、「存在意義」は購入ブランドの最終的な選択に大きな影響を与えます。日本企業にはこの情報発信のあり方にまだまだ改善の余地があり、企業の存在理由の再訴求をベースとしていかに企業の信頼感を強化できるかは、業態を問わず、あらゆる企業のブランディング活動における優先的テーマの一つです。

本調査結果を受けて、KPMGコンサルティングのカスタマー部門をリードしているパートナーの古谷 公は次のように述べています。
「コロナ禍により、顧客のマインドセット、購買行動、使用体験は大きく変貌を遂げました。そして、各企業においてはウィズコロナのニューノーマル時代に対応する顧客体験変革が求められています。日本企業はこれまで顧客の機能的なニーズに丹念に答えることによって、顧客との絆を強めてきました。しかし、それだけでは顧客と太い絆を作ることはできません。今後は機能的な価値に合わせて情緒的な価値を強化し、顧客体験を“唯一無二の体験”に高めていくことが重要です。そして、それが実現できれば、代表的なジャパニーズ・ブランドから真のグローバルブランドへ脱皮できることでしょう。」

※1 CEE(Customer Experience Excellence:カスタマー・エクスペリエンス・エクセレンス)スコア:卓越した顧客体験の基準であるSix pillarsのスコアの加重平均値です。

「Global customer experience excellence research 2020:カスタマーエクスペリエンスの真実」について
本調査は、27の国・地域、101,162名の消費者、2,060のブランドを対象とし、うち日本の消費者の回答は5,016名、170のブランドとなっています。グローバルでは2020年第2四半期、日本では2020年4月28日~5月7日かけて実施しました。

本レポートは「カスタマーエクスペリエンスの真実 New reality New customer」よりダウンロードいただけます。

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