ピッチを練る

エグゼクティブサマリーとピッチ資料はどちらも、潜在的なステークホルダーが貴社の事業案を理解する手助けをし、外部から資金を調達するうえで重要な役割を果たします。エグゼクティブサマリーを作成する目標は、製品について端的に説明し、市場の機会を特定し、創業者と経営陣の紹介を行い、財務予測についても提供し、ベンチャーキャピタル(VC)との対面によるピッチミーティングへつながる十分な関心を喚起することです。VCは、潜在的な投資収益に加え、採算の取れる製品を開発して、その後の戦略を実行するチームの能力を評価することに関心があります。VCは機会の評価では懐疑的に見えることもありますが、投資を決定した場合、会社のサポートにおいて重要な役割を果たします。

会社形態の選択

スタートアップ企業が最初に下す決定の1つが、適切な会社形態の選択です。適切な会社形態は、潜在的負債を制限し、適切な税務戦略を策定するのに役立つことに加え、知的財産を保護し、外部投資家を集め、ベンチャー企業がライフサイクルの後期に移行する際の潜在的な争いを減らすために役立ちます。早い段階でこれらの問題を検討し、適切な会社形態を設定することで、将来の市場拡大と成功を定義し、企業価値を最大にするための魅力的な出口戦略に至る道筋を整備することができます。

ブランド構築

ブランドは、会社の最も貴重な財産の1つであり、あなたの会社と顧客、投資家、市場とを結びつけます。強力なブランドを効果的に構築するには、以下のようなベストプラクティスを取り入れた細心なプランニングと実行が欠かせません。

  • より高い目的とミッションステートメントを定義
  • ブランドの差別化
  • ブランド名の選択
  • ビジュアルアイデンティティの導入
  • ブランドは経験的
  • 一貫性を維持

エコシステムの活用

ベンチャーキャピタリスト、経験豊富な起業家、人材、経営アドバイザーを含む強力なエコシステムの活用が、スタートアップの成功の鍵を握る要因です。ネットワークのなかで協力を得ることで、スタートアップ企業は、素早く市場に参入して成功するうえで役立つ経験と知識、リソースへのアクセスを得ることができます。

資金調達

スタートアップ企業は機会を最適化するために、さまざまな資金調達方法を必要としています。ほとんどのスタートアップ企業は、負債による資金調達を行うために十分な収益も社歴もないため、初期段階の投資で最も多いのは株式による調達です。その他、資金調達手段として以下のような方法が挙げられます。

  • ブートストラッピング
  • エンジェル投資家
  • 戦略的投資家
  • 政府の投資ファンドと助成金
  • 銀行融資

税務

税務は企業の成功と財務上の健全性にとって重要な要素です。そのため、後々まで悪影響を及ぼす可能性のある初期の間違いを防ぐために、スタートアップ企業発展の初期段階で税務上の助言を受けることを推奨します。効果的な税務戦略は企業に大きな価値をもたらす可能性があります。

グローバルな事業展開

モバイルとクラウド技術の発展により、スタートアップ企業も早い段階で、国際的な顧客を獲得してサービスを提供することが、数年前よりも容易になりました。国際的なオペレーションを追加することで、技術およびエンジニアリングの人材へのアクセスが改善されるうえに、潜在的にコスト節減にもつながる場合もあります。しかし海外取引は、税金への影響、為替リスク、その他の問題を伴う可能性があります。スタートアップ企業が国際市場にアプローチする場合、または国外のビジネスパートナーとの協働を検討する場合は、専門的な助言を得ることが推奨されます。

帳簿管理、統制・管理の実装、監査要件

正確な帳簿管理の重要性を過小評価することは危険です。最新かつ正確な財務情報は税務報告という目的、社外投資家からの資金調達、会社の事業進捗に関する投資家への最新情報提供という点で不可欠です。そして、現金は会社経営に重要であり、キャッシュフローの管理は欠かせません。モニタリングや経営陣による指数を通じた管理を行い、例外を特定するために適切な厳しさと精度で管理することは、小規模企業にとって効果的でしょう。また、一般的に、米国政府あるいは州政府は非公開企業に対し、監査を受けた財務諸表の作成を義務付けていませんが、一部の非公開企業では、投資家、銀行、取締役により、財務諸表監査の実施が契約で要求される場合があります。

コーポレートガバナンスに関する考慮事項

強力なコーポレートガバナンスは、組織の価値を高め、企業が長期的なビジネスチャンスに備えるために不可欠です。資金の貸し手、保険業者、ベンチャーキャピタルおよびプライベート・エクイティ投資企業は、未公開企業のガバナンス実務を重視するようになっています。未公開企業であっても、公開企業と同様に、過半数の社外取締役会の選任、および取締役委員会の設置を検討することを推奨します。さらに効果的なガバナンス構造を構築し、維持するために、すべての非公開企業に以下の事項を推奨します。

  • 適切な人材と視点を導入し、ガバナンス構造の定期的な評価を行う。
  • ガバナンス構造の重要要素を特定する。各要素について、現状を評価し、短期(1年)と長期(3~5年)の目的を特定する。
  • 現在(および将来)のガバナンス構造が重要なステークホルダーの期待を満たし、会社の戦略的目的を達成するための基盤としての役目を果たすようにする。

英語コンテンツ(原文)

Emerging Giants Success Guide(PDF:3.5 mb)

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