学校法人の勘定科目と会計上の留意点 第3回:収入(3/3)

収入に関する勘定科目のうち、雑収入、手数料収入、受取利息・配当金収入等の内容と当該勘定科目における会計上の留意点を解説します。

収入に関する勘定科目のうち、雑収入、手数料収入、受取利息・配当金収入等の内容と当該勘定科目における会計上の留意点を解説します。

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雑収入

1)取引内容

施設設備利用料収入、廃品売却収入、その他学校法人の負債とならない他の科目に含まれない収入が該当します。

2)会計上の留意点

1.過年度修正

過年度修正が発見された場合、過年度修正額は「資金収支計算書」では、大科目「雑収入」、小科目「過年度修正収入」として計上されますが、「事業活動収支計算書」では、特別収支の大科目「その他の特別収入」、小科目「過年度修正額」として計上されます。


2.図書の値引き処理

図書を値引購入した場合において、図書の現物確認の際の便宜上、値引額を雑収入で処理し、図書の取得価額を定価計上する会計処理も行われています。

手数料収入

1)取引内容

手数料収入とは特定の用益の提供にあたって、受益者より徴収する手数料であり、具体的な科目例は以下のとおりです。

科目名 備考
入学検定料収入 その会計年度に実施する入学試験のために徴収する収入をいう。
試験料収入 編入学、追試験等のために徴収する収入をいう。
証明手数料収入 在学証明、成績証明等の証明のために徴収する収入をいう。

「科目名」は「学校法人会計基準 別表第一 資金収支計算書記載科目」より該当科目を抜粋したもの。

(以下同様)

2)会計上の留意点

1.入学検定料

試験を実施した年度の収入として計上します。また、振込があったものの出願手続がなされず、入学願書が未着の場合には、入学検定料は「雑収入」として処理します。


2.大学入試センター試験手数料収入の取扱い

大学入試センター試験を利用して入学試験を実施する場合の大学入試センターからの手数料収入は「大学入試センター試験実施手数料収入」として手数料収入に計上します。

受取利息・配当金収入

1)取引内容

受取利息・配当金収入とは学校法人が所有する諸資産の運用の結果が生じた収入であり、具体的な科目例は以下のとおりです。

科目名 備考
第3号基本金引当特定資産運用収入 第3号基本金引当特定資産の運用により生ずる収入。
その他受取利息・配当金収入 預金、貸付金等の利息、株式の配当金等をいい、第3号基本金引当特定資産運用収入を除く。

2)会計上の留意点

1.資金運用取引の表示

資金運用取引の表示は原則として総額表示。但し、MMF等の金融商品を支払資金として使用している場合には、支払資金内での資金の受入れ・払出しに準じて、純額表示も認められます。なお、現金及び預貯金以外のものが期末時点で支払資金に含まれている場合には、当該残高については、支払資金から支払資金外への運用取引として処理する必要があります。

参考:資産運用取引に関する会計処理等(学校法人会計問答集(Q&A)第5号)

その他(資産売却収入、借入金等収入、前受金収入、その他の収入)

その他、収入に関する科目例としては以下の通りです。

大科目 備考
資産売却収入 資産売却収入とは、帳簿残高のある固定資産等の売却収入。資金収支計算書上は売価により資産売却収入が計上されます。一方で、事業活動収支計算書上は売却収入と売却資産の簿価の差額が資産売却(処分)差額として特別収支に計上されます。科目としては施設売却収入、設備売却収入、有価証券売却収入等あります。
借入金等収入 借入金等収入には、学校債収入も含まれます。学校債に関して、学校債引受者から引受申込書を入手した時点と実際の入金時点が相違する場合には、入金した日の属する年度の収入して処理します。
前受金収入 翌年度入学の学生、生徒等に係る学生生徒等納付については前受金収入として計上します。
その他の収入 学生生徒等納付金収入から前受金収入までの各収入科目に含まれない収入をその他の収入とします。
その他の収入には、引当特定資産取崩収入や貸付金回収収入、預り金の受入収入等が含まれます。
なお、預り金や仮払金等、経過的な勘定については、収入と支出を相殺して表示することができます。ただし、重要な場合は、重要な会計方針で純額表示している旨の注記を行う必要があります。

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