企業不正は「ホワイトカラー犯罪」とも呼ばれ、損害を被る企業は後を絶たず、世界中のメディアの誌面を賑わせています。我々は、KPMGフォレンジックサービス部門での業務を通じ、企業不正が企業や従業員、そして社会全体に及ぼす深刻な影響を目の当たりにしてきました。不正対策で肝要なことは、いかに不正に対する守りを固め、不正を防止し、また早期に発見するかに尽きます。

こうした不正対策の重要課題を掘り下げるため、KPMGは広範なグローバル調査を実施し、不正行為者の主な人物像と手口、そして不正行為者が付け込む企業の弱点を明らかにしました。

企業不正にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、守りを固めるには、強固な内部統制の導入、倫理的な文化の醸成、検知メカニズムやテクノロジーの強化、協力体制と透明性の強化、テクノロジーの変化への対応など、積極的な対策が必要です。KPMGは、クライアントがこれらの対策に取り組み、企業不正に効果的に対抗するための支援を提供しています。
この調査結果が、安全かつ信頼性の高い企業環境の構築に少しでも貢献できれば幸いです。

「不正行為者は、周囲から敬意を持たれており、勤続年数が長く、誠実そうに見え、周囲の人物が疑いもしないような人物であることが多いです。そのため監視と強固な内部統制が重要になります。」

Alexander Geschonneck
Partner, Global Forensic Leader
KPMG in Germany

不正行為者はどのような人物か?どのような手法がとられるのか?企業はいかに不正に対する守りを固め、不正を防止できるか?

KPMGグローバル不正調査:結果の要点

  1. 不正行為者は主に男性、36~55歳、評価が高く勤務年数が長い
  2. 最もよく見られたのは資産の不正流用、特に横領と調達不正
  3. 不正は事業部門、財務部門、CEO室、調達部門などさまざまな部門で発生
  4. 不正の最大の原因は統制の不備と見られる
  5. 検知のきっかけとして最も多いのは内部通報や非公式な情報源からの情報提供
  6. 不正の55%は共謀によるもので、2~5人が絡むことが多い

本調査 について

本調査では、世界のKPMGメンバーファームのフォレンジック専門家に対してアンケート調査を行い、不正行為者の詳細を尋ねました。アンケートに協力したのは不正の被害を受けた企業の依頼に基づいて不正を調査した専門家で、各不正行為者について詳細な回答が提供されました。これらの不正調査では、不正行為者に対する聞き取り調査が多く実施されたため、不正行為者および不正行為の内容の詳細が明らかとなっています。

本報告書は、過去5年間にKPMGメンバーファームが調査した256件の不正事例の分析結果をまとめたものです。2人以上の不正行為者が関与した事例があるため、回答内容に基づけば、669人以上の不正行為者が対象となっています。