市場の成熟、製品のコモディティ化、海外新興企業の台頭などにより、売上利益の向上に頭を悩ませてきた日本の製造業は、モノづくりからコトづくりというキーワードのもと、新規事業創出に取り組んでいます。そのようななか、想定した成果が出せていない企業が多い要因の1つとして、新規事業検討方法が定義されていないまま計画が進められ、属人的なアプローチにとなっていることが挙げられます。
部門 | 課題例 |
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経営層 |
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新規事業推進部門 |
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新規事業実行部門(事業部、研究所など) |
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このような課題の解決には、新規事業検討のプロセスと組織・人材の視点からアプローチを行うことが有効です。また、適正なプロセスを構築するには3つの論点を解決できるような進め方を立案する必要があります。
2.新規事業創出におけるプロセス構築の方法
論点 | 対応 |
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1.正しい新規事業を選定すること(ポートフォリオ) |
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2.計画と進捗を可視化させること(ロードマップ) |
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3.新規事業の検討と審査を正しく進めること(ステージゲート) |
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あるべきプロセスは、どのような新規事業を創出するかによってカスタマイズが必要となります。下図を基に解説します。
基本となるのは、A象限の新規事業創出です。既存クライアントとの接点を活用して、クライアントの将来ニーズを掴みながら、獲得すべき要素技術を研究所または既存事業の先行開発部門で構築していくアプローチです。新規市場に出ていくアプローチとしての基本はB象限の方法で、既存事業で獲得した要素技術を他製品やサービスで活用できるように用途展開を図ります。C象限(飛び地)は、クライアント接点のない市場においてニーズを把握すること、また自社が保有していない要素技術を外部から獲得することが必要となるため、A・B象限の新規事業検討に比べると難易度の高いアプローチです。
しかし、自社の事業環境、新規事業テーマのポートフォリオ拡充のためなど、新たなアプローチを模索したい場合はC象限のアプローチも1つの手段となり得ます。ただし、外部技術探索など自社で知見、経験の少ない検討作業が必要となるため、組織構築、人材育成(外部人材の活用も含む)などの施策もあわせて検討することが求められます。
3.KPMGによる支援
執筆者
KPMGコンサルティング
アソシエイトパートナー 大木 俊和
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