製造業は、新型コロナウイルス感染症の影響をどうにか中和し、2021年にはパンデミック前の水準を達成しました。パンデミック前からデジタル化が進んでいた製造企業は、危機の最中にデジタル化を加速させた企業と同様、レジリエンス(強靱性)の面で強みがあり、機敏でレジリエントな製造プロセスやシステムを備える重要性を浮き彫りにしました。来たる成長期に乗って、異例の速さで進む景気回復の変動の中で力を発揮したい企業は、ビジネスの機敏性が最も重要であることに気づくかもしれません。

製造企業は、レジリエントなサプライチェーンの構築、持続可能な製造、技術の進歩と採用、インダストリー4.0、新たな競争にしっかりと焦点を当て、今後数年間の業界を方向付ける主要な動向に目配りすることが不可欠です。

このたびKPMGインターナショナルは「製造業における新興動向」に関するレポートを発表しました。これは、製造業の主要なサブセクターである金属、航空宇宙・防衛、機械、建築・建設に焦点を当て、世界の製造業の現行シナリオ、主要な動向およびリスク、新たな競争環境について評価したものです。

本レポートでは、主要なサブセクターにおける以下のメガトレンドの影響について解説します。

サプライチェーンのレジリエンス構築

サプライチェーンの混乱は、製造企業が直面する主要な障害の1つです。パンデミックとその他の地政学的問題は、ロシア・ウクライナ戦争、スエズ運河の封鎖、半導体不足、労働力不足、原材料不足、パンデミック中の工場閉鎖といった他の混乱とともに、世界中の製造業にさらなる複雑性と混乱をもたらしています。

そのため、製造企業は、効率的なサプライチェーンの仕組みを確保するうえで、レジリエンスと費用効率の健全なバランスを保ちながら、機敏なシステムを備えることが非常に重要です。本レポートのこのセクションではさらに、影響を最小限に抑えるために各メーカーが取った主要な行動に加えて、サプライチェーンのリスクを管理する戦略を紹介します。自動化、デジタル化、オフショアリングからニアショアリングやリショアリングへの移行、「ジャストインタイム」方式のサプライチェーンから「ジャストインケース」方式のサプライチェーンへの移行、サプライチェーン管理を構造的意思決定に組み込むことなどは、その一例です。

持続可能な製造

今日のグローバル経済において、持続可能で倫理的なビジネス慣行を採用することは、製造業が収益性を維持するために欠かせません。ESGと持続可能性プログラムの関連性は、これらをないがしろにすればより大きく著しい影響が出かねないほど高まっています。

  • 企業は方針や慣行が環境に与える影響をないがしろにすることで、より大きな財務リスクに見舞われる可能性があります。
  • また、企業は政府からの制裁や刑事処分を受けたり、評判に傷がついたりした場合、株主価値を毀損する可能性もあります。

ビジネス慣行における持続可能性は、企業の財務実績、ビジネスの卓越性、ステークホルダーとの関係にプラスの影響をもたらす可能性を秘めています。投資家、規制当局、従業員、消費者の間で、ESGを採用する企業がより好まれるようになってきています。

インダストリー4.0

製造業の管理、特に在庫、サプライチェーン、オペレーション管理などの分野で、テクノロジーは重要な役割を担っています。以前とは異なり、顧客があらゆる産業の中心に存在し、製品戦略の決め手となっています。

インダストリー4.0とは、ただデータとつながっているだけでなく、データを通信、分析、活用して、現実世界でより知的な活動を促すデジタル製造業を創造することです。この変革により、サプライチェーンを管理する戦略の設計、資源の無駄遣い防止、生産率の向上と余剰生産のリスク管理、従業員間のコミュニケーション強化、商品の流通管理、異なる市場セグメント向けのスマート製品の開発、優れた顧客体験の提供など、さまざまな形で製造業者の役に立つバリューチェーン全体の情報提供が可能になります。

本レポートのこのセクションではさらに、製造業の主要なサブセクターにおけるインダストリー4.0の浸透について紹介します。

新たな競争環境

世界的な逆境を取り巻く混乱の継続によって、製造企業各社には、競争環境の維持に向けて市場の新たな機会を評価するよう非常に大きな圧力がかかっています。新しい収益モデルは、経常的なキャッシュインフローを提供し、機敏性と柔軟性を高め、サプライヤーとの関係を強固にし、成功と成長を確実にする可能性を秘めています。

物価上昇、伝統的なビジネスモデルから革新的なモデルへの転換、新たなスタートアップエコシステムの出現、M&Aによる業界再編の進展は、製造企業各社が自社の立ち位置を確立するための競争につながる重要なテーマです。本レポートのこのセクションでは、これらの重要なテーマが主要なサブセクターに与える影響について紹介します。

詳細については原文(英文)にて、ご確認いただけます。なお、当レポートは英文のみの公開です。

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