2026年、ビジネスに大きな影響を及ぼすことが予想される「公益通報者保護法」と「下請法(改正後は中小受託取引適正化法/取適法)」の改正が施行される。本稿では、両法改正の概要や背景・目的、企業が直面する課題と具体的な取組みを解説する。特に、個別対応に終始したり、過剰反応とならぬよう、リスク管理・コンプライアンス体制の高度化を実現するための「果実」を得る重要性について考察する。
公益通報者保護法の改正が企業実務に与える影響
公益通報者保護法の改正法は2025年6月11日に公布され、公布日から1年6カ月以内に施行されるので、2026年中には施行される。
まず、公益通報者として保護される対象が拡大される。現行法では、役員、従業員、退職後1年以内の従業員、派遣社員、請負契約の労働者が保護対象とされているが、改正法ではこれらに加え、業務委託契約のフリーランス(個人事業主や従業員がゼロの法人)と、契約完了後1年以内のフリーランスも追加される。そのため、今後は取引先マスターや取引先名簿などから、フリーランスに該当する企業の特定や、契約締結時の内部通報制度の説明などが必要になる。
また、企業の内部通報体制の構築に係る義務や禁止行為とともに罰則が強化される。現行法では、内部通報窓口の設置、「従事者」の指定、内部通報規程の策定を含む内部通報体制の構築義務を企業に要求しており、違反した企業には、助言・指導、勧告及び(勧告に従わない場合には)公表といった行政措置であったが、改正法では、従事者の指定義務に違反し勧告に従わない企業への命令権と命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金)を科すほか、立入検査結果に係る報告をしない行為や、虚偽報告、検査拒否を行った企業への刑事罰、30万円以下の罰金を科している。
さらに、現行法では通報情報を必要な範囲外に共有することを禁じ、特に従事者による守秘義務違反時には従事者に30万円以下の刑事罰を科しているが、改正法では、これらに加えて、正当な理由のない通報者の特定や、通報しないことを約束させる行為などが新たな禁止行為として定めている。
そのうえ、現行法では、通報を理由とした解雇は無効、不利益な取り扱いは禁止と定めているが、改正法では新たに通報後1年内の解雇・懲戒は「通報を理由」と推定することとし、民事訴訟の立証責任を企業に課している。加えて改正法では通報を理由として解雇・懲戒をした管理者等に最長6カ月の拘禁刑や、30万円以下の罰金を科すとともに、企業には3,000万円以下の罰金を科している。
さらなる公益通報者保護法の改正の可能性
今回、公益通報者保護法の改正を決議した国会では、施行後3年以内に法改正を行う旨も決議された。これは、公益通報者保護法の改正に係る議論で論点になったが、今回の法改正には反映されなかった論点が多々あったことが要因といえる。
特に、近年、EUが公益通報者保護に係る指令を出し、EU各国が公益通報者保護法を制定・施行しているが、そのレベルと日本の公益通報者保護法のレベルにギャップがあることから、早急にキャッチアップする必要性も背景にあると考えられる。
具体的には、通報者の家族や支援者などはEUでは保護対象とされているが、今回の法改正には反映されていない。また、通報者を探索する行為や、通報させない約束をする妨害行為など、通報者への不利益な取扱いについて、罰則事由とすることは見送られた。さらに、雇用契約ではないフリーランスとの取引における不利益な取扱いの刑事罰も見送りとなった。そのうえまた、通報する際に証拠資料の収集や持出しをした際の、情報漏洩に係る民事責任・刑事責任の免責や、通報者が不正な意図で通報するような濫用的通報の禁止と罰則を定めることは見送りとされた。
なお、人権通報窓口の取扱いも今後の検討事項と考えられる。主要先進国では人権侵害を禁じ、人権通報窓口を要求する個別法が施行されているが、日本にはまだ法制化されていない。公益通報者保護法は、法令に違反する行為に係る公益通報を定めているので、人権に係る個別法がない以上は、現段階では法改正に反映することは非常に難しいと考えられるものの、この点はESGの高まりとともに、注意すべき論点の1つである。
