2025-26年度インド国家予算案
本稿は、2025‐26年度(2026年3月期) インド国家予算案、特にそのなかでも、税制改正案について解説します。
本稿は、2025‐26年度(2026年3月期) インド国家予算案、特にそのなかでも、税制改正案について解説します。
2025年2月1日に2025‐26年度(2026年3月期)のインド国家予算案が公表されました。今回の予算案は、インドの経済的な上昇を促進するためのビジョナリーかつ包括的な青写真であり、世界舞台で主導する準備が整ったViksit Bharatを実現するための基盤を築くものです。特定の税制優遇措置と効率化された規制環境を通じて外国投資を促進し、インドをグローバルなビジネス拠点として位置付けることを目指しています。本稿は、2025‐26年度(2026年3月期) インド国家予算案、特にそのなかでも、税制改正案について解説します。また、現行の1961年所得税法の包括的な見直しを行うために、2025年2月13日に国会に提出された2025年所得税法案についてもあわせて解説します。
なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめ
お断りいたします。
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Ⅰ.インド国家予算案
1. 直近の経済動向
2024年、世界経済は地域ごとに不均一な成長を見せました。ヨーロッパとアジアの一部では、サプライチェーンの混乱と弱い外部需要により、製造業が減退しました。一方、サービス業は好調で、世界的な経済成長を支えました。インフレ圧力は世界的に緩和されましたが、サービス業のインフレは依然として懸念事項です。インド中央銀行は、成長率とインフレの異なる進路を背景に、多様な金融緩和政策を採用することが予想されますが、地政学的な緊張と貿易政策のリスクが続いています。
これらの世界的な課題にもかかわらず、インドは経済成長を維持し、2025年3月期の実質GDP成長率は6.4%と予測されています。この成長は、農業とサービス業によって支えられており、記録的なカリフ作物の生産により農村の需要が改善されたことが背景にあります。製造業は世界的および国内の需要が低迷しているものの、安定した個人消費が強い国内需要を示しています。財政規律の維持、サービス貿易の黒字および送金収入が、マクロ経済の安定に貢献しました。
2026年3月期を見据えると、世界的な不確実性のなかでも、インドの成長見通しは安定しているようです。GDP成長率は6.3%から6.8%の範囲で予測されています。主要な成長ドライバーには、農村の需要、企業の賃金改善、および消費者信頼があります。インドは競争力を強化するために、構造改革および規制緩和を推進する必要があります。インフレは食料価格の変動によって引き起こされる課題であり、外部セクターは強いサービス貿易の黒字から利益を得ています。安定した資本流入を通じた経常収支赤字の管理が、持続的な成長にとって重要となるでしょう。
2. 2026年3月期インド国家予算案
現在、ナレンドラ・モディ首相のもとで3 期目を迎えている政府は、経済成長を促進し、社会福祉を向上させ、インドを世界経済のリーダーとして位置付けるための包括的な計画を策定しました。2026年3月期の連邦予算は、持続的な経済成長、財政赤字の削減、および持続可能で包括的な成長を強調する投資とイニシアチブを通じた民間消費の安定化を目指し、インドの回復力のある経済見通しを強調しています。財務大臣のニルマラ・シタラマン氏が提出したこの予算は、主に農業、中小企業、投資、および輸出の4つの開発エンジンに基づいて構成されており、改革が燃料となり、包括性が指針となっています。金融セクターの改革、中産階級に救済を提供することを目的とした税制改革、およびインフラ開発への継続的な焦点が、Viksit Bharat@2047のビジョンを推進すると予想されています。
Viksit Bharat@2 0 47とは、インド政府が20 47年までに国を完全に発展させることを目指したビジョンとロードマップです。2047年はインドの独立100周年にあたります。このイニシアチブは、包括的な発展、持続可能な進歩、そして効果的なガバナンスを強調しています。
Ⅱ.税制改正案
1. 所得税法の包括的な見直し
インド・モディ内閣は、2024年7月の第3 次内閣発足後最初の予算案発表時に、1961年所得税法( Income-tax Act, 1961、以下、「現行法」)の簡素化や訴訟の削減、納税者への税の安定性・確実性の提供を目的として、今後6ヶ月以内に所得税法の包括的な見直しを行うことを発表しました。
