新型コロナウイルス性肺炎感染症による中国マクロ経済への影響
経済と市場に与える影響
経済と市場に与える影響-2020年2月
主な観点
2019年末以降、中国では2019新型コロナウイルスによる肺炎感染症が猛威を振るっています。2003年に流行した「SARS」の感染状況との比較では、「SARS」が当時の中国マクロ経済に与えた影響は限定的であり、2003年の年間GDP成長率は2002年を上回っています。しかし現在の中国経済が直面している状況は2003年と大きく異なります。中国全体の経済成長率は低下しており、内外からの圧力が高まっています。現在の経済構造において、消費財業界、サービス業界が占める割合は高く、新型コロナウイルス感染による影響を最も受けることになったため、回復に必要な期間も長くなります。また、今回の感染症問題の発生時期及び伝染経路を考慮すると、「SARS」よりもコントロールしにくい傾向にあります。このため、新型コロナウイルス感染問題による影響を受けて、中国の第1四半期の経済成長率は大きな低下圧力にさらされています。
しかし過去のデータによると、通常、自然災害がマクロ経済にもたらす影響は一時的なものであり、経済成長はV字型回復を示す傾向にあります。被災及び市場センチメントにより、通常、経済成長率は短期的に急落するものの、災害が抑制されるにつれて、市場センチメントが安定し、一時的に抑制されていた消費や投資などの需要が喚起されるため、経済のリバウンドにつながります。
中国政府は、新型コロナウイルス感染問題による経済への短期的な影響の軽減を図り、一連の強力な金融・財政措置を速やかに講じました。特に国民生活及び感染問題により困難に直面している中小企業に重点をおき、企業の資金連鎖の断裂や経営継続の困難性を防止しました。中国経済の長期的な成長は、今回の感染問題で変わることなく、今後の成長は依然として期待できるものと信じています。
自然災害は経済に衝撃を与えると同時に、新たなビジネスモデルの形成、新たなビジネスが生まれる機会でもあります。例えば、学校の再開が遅れているため、多くの学校はインターネットを利用したリモート教育を学生に提供し、企業も条件に合致する従業員にリモートワーク(在宅勤務)を推奨しています。特に注目すべき点は、今回の新型コロナウイルス感染防止・抑制において、ビッグデータ及びAIなどのテクノロジーを活用した潜在的な感染者の特定や感染傾向の予測も目覚ましい成果を上げたことがあります。KPMGとアリリサーチ (AliResearch) との共同研究によると、中国のデジタル経済成長率は世界のトップレベルに達しています。科学技術の革新は経済成長の原動力であり、新経済(ニューエコノミー)は中国の今後の発展においてますます重要な役割を果たしていくことになります。
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