四半期報告書の廃止を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が成立

2023年11月20日、四半期報告書の廃止を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が原案どおり成立しました。

2023年11月20日、四半期報告書の廃止を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が原案どおり成立しました。

1.概要

金融商品取引法等の一部を改正する法律は、デジタル化の進展等の環境変化に対応し、金融サービスの顧客等の利便の向上及び保護を図るため、「顧客本位の業務運営・金融リテラシー」、「企業開示」等に関する制度を整備するためのものです。

「企業開示」については、令和3年度及び4年度のディスクロージャーワーキング・グループでの提言を受けて、以下の内容が含まれています。

  • 上場会社に対する期中の業績等の開示頻度の改正(四半期報告書制度の廃止)

上場会社に対して、四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付けることとし、四半期報告書の提出に関する規定を削除する(金融商品取引法第24条の4の7、第24条の5等)。なお、半期報告書の記載事項及び提出期限については、下表の区分ごとに規定されている。

区分 記載事項 提出期限
(1)上場会社等((2)を除く。) 半期報告書共通記載事項(※1)(※2) 半期決算後45日以内の日(※3)
(2)上場会社等のうち金融システムの安定を図るためその業務の健全性を確保する必要がある事業(※1)を行う会社
半期報告書共通記載事項(※1)(※2)
+当該会社に係る半期報告書共通記載事項と同様の事項(※1)
半期決算後60日以内の日(※3)
(3)非上場会社(※4)
半期報告書共通記載事項(※1)
+当該会社に係る半期報告書共通記載事項と同様の事項(※1)
+上記を補足する事項(※1)
半期決算後3ヵ月以内の日(※3)

(※1)内閣府令で規定
(※2)当該事業年度が開始した日以後6月間の当該会社の属する企業集団の経理の状況その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項
(※3)政令で規定
(※4)(2)の事業を行う会社は、(2)の記載事項及び提出期限、それ以外の会社については、(1)の記載事項及び提出期限によることも選択可能
 

  • 公衆縦覧期間の延長

参照方式の届出書、発行登録書類及び発行登録追補書類、半期報告書及び半期報告書の確認書並びに臨時報告書(これらの訂正書類も含む。)の公衆縦覧期間を5年に延長する(金融商品取引法第25条)。

2.施行期日

原則として、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなります。

なお、四半期報告制度の廃止及び公衆縦覧期間の延長に関する規定は、2024年4月1日から施行となります(金融商品取引法等の一部を改正する法律附則第1条第3号)。ただし、2024年4月1日より前に開始した四半期に係る四半期報告書の提出についてはなお従前の例によるとの経過措置が設けられているため、2024年4月1日以後開始する四半期から四半期報告書が廃止されることになります(同第2条第1項)。

改正後の規定に基づく半期報告書については、2024年4月1日以後に開始する事業年度に係るものの提出が求められます(同第3条第1項)。ただし、2024年4月1日以後に提出期限が開始する第1四半期報告書を提出する場合、当該四半期が属する事業年度から改正後の半期報告書の規定を適用することになります(同第3条第2項)。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
マネジャー 秋本 祐哉

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