EV時代のユーザーエクスペリエンス戦略

EVシフトによって車の差別化要素が変化し、ユーザーに対する高度な体験価値の提供が重要な差別化ポイントになります。移動にまつわるデータを分析し、活用することが重要となり、そうしたモビリティデータ活用が、新たな収益モデルの構築の可能性、ひいては自動車・モビリティ業界の構造変化につながる可能性があります。

高度なユーザーエクスペリエンスを提供するための、モビリティデータの分析・活用から、新たな収益モデルの構築の可能性、自動車・モビリティ業界の構造変化の可能性について考察します。

EV(電気自動車)へのシフトが確実になってきたなか、自動車業界は製品の転換だけでなく、EVシフトによる差別化要素の変化と収益性の低下の可能性に対応していく必要があります。内燃エンジン車で大きな差別化要素になっていたのは、エンジン性能、それがもたらすドライビングフィールなどの情緒的価値要素でした。しかし、EVではそれらの価値が相対的に減少し、新たなユーザーエクスペリエンス(顧客経験) 提供による差別化が必要となります。なかでも、消費者の関心が高まっているのは、環境負荷軽減やサステナビリティへの貢献に対する経験価値です。こうしたユーザーエクスペリエンスを提供するためには、移動活動に関連するデータの分析・活用が必要となります。また、こうしたデータを提供することが、新たな収益モデルの構築にもつながります。その結果、自動車・モビリティ業界の構造が大きく変化する可能性もあり、こうした変化に自動車業界はどう対応するのか、KPMGが実施したGlobal Automotive Executive Survey 2021の調査結果も活用し、検証します。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

POINT 1 EVシフトがもたらす差別化要素の変化
従来製品の差別化要素が相対的に低くなる。また、バッテリーの比重が高いコスト構造やアフタービジネスの縮小など収益面にも大きな影響がある。

POINT 2 求められるユーザーエクスペリエンス
より顧客中心の視点かつ高度なユーザーエクスペリエンスの提供が差別化要因となり、ブランド価値の提供手段となる。また、顧客にとっては、環境貢献やサステナビリティに関する経験価値がより重要となってきた。

POINT 3 モビリティデータの価値とその活用
高度なユーザーエクスペリエンスを提供するため、データの分析・活用が必要となる。また、データ活用による新たな収益モデル構築の可能性もある。

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犬飼 仁

KPMGジャパン 自動車セクター パートナー/KPMGモビリティ研究所メンバー/KPMGコンサルティング 執行役員 自動車セクター統轄パートナー

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I.EVシフトがもたらす差別化要素の変化

1.製品による差別化要素の縮小

EVシフトによって、内燃エンジン車の差別化要素であった情緒的価値が相対的に減少しています。また、自動車そのものもハードウェア中心から、Software-Defined Vehicleといわれるソフトウェアによって機能を実現することが主流となり、差別化要素の実装方法にも大きな変化が起こっています。

2.収益構造の変化

製品による差別化要素の変化・縮小は、収益性の低下につながる可能性があります。また、コスト全体に占めるバッテリーコストの比重の高さや、内燃エンジン車に比べた稼働部品点数の減少といったEVの特徴も、収益性にさらなる影響を与えると考えられます。

稼働部品数が圧倒的に少ないことは、アフタービジネスの縮小につながります。KPMGが2021年に発表した「10億ドルを賢く投資する - ICE後の自動車業界のパワートレイン戦略-」という調査レポートでは、自動車市場でEVの普及が進めば、自動車メーカーの販売後収益が最大60%減少すると予測しています1

3.ユーザーエクスペリエンスによる差別化が必要

こうした背景により、EVシフト後は製品そのものによる差別化から、製品/サービスの購入・利用までの各ステージにおける接点でのユーザーエクスペリエンスによる差別化が求められるようになるでしょう。個々のドライバーに、その時々のタイミングで最も有益かつ自社のブランドアイデンティティに沿った価値体験をいかに提供できるか、それが重要なポイントになります。

