昨今の目まぐるしい社会環境・ビジネス環境の変化、インフレ・物価高に伴い、数多くの製造業において、ものづくりのあり方や利益獲得のモデル(ビジネスモデル)の見直しなどが必要となってきています。しかしながら、従来のものづくりの抜本的変革や利益獲得のモデル刷新は一朝一夕に行えることではありません。変革に向けた検討・意思決定は重要ですが、現在のビジネス環境を踏まえると、できるだけ早期に目に見える効果を出していくことも必要です。

コストマネジメントの重要性

最も経営にインパクトを与える指標の1つが、商品・製品の「原価(コスト)」です。コストをいかにマネジメントして利益を最大化するかが、企業経営における最もわかりやすい取組みの1つです。しかし、コストマネジメントを十分実施できている企業は多くはなく、“やったつもり”、“やっているつもり”のコストマネジメントにとどまっているのが現状です。たとえば、目標原価未達であるにもかかわらず特段のコストダウン策を講じないままコストレビューのゲートを通過させてしまうケースが挙げられます。

また、量産開始前に設定した標準原価でしか製品ごとのコスト管理をしていないことが原因で、その標準原価どおりに(あるいは標準原価近辺で)ものづくりがなされているかどうかの評価ができず、稼いでいる商品・稼いでいない商品の区別ができないまま事業を継続してしまっているケースなどがあります。

このような状況では、インフレ・物価高の時代を勝ち抜いていくことは難しく、市場から淘汰されてしまう懸念が出てきます。これまでもコストマネジメントの必要性・重要性は各所で謳われてきていましたが、今一度、自社のコストマネジメントの仕組みそのものに目を向けてみることが重要です。

KPMGでは、製造業のクライアントが戦略、事業環境、商品特性を理解したうえで自社に合った業務定義・データ定義と仕組み(組織・ITシステム)設計を行い、効果的なコストマネジメントプロセスの構築ができるよう支援します。

コストマネジメントのポイント

コストマネジメントは、下記の2つのフェーズに大別できます。

(1)いくらで“もの”をつくっていくか(コストを企画する段階=原価企画)

(2)つくった“もの“がいくらでつくられていて、どれくらいコストを改善しなくてはいけないか(実際原価管理、原価維持・改善)

設計段階でコストの約80%は決まってしまうと言われており、いかにして設計段階で”コストを作り込めるか“がコストマネジメントのなかで重要になってきます。一方で、コストとして多くのキャッシュアウトが生じるのは量産以降のタイミングとなるため、設計段階で作り込んだコストのなかで適切にものづくりができているか、できていない事由があるのであればそれに対してどのように対策を講じていくのかをモニタリングおよび検討し続ける必要があります。

製造業におけるコストマネジメント力強化支援_図表1

(1)原価企画と(2)実際原価管理、原価維持・改善が適切に機能することでコストマネジメントの効果が最大化されます。効果を最大化するためには「コストマネジメントサイクル」を踏まえたコストマネジメントプロセスの構築が重要となります。

コストマネジメントサイクルとは?

コストマネジメントサイクルは以下3つのサイクルから構成され、それぞれが有機的につながっています。

(1)対象機種のコストレビューサイクル 設計諸元とコストテーブルに基づき原価見積りし、目標原価達成に向けてコストダウンアイテム抽出・設計諸元の見直しを繰り返し実施します。
(2)対象機種の原価改善サイクル 実際原価を把握し、原単位・費用の改善を図ります。
(3)次機種へのフィードフォワードサイクル 対象機種(前機種)の設計・製造観点での改善点を次機種の企画・設計・開発に反映します。
製造業におけるコストマネジメント力強化支援_図表2

商品のライフサイクル全体を通じて設計部門、生産部門、調達部門等のものづくりに関係するすべての部門がコストマネジメントに従事することが重要で、そのためにも原価関連データの整備やそれぞれの有機的なつながりを担保しておくことが必要となります。

KPMGによる支援

効果的なコストマネジメントプロセスを構築するためには、戦略、事業環境、商品特性を理解したうえで自社に合った業務定義・データ定義と仕組み(組織・ITシステム)設計を行っていく必要があります。

KPMGでは、以下の3ステップの支援内容をベースに、クライアントの課題やスピード感に応じて個別にカスタマイズした支援が可能です。

製造業におけるコストマネジメント力強化支援_図表3

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