公益通報者保護法の改正への対応に必要な取組み
今回の法改正で当面は完結、ということではなく、さらなる法改正が予定されているので、企業としては法改正の方向性を踏まえて、早め早めの対応を行うことが望ましいといえる。その点を踏まえて、企業実務上必要な取組みとしては、下記の4つを挙げることができる。
1. 内部通報規程の全社的整備と従事者指定の徹底
国内子会社を含め、改正法の要求事項を具備した内部通報規程の整備と、従事者の指定を徹底する必要がある。2024年2月と3月にリリースされた消費者庁のアンケート調査結果*1によると、従業員数300人超の非上場会社では、従事者を指定していないとの回答者が18.3%もあり、同じく内部通報に関する会社規程を策定していないとの回答者が23.3%もあった。この点については、上場企業の国内子会社においても、従事者の指定をしていないケースや、子会社で内部通報規程を整備していないケースは多々見受けられる。
また、従事者については、内部通報窓口の担当者だけを従事者に指定しているケースが少なからず見受けられるが、通報者本人の同意なく通報情報を共有する必要性のあるコンプライアンス責任者なども従事者指定していないと、実務対応において支障をきたすことも考えられる。そのため、法改正を機に従事者範囲の見直しを再検討することが推奨される。
*1 出所:消費者庁「民間事業者等における内部通報制度の実態調査報告書(調査1) 」(PDF:2.1MB)
2. 取引先、フリーランスへの相談窓口の設置・周知
公益通報者として保護される請負企業だけではなく、フリーランスにも相談窓口を周知する必要がある。
また、後述する改正下請法への対応でも、相談窓口を設けることは有用といえるが、個々に通報窓口を設けるよりも、取引先全般に対する相談窓口を設定・周知した方が効率的といえる。可能であれば、AIチャットボットなどをうまく活用し、5W1Hなど必要十分な情報を回答・記入してもらえるような通報情報を収集する仕組みの構築が望まれる。
なお、取引先に対する相談窓口の設置には、自社の行動規範だけではなく、「ビジネスパートナー向け行動規範」も整備・周知して、相談できる事項を明確にすることが前提となる点には留意する必要がある。
3. 窓口・制度の社内外周知と教育強化
消費者庁のアンケート調査結果によると、内部通報窓口が設置されていない、または認知していないと回答した人は、全体で69.8%もあった*2。改正法では、周知義務は企業の法的義務として明記されるので、さらなる周知強化が必要といえる。この点については、人事部門が関与しない採用者(例えば、各部署が雇用する派遣社員や契約社員等や起用するフリーランス)に対し、採用時に十分な説明や周知がされていないケースが散見される点は注意が必要である。
*2 出所:消費者庁「内部通報制度に関する意識調査‐就労者1万人アンケート調査の結果<全体版>」(PDF:1.9MB)
4. 禁止行為の徹底教育
通報があると、その噂を聞き付けた人が「誰が通報したか?」、「従事者指定されていない経営層にも知らせよう」などの言動をしがちであるが、これらは法令上の禁止行為となる。内部通報に係る正しい認識・理解を醸成し、法令上の禁止行為を役員・従業員にさせないようにすることが必要である。
下請法(現行法)の概要と実務上の課題
「製造委託」と「修理委託」を業とする発注者の資本金が3億円を超える法人企業の場合は、受注者の資本金が3億円以下の法人企業または個人企業は「下請企業」として扱われ、発注者は「親企業」となり、下請法の対象になる。下請法の対象になった場合には、親企業に対して、「義務」や「禁止行為」が法的に課される。
また、発注者の資本金が先程の3億円以下であっても、1000万円を超える場合には、法人企業は「親企業」となり、受注者の資本金が1000万円以下の法人企業、または個人企業が「下請企業」に該当し、下請法の対象となる。「情報成果物作成委託」と「役務提供委託」についても、金額は違うものの、同様の基準が設けられている。
