2024年10月2日、欧州委員会は、企業や関係国からの要請を踏まえ、森林破壊防止規則(EUDR)の適用を12ヵ月延期する法案をEU議会および理事会に提出することを発表しました。この法案が認められれば、大企業は2025年12月30日、中小企業は2026年6月30日から、規則が適用されることとなります。

欧州委員会はこの延期案を発表すると同時に、新たなガイダンス文書とFAQ(細則)も公開しました。
これらの文書は、EUDRの対応を進めるうえで重要な指針となるものの、適合に必要な手順や情報が網羅されているわけではなく、いまだに企業が独自の判断を下さなければいけない部分も多く残されています。

たとえば、EUDRの適用対象外であることを証明するプロセスでは、合理的な証憑をどのように収集・提出するか等について明確な指針は示されていません。事業者にとっては、関連法令等を参照しながら、自社の取引形態に応じて柔軟に対応することが必要となります。

EUDR以外に目を向けると、以下の法令等の整備も進んでいます。

  • サプライチェーンのデューデリジェンス等を要請する、 CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive: 企業サステナビリティ報告指令)
  • CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive: 企業サステナビリティデューデリジェンス指令)
  • Battery Regulation(バッテリー規則)

今回、猶予期間が認められれば、グローバルサプライチェーンを持つ企業にとって、EUDRの対応戦略を再考し、かつ、複数の法令対応を視野にいれながら環境責任を果たすための重要な機会となり得ます。

KPMGは、豊富な実績を通じて培ったノウハウや、グローバルネットワークを活用した対応方針の策定やリスクと機会の分析、戦略策定・目標の設定等、サステナブルサプライチェーンの実現に向けたさまざまな支援を行っています。お気軽にお問い合わせください。

執筆者

KPMGコンサルティング
マネジャー 荒尾 宗明
マネジャー 外川 元太
シニアコンサルタント 吉田 愛子
コンサルタント 冨田 響一朗

お問合せ