インドではこれまで複雑な税制や税務訴訟の多さが日系企業のインド進出の妨げとなっていたため、所得税法の包括的な見直しにより、税制面でのこうした阻害要因が解消・軽減され、日系企業のインド進出が進むことが期待されます。
以下では、上記を受けて2025年2月1日に公表された税制改正案について解説し、2025年2月13日に国会(Lok Sabha、下院・人民会議)に提出された2025年所得税法案( Income-tax Bill, 2 0 2 5、以下、「新法案」)の概要については「III. 新所得税法案」で解説します。
2. 法人所得税
(1) 法人税率に変更なし
事前にさまざまな利害関係者・ステークホルダーから法人税率の引き下げ要請や期待がありましたが、今回は提案されませんでした。
(2) スタートアップの設立期限延長
優遇税制の対象となる適格スタートアップ1の設立期限について、提出期限を2025年3月31日から2030年3月31日に5年間延長することが提案されています。
インドでは、これまでインド国内のスタートアップ・エコシステムを支援するために、一定の要件を満たす適格スタートアップ企業に優遇税制を適用してきましたが、今回の設立期限の延長により、税制面からスタートアップ日系企業のインド進出が進むことが期待されます。
(3) 電子機器事業への推定課税導入
インドで電子機器製造(関連)施設を設置・運営しているインド居住者にサービス・技術を提供する非居住者について、2025年4月1日以降は当該サービス・技術提供収入の25%を非居住者の事業所得とみなす推定課税( 任意適用)の導入が提案されています。
インドでは、インドを電子機器システム設計・製造の世界的なハブとして位置づけるために、インド政府により半導体・ディスプレイ製造エコシステムの開発に関する包括的なプログラムが承認されており、非居住者に対してはサービス・技術を提供することで当該電子機器製造施設の設立を支援することが期待されています。
今回の推定課税の導入により、非居住者のインドにおける法人税の実効税率がこれまでよりも下がることが期待されているため、税制面から日系企業のインド電子機器製造( 関連)施設へのサービス・技術提供が進み、半導体・ディスプレイ製造エコシステムへの貢献が進むことが期待されます。
(4) 更新申告書の提出期限延長
2 0 2 5 年4 月1 日以降の更新申告書(updated return)の提出期限について、提出期限を該当する評価年度(Assessment Year: AY )末後2年から4年に2年間延長することが提案されています。
インドでは、2019年度( AY 20-21)より、未納税額・利息の25%または50%を追加支払することでAY末後2 年までは更新申告書の提出が認められていましたが(ただし、所得減額や還付金増加をもたらすような申告は不可)、それ以降は認められておらず納税者のコンプライアンス順守の妨げとなっていたことから、今回の提出期限の延長により、何らかの理由で通常の確定申告書を期限内( AYの10月末または11 月末)に提出できなかった日系企業の自主的な更新申告書の提出が進むことが期待されます。
ただし、AY後2年超-3年以内に提出した場合は未納税額・利息の60%を、3年超-4 年以内に提出した場合は同70%の追加支払が必要なため、原則的には更新申告書の提出が必要とならないように、通常の確定申告書を正確に作成し期限内に提出することが望ましい点に留意が必要です。
(5) 合併に伴う損失繰越期限明確化
2025年4月1日以降の合併について、合併に伴い被合併会社から引き継がれる損失の繰越期限を合併時点から8 年ではなく、被合併会社の損失発生時点から8 年に統一することが提案されています。
インドでは、これまで被合併会社から引き継がれる損失について、合併時点から8 年繰り越すことが可能となっていましたが( 現行法 72A(1))、合併による損失繰越の恒常化やその乱用を招いたことから、今回の繰越期限の明確化( 短縮化) により、日系企業のインドにおけるM&A 戦略に影響を与えると考えられ、留意が必要です。
(6) 源泉税( TDS/TCS )規定の合 理化
2025年4 月1日以降の特定の取引について、源泉税( TDS: Tax Deducted at Source/TCS: Tax Collected at Source )の適用基準額の引き上げや、納税者のコンプライアンス負担の軽減策が提案されています。
源泉税の対象となる取引が多いインドでは、これまで高い源泉税率が一時的なキャッシュフローの悪化を招き、納税者の過度なコンプライアンス負担となっていましたが、今回の源泉税の合理化により、日系企業のキャッシュフローの改善やコンプライアンス負担の軽減が期待されます。
