Article Posted date
12 August 2025
昨今、革新的なデジタルテクノロジーの普及を背景に、情報とビジネスは国境を越えて迅速にやり取りされています。金融機関においても、グローバルなサプライチェーンが構築され、製造やサービスが国境を越えて進展することは一般化し、国境を越えたビジネスがますます増加しています。一方で、国境を越えたビジネスやプロジェクトでは、世界各国のステークホルダーと連携し、適切な計画管理、国や地域により異なる法令やルールの遵守など、高度なマネジメントが求められます。
本稿では、グローバル領域のプロジェクトにおいて、企業が安全、かつ確実にビジネスを遂行するために必要な、「金融機関のグローバルプロジェクトにおけるマネジメントの要諦」について解説します。
1.グローバルプロジェクトの特徴とリスク・影響
【グローバルプロジェクトの特徴とリスク・影響の概要】
特徴 | 特徴の概要 | リスク・影響 |
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1.スコープ拡大リスク | 各国・地域で拠点が分散しているため対象スコープの管理が困難 |
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2.スケジュール遅延リスク | 各国・各地域で多様なステークホルダーが参加するため進捗確認が困難 |
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3.法規制に抵触するリスク | 各国・地域の法令・規制・ルールをはじめ、環境・人権など範囲が多様化 |
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4.意思疎通の不全リスク | 各国・地域から言語・文化・労働慣行が異なる多様なステークホルダーが参加 |
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5.リソース調整の失敗リスク | 拠点が分散しており人材、資金、必要な環境を整備することが困難 |
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6.品質低下リスク | 各国・地域で分散する中、アウトプットの品質を同一に確保することが困難 |
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【「グローバルプロジェクトの特徴とリスク・影響」のイメージ】
【グローバルプロジェクトで必要な6つの管理】
管理項目 | 概要 |
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1.スコープ管理 |
国を超えて拠点が増えるにつれて拡大しがちなスコープを適切に維持管理
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2.スケジュール管理 |
各国より多様なステークホルダーが参加する中でスケジュールを厳格に管理
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3.リスク管理 |
多様化が進む各国の法令・規制・ルール、コンプライアンスなどを厳格に管理
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4.コミュニケーション管理 |
外国語かつ複雑化し断絶や衝突が発生しがちな意思疎通を適切に管理
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5.リソース管理 |
拡大、複雑になりがちなヒト、モノ、カネの経営資源を適切に管理
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6.品質管理 |
多様なステークホルダーが参加するなか、様式や形式がバラつきがちな品質を管理
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【「グローバルプロジェクトで必要な6つの管理」のイメージ】
【KPMGによる支援】
管理項目 | KPMGによる支援 |
---|---|
1.スコープ管理 |
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2.スケジュール管理 |
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3.リスク管理 |
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4.コミュニケーション管理 |
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5.リソース管理 |
|
6.品質管理 |
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【「KPMGによる支援」において使用する資料のイメージ】
KPMGの支援ステップ
KPMGは、グローバルプロジェクトを計画的に成功につなげるために、以下のステップで的確に支援を行います。
【KPMGの支援ステップ】
ステップ | 実施事項 |
支援のポイント |
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ステップ1 現状把握 |
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ステップ2 プロジェクト体制構築・方針策定 |
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ステップ3 プロジェクト開始と検証 |
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ステップ4 報告 |
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【「KPMGの支援ステップ」のイメージ】
グローバルプロジェクト支援(例)
KPMGのグローバルプロジェクト支援の例として、リスクマネジメント支援の対応イメージを紹介します。
【リスクマネジメントの概要】
検討項目 | 具体的な内容 | |
---|---|---|
リスクの種類 | 1.国別の法令・規制・ルールに抵触するリスク | |
2.国家間の時差・労働慣行や文化の差異に係るリスク | ||
3.グローバルなビジネスにおけるその他のリスク | ||
マネジメントフェーズと対応ポイント | マネジメントフェーズ | 対応のポイント |
1.リスク対象の特定/定義付け | リスク対象を正確に補足し特定する | |
2.リスク影響の測定(BIA※) | 定量的・定性的な影響を特定する | |
3.リスク発生頻度の測定 | 発生可能性を正確に予測する | |
4.リスク対応方針 | フィージビリティある対応を実施する | |
5.リスク対応のPDCA設計 | 変化時に対応できるリスク管理体制を作る |
※BIA:Business Impact Analysis
【リスクマネジメントのイメージ】
KPMGは、金融機関向けのサービス提供実績のある各国・地域のメンバーファームともに連携しながら、グローバルプロジェクトの確実な成功に向けて支援します。お気軽にお問い合わせください。
執筆者
KPMGコンサルティング
執行役員 パートナー 伊東 敬
マネジャー 小林 賢三