下請法の立法趣旨は、親企業による優越的地位の濫用行為を規制し、下請企業の利益を保護することにあり、下請法の適用対象となる相手先は、親事業者に比べて資本金が小さな下請事業者と個人事業主になる。
ここで、下請法は資本金の額を日本円で定義しているため、「資本金が円以外(例えばドル)の場合には、どう算定すればよいのか?」「そもそも受発注業者が海外の場合は下請法が適用されるのか?」という課題がある。また、適用対象の取引についても、製造委託のない小売業者が商品を仕入れる行為は下請法の対象外となる。その他にも、例えば清掃事業委託の場合、顧客オフィスの清掃を外部委託する場合は下請法の対象となるが、社内清掃の委託費は対象外となる。
また、物品の運送については、これまで物流事業者間の再委託取引については下請法を適用し、荷主・運送事業者との取引については独占禁止法を適用するといういびつな形になっている等、適用対象となる取引と対象外の取引の判断が難しい面があり、下請法の対象となる取引として認識されないケースも珍しくない。
さらに、下請法が定める主な義務や禁止行為についても、注文書などの書面交付義務や、納品後60日以内に支払をしなければならない義務、基本契約などで合意のない振込手数料等の相殺の禁止、買い叩き等の禁止が挙げられる。
ここでは、
1. 緊急発注等の事態が起こった際にも、厳密に守らなければならないのか?
2. 下請企業からの請求書が未着なのに、60日を守らないといけないのか?
3. 長年、取引基本契約書も未締結の状態なのに、今から締結するのか?
4. 量産見込み違いでの低単価も「買い叩き」の認定をするのか?
などの実務上の課題がある。なお、60日以内の支払については、検収時から60日ではなく、納品日から60日であるので、支払条件の締め日ルールが法令違反になっていないか注意されたい。
下請法の改正前の動向
下請法は、「1. 下請取引の公正化」「2. 下請企業の利益保護」を目的とし、独占禁止法における優越的地位の濫用、特に下請取引に焦点を当て、より具体的に規制する特別法として施行された。これと同様、近年、「取引の公正性」や「弱い立場の企業・働く者を保護する」という政策目的に沿って、法令の施行や改訂、また、公正取引委員会による企業に対する勧告などの監督が活発になっている。
1. フリーランス新法(2024年11⽉施⾏)
2024年11⽉にフリーランス新法が施行された。フリーランス、すなわち個人企業、従業員ゼロの法人(一人親方)との全ての取引がフリーランス新法の対象となり、書面交付義務、支払遅延や買い叩き等の禁止など、下請法とほぼ同様の禁止事項・義務が課せられる。
2. 貨物自動車運送事業法による「荷主勧告制度」
貨物自動車運送事業法により「荷主勧告制度」が導入された。所管は国土交通省であるが、違反した企業を実名で公表する他、独占禁止法違反の疑いがある場合には、公正取引委員会に通知される。実際に、公正取引委員会が独占禁止法に定める不公正取引を行ったとして、通知を受けた企業に対して警告を行ったケースも見受けられる。
3. 公正取引委員会の監督の活発化
前述した荷主と物流企業との取引に関する調査の強化や独禁法・不公正取引の警告のほかにも、下請企業との価格協議の指導があるほか、中小企業への聞き取り・窓口相談の強化を行い、様々な業界で勧告・警告を行うケースが増加している。最近では、「金型の無償保管」を問題視した勧告を行うケースが増えている。
下請法の改正が企業実務に与える影響
近年、原材料費、労務費などが急激に上がり、そのしわ寄せは、中小企業や下請業者に行きがちであるが、物価上昇よりも大きな賃上げを実現するには、企業が賃上げの原資をしっかり確保する必要がある。つまり、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を実現する仕組み作りが重要となることから、下請法の大改正が行われる。