3. 移転価格税制
(1) ブロック調査制度の導入
2025-26年度(AY 2 6-2 7 )以降の移転価格調査について、独立企業間価格(Arms Length Price: ALP)を3年のブロック期間で決定できるブロック調査( block assessment )制度の導入が提案されています。
移転価格税制が税務上の論点となりやすいインドでは、これまで毎年類似取引について同一の独立企業間分析が繰り返され、納税者や移転価格調査官(Transfer Pricing Officer:TPO )の過度なコンプライアンスや管理上の負担となっていましたが、納税者に国外関連事業者(Associated Enterprise: AE )や取引規模などが類似の取引に関して1年目にTPOにより決定されたALPを2 年目と3 年目にも適用するオプションの行使を認めることで、ALP決定プロセスが合理化され、日系企業の移転価格調査の早期完了や対応コストの削減が進むことが期待されます。
(2) セーフハーバールールの拡大
税務訴訟を減らし、国際税務の安定性・確実性をもたらすために、セーフハーバールール2 の適用範囲の拡大が提案されています。
(3) オンライン制度の導入期限撤廃
インド政府が柔軟にオンライン制度( faceless regime )を導入できるよう、特定の条項に規定されているオンライン制度の移転価格調査や係争( 紛争解決パネル(Dispute Resolution Panel: DRP )、税務裁判所( Income Tax Appellate Tribunal: ITAT) )の導入期限( 現行2025年3月31日まで)を撤廃することが提案されています。
4. 個人所得税
(1) 個人所得税の減税
インドにおける中間所得層への支援を目的として、2025-26年度( AY26-27)以降の累進課税の課税所得帯の変更および割戻控除(Rebate benefit )の引き上げによる減税が提案されています。この提案により127万5千ルピー以下の所得者は個人所得税が非課税となります。
インドでは、これまでも過去の予算案において積極的に個人所得税の減税を行ってきましたが、今回の減税により、日系企業の現地ローカルスタッフおよび日本人駐在員の税コストの削減がさらに進むことが期待されます。
5. 関税
(1) 関税率の合理化・軽減・免除
これまで15区分あった関税率を8区分に変更しました。また、これまで基本関税率の他に、社会福祉課徴金(Social Welfare Surcharge: SWS )と農業インフラ・開発目的税( Agriculture Infrastructure and Development Cess: AIDC )を同時課税していましたが、多くの項目でいずれかのみの課税へ見直しが行われました。これらにより、関税率に関する合理化が進みま した。
また、2025年2月2日以降の玩具、皮革、食品加工、電子自動車、電子機器などの分野における製品の関税率が軽減・免除されています。
インドでは、「Make In India, Make for the World 」のために重点産業の物品について積極的に関税率の軽減・免除を行ってきました。今回の関税の軽減・免除や関税率の合理化により、日系企業の貿易活性化がさらに進むことが期待されます。
( 2) 通関者の関税修正手続の明確化
通関者が輸入通関後に関税の自主評価を修正する場合の事後修正手続の導入が提案されています。
インドでは、これまで通関者による輸入通関後の関税の自主評価が誤っていたことが判明した場合の事後的な修正手続が法令で明確化されていませんでしたが、今回の提案で手続が明確化されました。また、当該事後修正手続は通関者による還付請求の場合にも適用可能であることが提案されています。ただし、税務調査中などの一定の場合には適用できないことも提案されています。
関税修正手続を明確化することで、通関者のコンプライアンス負担の軽減が図れ、日系企業の貿易活性化に寄与することが期待されます。
(3) 関税当局の暫定評価期限の新設
関税当局による関税暫定評価(Provisional Assessments )の確定期限を2 年とすることが提案されています。また、関税当局の判断で十分な理由がある場合には1年の期限延長が可能で、一定の場合には当該暫定評価の確定期限の適用がなされないことも提案されています。
インドでは、これまで関税当局による関税暫定評価の確定期限がなく、長期間確定されない事例もありました。関税当局の暫定評価期限を設定することで、通関者のコンプライアンス負担の軽減が図れ、日系企業の貿易活性化に寄与することが期待されます。
