ホテル観光業界のESG課題 ~サステナブルなビジネスモデルの模索~
国内のホテル・旅館等を保有・運営する事業会社や、国内のホテル・旅館等に投融資等を行っている投資会社・銀行・ノンバンク・証券会社・アセットマネジメント会社を対象に実施したアンケート結果より、ホテルの開発・経営・運営にあたって取り組むべきESG課題について詳述します。
ホテルの開発・経営・運営にあたって取り組むべきESG課題について詳述します。
ハイライト
1.ESG全般
ESG課題への取組みによる事業成長機会
ホテル業界では、今後、ESG経営における環境・社会・ガバナンスのすべての領域への積極的な取組みが予想されます。ホテル事業は、環境課題や地域経済への大きな影響力を有しており、付加価値を創出するビジネスモデルの構築と新たな成長機会の模索が必要とされています。
2.Environment
環境費用増加の影響と価格転嫁の模索
環境負荷を評価する認証制度が注目されています。投融資家の間で環境配慮型開発への高い意識が見られるため、評価認証を取得することで投資家への説明責任を果たすことができると期待されています。一方、こうした環境課題への取組みによるコスト増加が懸念され、コストの販売価格への転嫁可否が課題となっています。サステナブル・プライシングを可能とする付加価値の高いブランドの再構築が求められています。
3.Social
社会の取組みと中長期的な収支改善
慢性的な労働力不足と賃金上昇は、ホテル観光業界においても課題とされています。さまざまな取組みが必要とされていますが、実態を伴う仕組み作りや実施のリソース確保が困難な現状です。こうした職場環境の改善は収支へ影響し、収益体質も改善されると期待されています。
4.Governance
ホテル事業特有のガバナンス課題と価値向上
人材不足はマネジメント層にも及び、近年では所有・経営・運営の機能分離、事業再編を行うケースが増えています。各機能において専門的知見に基づいた持続的経営が実行されているかが懸念され、資産価値向上を妨げる可能性が指摘されています。経営機能の強化はガバナンス改善として求められており、経営幹部に持続的経営に知見と理解を有する人材を登用することが重要です。
執筆者
KPMGジャパン インフラストラクチャー 運輸・物流・ホテル・観光セクター
KPMG FAS 執行役員パートナー 栗原 隆
KPMG FAS シニアマネジャー
石井 秀樹
KPMG FAS シニアマネジャー
クレパル 章子
KPMG FAS マネジャー
谷本 千春
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