企業や自治体などの組織が社会価値を共創し、“サステナビリティ経営”を自律的に進めるためには、組織が自らの意思に基づき、社会価値共創活動の企画・定量化・実行を進めていくことが重要です。KPMGは、課題解決機能の構築が可能なソリューション“社会価値共創ソリューション”を活用し、組織の自走を支援します。
社会価値共創における難所とソリューションの必要性
社会課題の解決や社会価値の創出に向け、世界中の組織が多様な活動を進めることで多くの価値が社会に還元されていますが、近年、その傾向は一層強まっています。
これまでの取組みは主に内部の財務・非財務価値に主眼を置いている活動が多く、広義のSDGs観点で組織が社会に還元している社会価値を、経営と同じ尺度・指標(定量的な貨幣価値)で語ることが難しい点が、活動推進の障壁として議論されてきました。
価値共創の“定量化”が担保されていなければ、ステークホルダーへの説明も困難となり、“目的や効果が不明でコストだけがかかり、我慢・努力を強いられる活動”と認識され、結果的に継続できず、とん挫してしまいがちです。KPMGは、こうした状況に苦悩する組織を支援するため、“Will(創り出したい世界・ありたい姿へ向かう意志)・貢献の実感に応え、定量的な数値目標を狙う自律的な活動”に変えるためのソリューションを開発しました。
社会価値共創に向けたKPMGの3つのソリューション
社会価値共創活動の支援に向けたアプローチとして、KPMGは企画・定量化・実行を支援するためのソリューションを提供しています。ミッション・ビジョンの発信とステークホルダーとの対話を支援するストーリーブック、社会価値算定のナレッジをキットのように選択可能なインパクトマップ、共創の場としての価値共創プラットフォームの活用により、各組織の社会価値共創活動を後押しします。
(1)ストーリーブック(価値創造ストーリー)
ストーリーブックとは、ありたい姿とそこに至る道程を端的に明示したものです。“各種ステークホルダーの想い”と“社会的・経済的に提供・享受する価値”を最適なバランスで整合させたストーリーを作成することで、既存・新規の社会価値共創のステークホルダーの共感・賛同を得ることにつながり、関係性の構築に寄与します。
ストーリーブック具現化のアプローチ
具現化のアプローチは、下図の3ステップで進めます。
(2)インパクトマップ(取組みがもたらす社会価値の定量化)
KPMGのソリューションが組織にもたらすメリット
KPMGは、企業・自治体等の組織内部の非財務価値に加え、関連企業・株主・市場などの外部ステークホルダーに還元する定量価値を社会価値と定義しています。
ソリューションの活用により、活動(施策)の実行前に、組織がどの程度の社会価値を共創できるかの見極め(実行判断や予算獲得に活用等)が短期間で可能になります。具体的には、ソリューションから選択した施策に応じて、ロジックモデルや定量化のパターンを抽出し、組織別の用途に合わせたカスタマイズ、およびレポーティングが可能です。これにより企画の実行承認、目標設定、共通言語化の壁を内外で取り払うことができ、ゼロベースから進めることと比べ大幅に期間・労力を短縮・低減し、社会価値の共創にフォーカスすることができます。
定量化(貨幣価値換算)に向けたソリューションの活用
SDGs 17の目標に紐づく169のターゲットから、日本での対象になる課題に絞り込みます。そして構造化・グルーピングを行い、計92個の課題領域を社会課題の全量と定義したうえで、それぞれにロジックモデルを作成しています(ロジックモデルテンプレート)。
また、ロジックモデルに貨幣換算可能な施策(イベントの実施により生じるアウトカム)と計算ロジックを設定しています。そのため、解決したい課題領域の特定、実行したい施策の選定を行った後に、計算に必要な情報(参加人数等)を挿入することにより、社会価値を貨幣換算することが可能です。定量化した社会価値により、企業・自治体などの組織はステークホルダーに対し、活動の目的・効果をより鮮明に訴求することが可能になります。
また、全92個の課題領域でプリセットされた約3,000の標準施策には、それぞれコスト・価値・インパクト指数を求めるための計算に必要な項目が主に公的機関の情報を参照し設定されています。これにより、短期間での価値の規模感把握が可能であるとともに、初期算定をベースとすることで、事業レベルでの算定に必要なカスタマイズを最小化することが可能になります。
KPMGのロジックモデルデータベース
ロジックモデルデータベースには、92の標準ロジックモデルが格納されており、対応する取組みを組み合せて自身で定量化を容易に進めることができます。また、プラットフォームにおける機能として、ロジックモデルを自動生成する機能を実装予定であり、組織の活動にフィットするモデルの構築を支援します。
(3)価値共創プラットフォーム(実現基盤の構築)
ステークホルダー同士がいつでもアクセスして、出会い、企画や情報を得られるデジタルプラットフォームであり、下記の5つの機能があります。
(1)集まる・つながる:参加組織は、他組織と個別/グループでコミュニケーションを取り、意見交換、ナレッジシェアを通じた“ビジネスマッチング”が可能 (2)情報を集める:参加組織は、プラットフォームの活用方法、企画検討のノウハウ、他組織の優良事例、SDGsトレンドについて記事や動画で学ぶことができる (3)コンテンツを生む・実施する:プラットフォームの実績データを参照して企画の組成・提案ができる。また、企画検討フォーマット等のメニューデータの活用により、誰でも簡単に企画の実施が可能 (4)惹きつける:参加組織は自らアプローチできない層にリーチが可能。また、コミュニティの媒体力を活用し、さまざまなメディアに発信ができる (5)価値を測定する:実績データや公知データを基に、取組み効果を定量的に算出したレポートを作成できる(社会価値の測定) |
社会価値共創は単独で対応するには限界があるため、同じ課題意識を持った多様なステークホルダーが集まることで、学び、連携し、共創を促すための仕掛けとして、“共創型プラットフォーム”が機能します。
共創型プラットフォームの必要性
ストーリーブックの作成により、ステークホルダーの組織の課題解決型ニーズに対応する必要性を組織内外で共有して共感を得た後に、プラットフォーム参加者間にて、イベント・施策の効率的な具現化を進めることで、継続的な社会価値共創を可能にします。ただ、多くの組織が、「取組み価値を測定できない、運営のリソース不足、継続的にコンテンツ生成ができない」といった課題を抱えており、組織の課題解決型ニーズに対応できていません。
KPMGは、各組織が抱える課題を解決するソリューションとして共創型プラットフォーム((2)インパクトマップ(3)価値共創プラットフォーム)の活用が効果的であると考えます。