TNFD開示提言 LEAPアプローチを紐解く(1/2)
自然関連リスク・機会の管理と開示のための「TNFDフレームワーク」への対応を進めるうえで、企業における自然関連課題を特定・評価するLEAPアプローチが有用です。これに取り組むことが「ネイチャーポジティブ」実現のための第一歩となります。
企業における自然関連課題を特定・評価するLEAPアプローチはTNFD対応において有用であり、これに取り組むことが「ネイチャーポジティブ」実現のための第一歩となります。
2023年9月、自然関連リスク・機会の管理と開示のための「TNFD開示提言」の最終版であるv1.0が公表されました。今後、“自然”を正の方向に回復させる「ネイチャーポジティブ」を実現するために、TCFD同様、企業や金融機関は本提言の導入を進めることが想定されます。
TNFD開示提言では、ISSBやTCFDと整合した4つの柱(ガバナンス、戦略、リスクとインパクトの管理、指標と目標)から構成される項目の開示が推奨されており、それぞれにおいて何を開示すべきか、「自然関連財務情報開示タスクフォースの提言」(以下、TNFD)として日本語版のガイダンスが出されています。企業は、自分たちが事業活動を行っている場所の特徴や、事業活動が関連する自然関連の依存とインパクトを把握し、それらがどのようなリスク・機会につながるのかを対外的に示すこと、重要なリスクを低減、機会を獲得するための戦略を策定し、指標と目標を立てて推進することが期待されています。金融機関も自社の取組みを開示することが求められると同時に、投融資ポートフォリオに含まれる企業の取組みを評価し、投融資の意思決定に活かすことが期待されています。TNFDに沿った情報開示を行うために必要なこのストーリーをステップごとに示したのが「LEAPアプローチ」です。
本記事は、このLEAPアプローチの前半部分について、実務担当者が迷いやすいポイントなども踏まえ解説していきます。
※TNFDの全体像については、「TNFDフレームワークv1.0公表 - 新たな自然関連情報開示の幕開け」をご参照ください。
※金融機関を対象としたTNFD開示対応の解説は2024年7月に配信予定です。
※本記事公表時点で、TNFD開示提言v1.0におけるLEAPアプローチのガイダンスの日本語版は公表されていません。本記事における日本語表記は、KPMGによる暫定訳です。
目次
- LEAPアプローチの概要
- Scoping
- Locate - 自然との接点を発見する
- Evaluate - 依存と影響を診断する
執筆者
KPMGあずさサステナビリティ
マネジャー 鈴木 ももこ
シニアアソシエイト 松雪 遥