M&Aによる抜本的な変革へ
製造業セクターでのM&Aの活発化は、大きな変化を生む要因であると同時に大きな変化への対応でもあります。2020年のコロナ禍に端を発する景気後退から脱却するために、製造業では電気自動車や自動運転車といったディスラプティブ・テクノロジーの導入に一層注力してきました。
製造業セクターにおけるM&A活動は、2021年に10, 173件と過去最高を記録し、取引総額は8,060億ドルに達しました。金額ベースでは2020年から88%増、2019年比では77%増でした。M&A件数は2021年に41%増加し、1件当たりの平均取引額が79百万ドルと、前年から33%増加しました。
- サプライチェーンの混乱が大きな障害となった結果、あらゆる種類の原材料や部品が不足しています。このような状況から価格は押し上げられ、年内にこの状況が大幅に緩和する見込みはありません。そのため、2022年に部品サプライヤー、特に航空宇宙セクターの部品サプライヤーの間でM&Aが急増すると考えられ、全体としてはTier 1、2、3のサブコントラクターがさらに集約化される可能性が高いとみられます。
- 自動車の電動化とそれに伴う自動車1台当たりの部品数の削減は、自動車部品サプライヤーに大きな影響をもたらすでしょう。生き残るために多くが買収または資産の売却を迫られる可能性があります。
- 米バイデン政権のインフラ投資法案は2021年11月に可決されており、道路、橋、トンネル等の整備を行うインフラセクターを含む産業の底上げにつながると予想されます。建築、エンジニアリング、設備関連および自動車メーカーにとってはプラスの効果が期待でき、サプライチェーン強化の動きが加速する可能性があります。
- ポートフォリオの最適化が行われ、メーカーや3M、バークシャー・ハサウェイといった多角経営企業ではさらなる再編が進むとみられます。
- 未上場の新興企業(商業宇宙事業を展開する企業(ヴァージン・ギャラクティック)、EVメーカー(ルーシッド)、電動垂直離着陸機(eVTOL)を手掛ける企業(ジョビー、アーチャー)など)の早期の上場化の手段として、起業家は特別買収目的会社(SPAC)を活用しています。
おもなデータ
8,060億ドル
2021年の製造業におけるM&A取引総額。2020年比88%増
+33%
2021年に製造業セクターの平均取引額は33%増加。1件あたり79百万ドル
63件
2021年にSPACによる製造業の買収件数は63件。2020年度比で倍増
+217%
2021年に自動車分野におけるM&A取引金額が217%増加
今後、製造業セクターのM&Aプレイヤーは、利上げの見通しとインフレの動向がM&Aに与える影響を注視するものとみられます。サプライチェーンの混乱が早々に解消する見通しはなく、今後もサプライヤーのM&Aのタイミングと選択に影響を及ぼすことでしょう。
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この文書はKPMGLLPが発行したA record-smashing year for IM as companies double down on digitalをベースに作成したものです。翻訳と英語原文間に齟齬がある場合は、当該英語原文が優先するものとします。