また、ドライバーによる自動車の利用形態も、所有からサブスクリプション、シェアード(共有)、レンタルと多様化が進んでいます。そのため、より複雑なドライバーとの接点における価値体験の提供が求められます。
KPMGが2021年に実施したKPMG Global Automotive Executive Survey 2021でも、今後5年間における消費者の購買決定の要因について「快適で円滑な体験」が非常に重要あるいはとても重要と考えるという回答が74%と、「ドライビングの性能(同71%)」や「ブランドとイメージ(同64%)」といった従来重要視されていた要因を上回っています2(図表1参照)。

図表1 今後5 年間に自動車の購入を決定するにあたり、以下の点は消費者にとってどれぐらい重要だと考えますか?

EV時代のユーザーエクスペリエンス戦略_図表1

出所:Global Automotive Executive Survey 2021, KPMGインターナショナル

II.求められるユーザーエクスペリエンスデジタル×エコノミー×サステナビリティ

それでは、どうようなユーザーエクスペリエンスが求められるのでしょうか。現代の消費者の多くは、オンラインによる商品・サービスの消費活動を体験しています。彼らにとって、タイムリーでパーソナライズされた、リッチなユーザーエクスペリエンスはあたりまえのものです。そのため、モビリティに関する活動においても、顧客接点のデジタル化推進により、パーソナライズされた価値提供や、経済活動の機会を提供する高度なユーザーエクスペリエンスを提供する必要があります。

また、環境・サステナビリティに関する価値観は、昨今の消費活動においてもきわめて重要な要素となっていることから、ユーザーエクスペリエンスにも取り入れる必要があります。

1.デジタル接点による利便性の向上

KPMG Global Automotive Executive Survey 2021でも、回答者の78%が、2030年には自動車の大半がオンラインで販売されるようになると予想しています3

すでにオンライン販売を提供している自動車メーカーもあります。その特徴は、手続きの利便性だけでなく、リアルと組み合わせたきめ細かいサポートにあります。たとえば、中国のEVメーカーNIO社では点検・修理だけでなく、洗車や空港での駐車サービス、運転代行サービスなどのサービスを提供しています。EVの課題となっている充電についても、オンラインアプリから、自動車を引き取りに来て、充電をして持ってくるように依頼することもできます4

移動時の車内においても、デジタル接点による体験価値の提供が求められます。ソニーグループが開発を進めるEV VISION-Sでは、ITやエンターテインメントにおける同社の強みを活かした、車内空間での新たな体験が企画されています。一方、モビリティをより快適なものにするために、自動車メーカーもインテリジェントコックピットの開発に取り組んでいます(インテリジェントコックピットについてはII-5で紹介します)。

2.経済活動機会の支援

自動車利用に関する決済手続きなど、ドライバーに必要な経済活動を支援することによって、モビリティ利用に関する利便性を高める取組みも有効です。ある自動車メーカーでは、スマートフォンアプリの拡張や車輛機能との連携によって、道路税、車輛の点検、保険の有効期限など、今後予定されている自動車利用に関する重要なイベントをドライバーに通知し、必要な支払い手続きもそのまま完結できる仕組みの構築を進めています。

たとえば、Stellantis社は、個人間のカーシェアにおける車両の予約と利用状況に基づく各ドライバーの利用金額の計算・支払いサービスを提供しています。英ジャガーランドローバー (JLR社)では、「スマートウォレット」テクノロジーを活用したデジタル通貨提供サービスの実証実験に取り組んでいます。ドライバーが渋滞情報や道路の障害に関する情報を提供するとデジタル通貨が得られ、その通貨で通行料金や駐車料金、充電料金を自動的に支払うことができるというものです5

BMW韓国では、ロイヤルティプログラムBMW Vantageを提供しています。BMW Coin(デジタル通貨/ポイント)が新車購入や会員限定イベントの参加で付与され、洗車、レストラン、スパ、電化製品、レジャーなどの用途に使用できます。なお、ポイントは運転距離に応じても獲得できます6