すなわち、下請法の改正法は2025年5月23日に公布され、2026年1月1日に施行される。下請法の正式名称「下請代金支払遅延等防止法」も、「製造委託等に係る中小受託企業に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、通称「取適法」となる。名称変更にあらわれているように、企業実務にかなり大きな影響を与えることが予想される改正内容となっている。
まず、「下請事業者」という呼び名は「中小受託事業者」になり、「親事業者」も「委託事業者」になる。次に、取適法の適用範囲が増える。まず、従来の資本金基準だけでなく、従業員基準が加わった点は大きな変更である。そのため、取引先について、常時雇用する従業員数を適時に把握し、取適法の適用の対象か否かを判定することが必要となる。
また、物品の運送については、物品の運送を委託する取引も含めて「特定運送委託」と定義し、新たに取適法の規制対象となる。そのため、大手の運送事業社以外の運送委託先についても、取適法の適用の対象か否かを判定することが必要となる。
中小受託取引適正化法ガイドブック『「下請法」は「取適法」へ』(PDF:3.9MB)より、KPMGが作成。
最後に、改正法が定める法的義務も増える。現在、公正取引委員会が「指導」している価格協議や取引条件の説明の場の設定については、法律上の義務として明文化される。また、手形払いが禁止とされる。従前は納品後60日以内であれば、60日以内の支払サイトの手形払いは違法ではなかったが、改正後は手形払いそのものが取適法違反となる。
このように、大きな改正となった取適法であるが、施行開始日が2026年1月1日とされており、十分な準備や対応のための期間がない中で、対応が迫られることになる。よって、取適法が適用となる相手先が増加するにも関わらずリソースが確保できないケースや、手形払いの禁止に伴う資金繰りの圧迫などが懸念される。また、年に1回は価格協議等の場を設けることも法的義務とされたため、この際には、相手先の資本金や従業員数も併せて把握する等、効率的な対応をしておくことも必要と考えられる。
取適法(改正下請法)対応に必要な取組み
取適法は、フリーランス新法とともに、立場の弱い企業の保護を目的としているため、この2つの法律への対応は同時並行で進めることが効果的といえるが、5つの取組みを推奨する。
1. 取引先マスター登録・取引先台帳の点検と拡充
登録している取引先については、最低限、資本金・従業員数が登録できる項目、取適法・フリーランス新法の適用対象のFlagが立つ仕組みがあるかを点検し、併せて、支払締め日、基本契約締結の有無、取引内容などの登録ができるように拡充することが必要となる。
2. 取適法・フリーランス新法の適用対象となる取引先の実態調査
これら2つの法令の適用対象となる相手先の実態の確認である。1のインフラを整備・運用した上で、資本金、従業員数、支払締め日、基本契約締結の有無、取引内容、何らかの相殺の有無、注文書等の書面交付の状況、価格協議の場の有無や設定の頻度や、金型の保管状況、再委託先の状況などを登録し、一元管理できる仕組みが必要となる。
3. 部門横断的な対応・グループ横断的な対応
調達部門または法務部門だけの対応では非常に困難であるため、部門横断的な対応・グループ横断的な対応が必要になる。これらは、関係者の説得など、時間を要するため、早期に開始する必要がある。また、調達部門が関与していない取引も多々あるほか、国内子会社(グループ会社)における対応が困難という状況も大いに想定されるところであり、注意を要する。
4. 取引先に対する相談窓口の設置
下請法などの勧告事例増加の背景には、公正取引委員会などが中小企業に対するアンケート、聞き取り調査、相談受付から情報を収集していることが契機となっているといわれている。そのため、公正取引委員会・中小企業庁に相談される前に、企業が早期に自前の相談窓口を通じて、法令違反に抵触するリスクを把握して早期に改善することは、勧告・公表されることによる企業ブランドのダメージを避けるためにも、非常に重要と考えられる。
5. サードパーティ(再委託先等)の把握と取引先への指導・周知
