不正に関する対応領域全体における不正再発防止体制構築の位置づけを確認するとともに、企業が再発防止体制を構築する際に直面する問題や課題が何なのか、また、再発防止体制を持続させるために必要な取り組みが何なのかについて解説します。

※本記事の執筆者本人が、スライド付きで解説する「会員限定コンテンツ」(無料)を視聴する。

お問合せ

不正・不祥事再発防止体制構築の全体像

再発防止体制を企業にとって真に実効性のあるものとして構築するためには、小手先の対応では実現は困難です。ガバナンス再構築、内部統制強化、リーガル・コンプライアンス強化といった対応は再発防止のために最低限必要なものでありますが、必要十分条件ではありません。

最も重要なのは、日々の業務の担い手である従業員の方々にとって、如何にして、健全で働きがいのある組織に変えていくのかという点です。再発防止体制構築というのは、まさに全社改革の取り組みであり、組織、人事、業務、システム、制度といった、ソフトとハードの両面の側面から取り組んでいく必要があります。

再発防止の体制構築には、様々な領域と関連部門を巻き込んで取り組む必要がありますので、短期で決着するわけではなく、じっくり腰を据えて、中長期的なスパンで、着実に進めていく必要があります。

持続的な再発防止体制構築に係る課題

再発防止の対応では、従来弱かった、あるいは十分ではなかった機能や業務を強化するということになりますので、ほとんどの場合において現場の業務負荷は増えてしまいます。現場が従来から行っている本業の業務にさらに覆いかぶさる形で、対応業務が追加されるわけですから、本業の生産性は低下し、業務時間の増加によって疲労・ストレスが蓄積し、現場のモチベーションは低下してしまいます。最悪のケースでは、離職率の増加につながるといったケースも少なくありません。

そのためには、再発防止のために避けて通れないガバナンスや内部統制強化、コンプライアンス強化といった、どちらかというと、業務負荷が増えてしまう取り組みと、日々の業務の担い手である現場の従業員にとってより働きやすい会社にするための取り組みとして、業務の効率化や働きがい向上に向けた人事領域での中長期的な改革とで、うまくバランスさせるということがポイントになると考えます。

更に、そういった改革に向けた様々な取り組みの進捗や成果を現場にも見える化し、各取り組みの成果を現場従業員も実感できるようにするといったことを通じて、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上に繋げるといった仕掛けも重要と考えます。

持続的な再発防止体制構築に向けた取組み

持続的な再発防止体制構築に向けた取り組みについて、全体スケジュール、PJ推進体制、目指す姿に基づいた改革計画やロードマップ策定に関するポイントだけでなく、業務効率化・機能集約、人事領域の取組み、改革進捗のモニタリングに関するポイントに至るまで、他社事例を交えながら深堀させて頂きます。

まとめ

総じて、経営層、管理職、現場の従業員が一体となって再発防止に取り組めるような仕掛け・仕組みを意識しながら進めていくことが重要なポイントになります。これにより、組織全体が未来志向のマインドを持って再発防止、ひいては真の全社改革に臨めるようになると考えられます。

こちらは「KPMG Japan Insight Plus」会員限定コンテンツです。
会員の方は「ログインして閲覧する」ボタンよりコンテンツをご覧ください。
新規会員登録は「会員登録する」よりお手続きをお願いします。

競合他社の方は、登録をご遠慮させていただいております。

執筆者

阿部哲治

KPMG Forensic & Risk Advisory ディレクター