こうした経済活動機会の提供は、ドライバーの利便性を高めるだけではありません。モビリティに関する顧客行動をより広く捉えた、貴重なデータ収集にもつながり、さらなるユーザーエクスペリエンスの高度化に活用できます(データ活用については次章で紹介します)。

3.環境・サステナビリティへの貢献機会の提供

脱炭素、EV化推進の背景にあるのは、環境問題やサステナビリティに対する意識の高まりです。そのため、モビリティ手段の選択でも、ユーザーの関心が高くなっています。EVシフトという製品の選択はもちろんのこと、脱炭素や環境問題への貢献、健康・ウエルビーイングに関する安全性を体験できるユーザーエクスペリエンスが重要になってきます。

4.カーボンニュートラルへの貢献

いくつかの航空会社、ホテル、旅行代理店などでは、顧客に対して、利用したサービスを通して排出される二酸化炭素などの温室効果ガスをオフセットするカーボンオフセットプログラムを提供しています。このプログラムは、環境問題に対する意識の高い顧客を中心に受け入れられています。

同様の取組みは、自動車業界にも見られます。独Porsche社が試験導入しているPorsche Impactプログラムは、自身の車輛のCO2排出量を計算してオフセット値を算出、それを風力や水力を活用した再生可能エネルギーの普及や森林保護といったカーボンオフセットプロジェクトに投資をすることができます。それによって、ドライバー自身によるカーボンオフセットの機会を提供しているというわけです7

また、フランスでは近距離の航空便の廃止が検討されています。その代替移動手段として浮上したのが、当該路線でかつて運行されていた夜行列車です。

利用者に対して、それぞれの移動手段に伴う1人当たりのカーボン排出量を提示することで、環境に対する貢献を可視化・実感できます。2024年にも、スタートアップ企業仏Midnight Trains社が、周辺国向けも含めた近距離航空路線に対抗する、最初の夜行列車の路線を就航する計画となっています。同社のサイトでも、航空機利用の場合と夜行列車利用の場合のカーボン排出量を比較することができます8(図表2参照)。

図表2 Midnight Train 社サイト:移動手段別のカーボン排出量比較

EV時代のユーザーエクスペリエンス戦略_図表2

出典:Midnight Trains(midnight-trains.com)

5.ヘルスケア・ウエルビーイングのニーズ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、抗菌対応や体調モニタリングも含めたヘルスケア・ウエルビーイングに関する機能の要求が増加しています。英SBD Automotive社が2021年5月に実施した消費者調査「 次に買う車の機能の重要性」では、ヘルスケア/ウエルビーイングが最も高い伸びを示しました9

こうした健康状態、安全性、快適性に関する機能に加えて、メディア管理や自動運転の制御、車輛の最適性などを提供するインテリジェントコックピット機能が進化・拡張しています。同じくSBD Automotive社のレポートによると、現在の埋込み機能によるインタラクションの実現に対して、2024~2026年に計画される第3段階では、デバイスの持込みをベースとして大きな機能の進化が見込まれています10(図表3参照)。

図表3 インテリジェントコクピットの機能拡張見通し

EV時代のユーザーエクスペリエンス戦略_図表3

出典:SBD Automotiveジャパン「SBDレポート/インテリジェントコックピット導入予測」

III.モビリティデータの価値とその活用

こうした高度なユーザーエクスペリエンスを提供するためには、モビリティに関するデータを収集・分析・活用し、継続的な提供価値の改善を行っていく必要があります。また、価値の高いモビリティデータを保持することによって、データ活用による新たな収益モデルを構築できる可能性もあります。

1.モビリティデータの価値

流通業界などでは、すでにオンライン上のサービスとの連携によって、膨大な消費者行動データを収集・分析しています。消費者の行動を予測し、そのうえで最適な行動を提案することで、高いユーザーエクスペリエンスと新たな購買活動の機会を提供しているのです。

自動車・モビリティに関しても、ヒト・モノの移動に関わる位置・移動情報、車輛情報、運転状況情報など大きな情報価値をもっています。それらモビリティデータをオンラインでの各種取引や決済などの経済活動、脱炭素に関する活動と結びつけることで、重要な社会課題である脱炭素や環境対策活動などを支援し、よりよい社会の実現への貢献にもつながります。また、こうしたデータを必要とする事業者に提供することで、新たな収益源となる可能性もあります。

