テレコム業界で進む“競争と協調”、その事業機会とリスクとは
テレコム業界の成長を牽引してきた携帯電話とインターネットは市場の成熟により競争フェーズが変化しています。インフラシェアリング、OpenRoaming、O-RAN/OpenWi-Fiをテレコム業界で進む“競争と協調”の事例として、そこから見出される事業機会と、ゲームチェンジ中の注意点を解説します。
テレコム業界で進む“競争と協調”領域に着目し、そこから見出される事業機会と、ゲームチェンジのなか注意すべきことを解説します。
事業機会やリスク発掘のため、テレコム業界で起こっている競争と協調の事例を紹介します。
ハイライト
協調戦略 背景とパターン
協調戦略が生まれる原因として、競争環境の変化、経済条件の変化、社会情勢の変化、イノベーションによる変化が挙げられます。競争を続けるのか、協調で利を取るのか。
テレコム業界における協調戦略事例を紹介します。
協調戦略 事例(1) インフラシェアリング
インフラシェアリングとは、通信タワーを2社以上でシェアリングすることを指します。共有対象は、アンテナ、基地局装置まで広がるケースもあり、新設されたビルではネットワーク装置をシェアリングするパターンが拡大しています。
タワー会社の組成パターンは大きく3つに分けられ、それぞれのパターンで携帯電話会社の思惑やタワー会社が抱える課題が異なります。タワー会社との取引にあたっては、該当のタワー会社がどのような背景をもってうまれてきたかを理解することが重要です。
- カーブアウト型
- JV型
- 独立型
欧米では昔からある取組みですが、日本においては「今」、まさにインフラシェアリングが黎明期を迎えています。このビジネスの成長ファクター、ビジネス例、リスク要因を整理します。
協調戦略 事例(2) OpenRoaming
1990年代後半、電気電子学会による802.11規格と共にWi-Fiが導入、Wi-Fi機能を備えたノートパソコン、スマートフォン、他スマートデバイスの台頭により2000年代中盤から大きな成長を遂げています。
身近で不可欠なものとなったWi-Fiには公衆型と有償型がありますが、いずれにもさまざまな課題があります。これら課題に対する解決策がOpenRoamingです。
従来のWi-Fiでは、自社のアクセスポイントは、自社のIDを持つ人だけが利用可能でしたが、OpenRoamingであれば、ID発行者とアクセスポイント提供者で共通の仕様に則り、互いの顧客が自由にWi-Fiを使えるようになります。
協調戦略 事例(3) O-Ran/OpenWi-Fi
従来のネットワーク装置では、アンテナ装置と制御装置では同一ベンダーでないと機能しませんが、O-Ran/OpenWi-Fiであれば、ネットワーク装置の機能を細分化・仮想化して共通の仕様を構築し、最適な装置を組み合わせて使えるようになります。
テレコム業界で最もホットであり、日本の通信キャリアやベンダーが得意とする領域です。
協調戦略におけるリスクとは
協調戦略は明るい側面のみならず、意図せず談合とみなされる、協調相手が強大な競合になるといったリスクも含んでいます。そのため、リスクをマネジメントする中立的な第三者の役割が不可欠です。
解説者
KPMGコンサルティング
プロフェッショナルマネジャー 根岸 次郎
監修者
KPMGジャパン テクノロジー・メディア・通信セクター
KPMGコンサルティング
通信セクター統轄リーダー ディレクター 石原 剛
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