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      「事業継続計画(BCP)は完璧に整備したものの、担当者の引き出しの中で埃を被っている」という事態になっていないだろうか。BCPが発動される危機事象の発生頻度は極めて低いからこそ、効果的な事業継続訓練が重要になるが、「効果的な事業継続訓練を実施できている」という企業は残念ながら少ない。

      実際、BCP策定の歴史が長い企業からも、訓練が形骸化してしまっているという相談を受けることがある。一方、BCP策定直後の浸透度が低い状態で、高度で複雑な被災シナリオに基づくロールプレイ型訓練を実施した結果、訓練参加者が何をしてよいかわからず、経営層の前で気まずくなったという失敗談も聞く。

      では、効果的な事業継続訓練実施のポイントは何か。一言でいうと「訓練目的を明確に設定した上で、自社のBCP成熟度に応じた訓練を実施すること」にある。

      目的としては「有事における役割・手順確認」「BCP上の課題発見と高度化」「組織の判断力向上」などが考えられ、訓練計画立案の段階で経営層とBCP事務局の間で明確化することが必要だ。ちなみに、形骸化した訓練では「有事における役割・手順確認」はともかく、「BCP上の課題発見と高度化」や「組織の判断力向上」につなげることは難しい。

      そして目的を設定した後に、自社のBCP成熟度を踏まえた訓練形態を検討する。具体的には「テーブルトップ研修(座学形式によるBCP文書に基づく被災シナリオへの対処方法の解説)」「ウォークスルー訓練(緊急対策本部メンバー間によるBCP文書の読み合わせによる役割・手順の相互確認)」「ワークショップ訓練(被災シナリオに対する対応などの協議)」「ロールプレイング訓練(被災シナリオに対するBCP上の役割に基づく疑似対応)」などが考えられる。これら訓練形態の難易度は順次上がっていく。

      なお、いずれの訓練形態も、必ずしも同時期に実施する必要はなく、柔軟に組み合わせて実行するとよい。例えば、ある共通の被災シナリオに対して、まずは調達・生産・物流・IT(情報技術)・安否確認などの各復旧機能班が個別にウォークスルーやワークショップを実施し、対応方針や課題などをあらかじめ整理した上で、経営層や他の復旧機能班を含めたロールプレイング訓練を実施することでポイントをおさえた実効性の高い訓練となるケースが多い。

      事業継続訓練は、単なる義務感や外部に誇示する実績作りの為に行うのではなく、あくまで自社が危機的状況から回復するためのレジリエンス力向上に資するものであるべきだと筆者は考えている。

      BCP訓練の形態と難易度

      訓練形態

      主な訓練対象難易度

      テーブルトップ研修

      全社員

      ウォークスルー訓練

      経営層

      各部門長

      管理職

      緊急対策本部
      メンバー

      ワークショップ訓練

      ロールプレイング訓練

      日経産業新聞 2017年11月29日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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