スタートアップ10万社へ~レイターステージへの投資と専門家不足に課題
日本のスタートアップの資金調達額は2022年に過去最高を更新しました。レイターステージへの投資の弱さなど課題も残るなか、政府が掲げるスタートアップ企業・ユニコーン企業創出に向けた課題と展望を示します。
政府が掲げるスタートアップ企業・ユニコーン企業の創出に向け、日本が取り組むべき課題と展望を示します。
米国と比較して、スタートアップの数が圧倒的に少ない日本。グローバルに成功するユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未上場スタートアップ企業)が育ちにくいことは、日本経済停滞の理由の1つとも指摘されます。日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、同年11月、スタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模まで増やし、スタートアップ10万社、ユニコーン企業100社を創出することなどを目標とする「スタートアップ育成5か年計画」を発表しました。本稿では、リスクマネーの供給と人材の確保という2つの鍵について、直近の国内スタートアップの資金調達動向を踏まえ、課題と展望を考察します。
2023年1月発行の「KPMG Insight Vol.58」では、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ代表取締役社長/一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会代表理事(会長)の中野慎三氏をお招きし、スタートアップを創出・育成する鍵について伺いました。
中野氏によれば、日本がユニコーン企業を創出していくためには、未上場で500~1,000億円規模に成長するまでの間を支援するリスクマネーの供給が鍵となります。それを増やすには、海外の投資家を呼び込むなど、プレーヤーの数を増やす必要もあります。
一方、国内のスタートアップに関わる優秀な人材の確保も重要な鍵です。なかでも、米国をはじめとするスタートアップ先進国と比較して、日本は人材の流動性や多様性に課題があります。専門性の高い人材がスタートアップに参画し、大企業との間を流動的に移動する環境を作ること、そのために大企業の人事制度を変更したり、スタートアップの給与水準を今以上に高めたりすることが重要であることが指摘されています。
目次
- 国内のシード、アーリーステージの資金調達は順調
- 世界のユニコーン企業は1,000社、日本では数えるほど
- 国内のレイターステージへの投資が少ない理由
- VCに関わる人材の専門家不足と流動性不足
- 大学発ディープテック領域のスタートアップを育てる
執筆者
KPMGジャパン プライベートエンタープライズセクター
スタートアップ統轄パートナー 阿部 博
関連リンク
KPMG Insight Vol.58
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