2.データエコノミーへの対応によるモビリティデータ価値の向上

決済など経済活動に関するデータが統合されることによって、モビリティデータの価値はさらに高まります(図表4参照)。

図表4 モビリティデータを活用した経済活動の例

EV時代のユーザーエクスペリエンス戦略_図表4

出典:KPMG作成

電子マネーやスマートフォン決済などの決済基盤の収集するデータは、より消費活動に直結する価値の高い消費者データです。すでに消費者行動の分析・予測に各業種で広く活用されており、そのデータを収集するための決済手段基盤間の争奪戦も熾烈になっています。

モビリティデータについても、先の事例(II-2)のように、経済活動情報が付加されることによって、顧客に対するさらなる高度なユーザーエクスペリエンスを提供するための有効な分析データとしての価値が高まります。

3.データのマネタイズ

モビリティデータの経済的価値は、自動車関連事業者にとって新たな収益源となる可能性があります。

モビリティデータは、すでに保険会社における保険料の算出にも活用されています。KPMG Global Automotive Exeucutive Survey 2021でも、今後自動車メーカーはどのように保険市場に参入すると思うかという問いに対して、回答者の43%が「自動車会社はドライバーと車両のデータを保険会社に販売する」、36%が「保険会社と提携する」と回答しています。

先のJLR社の「スマートウォレット」の事例では、ドライバーは運転中に得られる道路環境などに関するデータを共有することでデジタル通貨を得ることができ、それを通行料や税金の支払いに利用することができます。

自動車業界以外の業界にとっても、モビリティデータは価値があります。金融機関が、脱炭素、サステナビリティという観点からESG投資を拡大していくなか、移動データとそれに伴うCO2排出データは、投資判断の材料として非常に価値のあるデータといえるでしょう。

4.モビリティデータの流通基盤としてのブロックチェーン

こうしたデータの流通やそれに伴う課金については、これまでは「取引に関わる手続きコストが大きい」、「データの信憑性が保証されない」、「データ様式が共通化されていない」などの課題がありました。こうした課題を解決するのが、ブロックチェーンの仕組みです。

まず、ブロックチェーンの特徴である非改ざん性によって、データの信頼性が担保されます。そして、車輛などの機器同士が自律的にデータをやり取りして取引を自動化することで、トランザクションにかかる手続きコストや時間の縮小につながり、データの流通が促進されます。先のJLR社の「スマートウォレット」やBMW韓国の「BMW Vantage」にも、ブロックチェーンの技術が活用されています。

こうしたモビリティ領域におけるブロックチェーンの活用を推進するグローバルコンソーシアムMOBI(Mobility Open Blockchain Initiative)の活動も注目されています。自動車メーカーやサプライヤーを中心に、次世代モビリティ事業者、スマートシティ事業者、自動車業界以外の企業も含めたメンバー、またブロックチェーンに関わる事業者としてIT・ICT業界、さらには欧州委員会や中国交通運輸部といった政策立案者がMOBIに集い、ブロックチェーンの活用に関する標準化を進める活動を行っています。

その活動内容は、下記になります。

  • モビリティに特化したブロックチェーン技術の標準規格の作成
  • 規格を有効化するための実証実験(他の国際コンソーシアムとの連携も含む)
  • 次世代モビリティのなかでビジネスに繋げるためのアプリケーション構築

KPMGでは、2021年12月にMOBI理事の深尾 三四郎氏を講師に迎えたセミナー「データエコノミーに対応する次世代モビリティ・自動車ビジネス」を実施しました。

IV.求められるケイパビリティ

1.データを活用する組織(コネクテッドエンタープライズ)の実現

データを活用することで、より価値のあるデータを創出して顧客に高度なユーザーエクスペリエンスを提供し、さらには収益を得ることが、企業としての差別化の源泉となります。そのための組織の実現について、KPMGでは企業のコネクティビティを向上させる「Connected Enterprise Framework」を提唱しています。そこでは、以下の3つの観点で必要なケイパビリティを定義しています。