サードパーティと言われる再委託先などの把握と、直接の取引先への指導・周知を少しずつでも充実させることである。外注先、商社・代理店等の直接の取引先が取適法の適用対象でなくても、それらの再委託先等が取適法の適用対象となる場合、外注先、商社・代理店等の直接の取引先が法令違反となる行為をしてしまうケースは少なくないと考えられる。サードパーティ管理は非常に困難かもしれないが、公正取引委員会は、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させることを明確に示しているので、サードパーティ管理も念頭に改正法対応を行うことを推奨する。
最後に
法改正への対応の他にも、企業実務ではいくつかの課題があると考えられる。企業は、実務上の課題を十分に把握した上で、法改正への対応をリスク管理・コンプライアンス体制の向上のためのステップに活用できることが望ましい。
1. 取引先マスター登録・取引先台帳の整備
取引先マスター登録・取引先台帳については、会計システムの支払先マスター情報では支払口座に関する最低限の情報しか登録できておらず、事業サイドの購買先マスターに詳細な情報が登録されているケースは少なくない。しかし、同じ会社なのに複数の事業別に別々の取引先マスター登録・取引先台帳様式の状況は非常に多く見受けられ、中には、システム対応が困難なケースもあるので、早めに取引先マスターの状況を確認することが必要である。短期間での調査が難しい場合には外部リソースの活用も見当が必要であるほか、システム改修のための予算の手当ても必要となる可能性がある。
2. 取適法の適用範囲の正しい認識
いままで下請法の対象とならなかった業種の企業では、新たな取適法の適用についての認識が不十分な企業も多々見受けられる。しかし、運送取引はあらゆる業種でも適用対象となる。早めに適用対象となる取引を確認することが必要であるが、短期間での調査が難しい場合には外部リソースの活用も検討の余地がある。
3. グループ行動規範・会社規程等の改訂
法改正されたのに、行動規範や会社規程が改訂されていないと、法令の要求事項を満たしていないことにつながり、もしも法令違反が発覚した場合には、企業全体の組織管理責任が問われかねない。逆に、過剰反応も禁物といえる。法改正を機に、会社の状況や業務プロセスを無視して詳細すぎる規程をそのまま導入することは避けるべきといえる。なお、取引先向けの行動規範の策定が有効であることは、前述の通りである。
4. 適切な相談窓口の設置
ハラスメント相談窓口、下請法専門窓口、人権専門窓口、カルテル専門窓口など、相談窓口の細分化の現象が起きつつあるが、相談窓口をバラバラに設置することは避けるべきと考える。細分化した場合、各分野の専門業者による指導が存在することはメリットではあるが、担当部署の縦割り主義の弊害によりデメリットは大きい。相談窓口の共通の対応・判断基準や手順書等を整備しないまま、バラバラに相談窓口を運用してしまっては、重要な通報か否かの判断もバラバラになり、対応スピードもバラバラになりかねない。通報・相談窓口を含めたリスク情報・インシデントの報告の仕組みについては、今回の法改正を契機に、見直し・再構築にトライすることが強く推奨される。
5. 価格協議の場の確保と情報収集
中小受託事業者との価格協議の場を設定し、上手く活用することで、取引先の実態を把握することができる。取引先の実態把握ができれば、架空取引等の不正取引の発見や不正予防に役立つことが期待される。ただし、「取引継続ありき」で実態確認が形式的になってしまうと、不正取引が発見できない可能性には注意を要する。
フリーランス新法はすでに施行された。公益通報者保護法のみならず、特に、取適法は来年の1月施行であり、施行まで十分な期間がない。これら法令対応は待ったなしと言える。しかしながら、見せかけだけの法改正対応に終始せず、業務プロセスの見直しやリスク管理やコンプライアンス体制の強化といった何らかの「果実」を得る大きなチャンスとも言える。対応実務の好事例を把握している外部専門家の活用を含め、ぜひ経営層に早期の対応を訴求することが企業にとって最善策と言える。