建設業における人権デュー・ディリジェンスの留意点
国連による「ビジネスと人権に関する指導原則」の採択から10年以上が経過し、人権尊重への企業の取組みを促進する動きが急速に高まっています。本稿では、建設業における人権デュー・ディリジェンスの留意点について、業界特有の課題に焦点を当てて解説します。
人権尊重への企業の取組みを促進する動きが急速に高まっています。本稿では、建設業における人権デュー・ディリジェンスの留意点について、業界特有の課題に焦点を当てて解説します。
1.経営課題としての人権リスクマネジメント
企業は、その活動に関わるさまざまなステークホルダーに与えうる人権への負の影響を特定し、それらを防止・軽減する責任を有しています。そのため、企業活動に潜む人権リスクを適切に特定・評価し、防止・軽減に努めるとともに、その実効性に係る監視および情報開示を行う人権デュー・ディリジェンス*の実行を徹底することは企業の持続可能性の確保と企業価値向上にとって不可欠であるといえます。
*企業における人権デュー・ディリジェンスの取組詳細については「実効性のある人権デュー・ディリジェンスを目指して - KPMGジャパン」をご参照ください。
2.建設業における主な人権リスク
建設業においては以下のような人権リスクの発現が他業種と比較して多い傾向にあります。
(1)労働力不足を背景とする外国人労働者の人権リスク
(2)長時間労働の常態化
(3)労働安全衛生の確保
3.建設業における人権デュー・ディリジェンス
実効的な人権デュー・ディリジェンスを実践するためには、業界特有の契約形態や各ステークホルダーが置かれる状況に応じた対応が肝要です。
人権デュー・ディリジェンスの対象となる主なステークホルダー:
(1)従業員
(2)協力会社
(3)調達先
(4)地域住民
協力会社についてはその施工・契約形態の構造に起因して、人権デュー・ディリジェンスを実施するうえで特に留意が必要と考えられます。
4.終わりに
建設業では、さまざまな人権リスクが想定されるとともに、業界特有の取引構造に起因する課題もあります。その取引構造の中において人権リスクがどこに潜んでいるのかを適切に把握し、その実態に応じた施策を展開することで、人権デュー・ディリジェンスの実効性を高めていくことが不可欠です。
執筆者
あずさ監査法人
サステナブルバリュー統轄事業部 サステナビリティ・トランスフォーメーション
シニアマネジャー 兒玉 啓子
こちらは「KPMG Japan Insight Plus」会員限定コンテンツです。 会員の方は「ログインして閲覧する」ボタンよりコンテンツをご覧ください。 新規会員登録は「会員登録する」よりお手続きをお願いします。 |
競合他社の方は、登録をご遠慮させていただいております。