(1)顧客を中心に置いた戦略の立案

  • データ分析・活用によるインサイト主導型の経営・オペレーション
  • 顧客起点で一貫した顧客戦略・体験設計
  • 顧客戦略にアラインした商品・サービス設計

(2) オペレーティングモデルのデジタル化

  • スムースかつ安全なフロント・トランザクションの提供
  • 即応性の高いサプライチェーンの構築・運用
  • デジタル変革に対応した技術アーキテクチャ・イネーブラー

(3) ガバナンスの強化

  • 戦略と整合した組織・人材と企業ガバナンスの具備
  • アライアンスやパートナーシップによる戦略的なエコシステム形成

2.フラットなエコシステムによる他社との「協争」

ビジネスパートナーとの関係性は、これまでのモノづくりを前提としたバリューチェーンと業界構造から、データの収集・価値創造・流通を前提としたフラットかつ異業種も含めたエコシステムによる「協争」関係をもつ構造に変化します。そこでは、他社・他業種と協業し、互換性のあるプラットフォーム上で標準化されたデータの流通・活用が求められます。そのため、MOBI のようなグローバルコンソーシアムを通じた活動がより重要になると考えられます。

V.おわりに

自動車業界は、これまでのモノづくり中心の事業構造から、データを活用したユーザーエクスペリエンスを重視する事業構造への転換を迎えています。すでにEV専業メーカーは、デジタル活用によって、その領域での強みを発揮し始めています。もちろん、すべての事業者がデータ事業に特化すべきというわけではありません。デバイスの1つとしてのモノづくり事業や、その原材料となる素材などでの製造事業に強みを構築する戦略も考えられるからです。EVシフト後にどの領域で生き残っていくかその見極めが求められています。

なお、モノづくり事業においても、自社がもつデータの価値、データ活用の可能性を向上させていくことは重要です。組織としてのデータ活用のケイパビリティの整備は共通の課題であり、今後の事業運営における重要な取組みとなります。

データエコノミーに対応する次世代モビリティ・自動車ビジネス

KPMGジャパン 自動車セクターでは、オンラインセミナー「データエコノミーに対応する次世代モビリティ・自動車ビジネス」を開催いたしました。

本セミナーでは、基調講演にMOBI(Mobility Open Blockchain Initiative)理事の深尾 三四郎氏をお招きし、講演いただきました。第2部では、深尾氏とKPMGの専門家によるパネルディスカッションで、モビリティデータを利用した価値創出のための取組み事例をご紹介し、次世代のモビリティビジネス、自動車ビジネスとしての可能性と、その実現のために必要となる戦略、そのポイントについて解説しています。

基調講演では、MOBI の直近の活動状況に加えて、脱炭素、SDGsという新しい価値づくり、その背景にある欧州発のゲームチェンジャーの動き、そして脱炭素SDGsという目に見えない価値を可視化して新しい社会、スマートシティとモビリティを実装する基盤としてのブロックチェーンのソリューションについて、いくつかのユースケースも含めてご紹介いただきました。

後半のパネルディスカッションでは、モビリティデータを活用したサステナブルな社会の実現という観点で、深尾氏とKPMGの専門家のディスカッションを通して、データエコノミーとモビリティについて、特にモビリティデータの価値について考察しています。そのなかでは、実際のモビリティデータ収集の取組みの現状から、企業内での活用だけでなく、企業横断での活用や他業界での活用ユースケースをご紹介しています。

また、そうした取組みを進めるうえで必要となるMOBIのようなグローバルコンソーシアム形態による活動の重要性や、これまでのピラミッド型の企業間連携の考え方からの変換の必要性をご紹介し、その新しい企業間連携のなかでお互いの信頼のプロトコルとしてもブロックチェーンの有効性を解説しています。詳細はこちらをご参照ください。

執筆者

KPMGジャパン
自動車セクター
パートナー 犬飼 仁