(4) 関税の紛争解決機関の廃止
関税の紛争解決機関であるSettlement Commissionを2025年3月までに段階的に廃止することが提案されています。2025年3月までに解決されない保留中の申請については、Interim Board( 保留中の申請案件を解決するための一時的な機関)により引き継がれます。
(5) 関税の優遇税率適用手続の緩和
関税の優遇税率( Import of Goods at Concessional Rate of Duty: IGCR)の適用にあたり、IGCRに関する一定の報告事項をまとめた申告書を関税当局に提出する必要がありますが、当該申告書の提出頻度を月次から四半期毎に変更することが提案されています。また、IGCRの適用対象となる製品・商品の使用期限を6ヵ月から1 年に延長することも提案されています。
IGCRの適用手続を緩和することで、IGCRの適用余地が広がり、日系企業の貿易活性化に寄与することが期待されます。
6. 物品およびサービス税(GST)
(1) ペナルティーのみ異議申し立てる場合の事前預託金の軽減
ペナルティーのみの納税命令(Order ) に対して異議申し立てをする場合の事前預託金を、ペナルティーの25%からペナルティーの10%に軽減することが提案されています。
ペナルティーのみのOrderに対する事前預託金を軽減することで、日系企業のキャッシュフローの改善が期待されます。
(2) Credit Note発行時のGST調整
Credit Noteを発行し、GSTのマイナス調整を行うには、Credit Note受領者による仕入税額控除( Input Tax Credit: ITC )の取消が必要だとする条件の追加が提案されています。
この条件追加により、Credit Noteの発行者はGSTのマイナス調整を行うにあたり、受領者のITCの取消状況を確認する必要があり、コンプライアンス負担が増える点に留意が必要です。
(3) IMS義務化に向けた法令の文言改正
CGST法第3 8 条( 1),( 2 )の「auto - generated statement」の文言を「statement of input tax credit 」に修正することが提案されています。
この改正により、20 24 年10月から任意導入されているGSTポータル上の請求書管理システム( Invoice Management System: IMS )の使用を義務化させることが可能になりました。なお、IMSの使用義務化自体は今回の提案には含まれておらず、今後の動向に留意が必要です。
(4) ITCに関する法令の文言改正
CGST法第17条(5)( d ),(2)の「plant or machinery 」の文言を「plant and machinery 」に修正することが提案されています。この条項は、これまで自己のために使用する不動産( プラント又は機械を除く)の建設に使用される物品およびサービスに関するITCの利用を制限していましたが、「プラント又は機械」の具体的な定義がないため、特に「プラント」のみの場合にITCが利用できるかが議論となっていました。
この改正では、引き続き「プラントと機械」の定義については明示されませんでしたが、政府からの一定のメッセージが示されたといえます。なお、当該CSGT法の文言修正は遡及的に適用される点にも留意が必要です。
7. その他
(1) 生産連動型インセンティブ
生産連動型インセンティブ(Production Linked Incentive: PLI )の追加発表が期待されていましたが、今回の国家予算案では発表されませんでした。今後が期待され ます。
Ⅲ.新所得税法案
1. 所得税法の包括的な見直し
インドのモディ内閣は、2025年2月13日に、現行法の簡素化や訴訟の削減、納税者への税の安定性・確実性の提供を目的として、現行法の文量を約半分に減らす新法案を国会に提出しました。これは、2024 年7月の第3次内閣発足後最初の予算案発表時に、今後6ヵ月以内に現行法の包括的な見直しを行うと発表したことを受けてになります。
以下では、当新法案の主要な内容と日系企業が留意する点について解説します。なお、当新法案は国会審議を経て、可決・制定・発効される点に留意が必要です。
2. 新法案の主要な内容
(1) 総括
新法案は、2026年4月1日の発効を予定しており、制定されればおよそ60年ぶりに現行法が置き換わることになります。
新法案は、現行法の規定とおおむね整合していますが、現行法上の類似規定の統合や廃止規定の削除、一部情報の表形式化をすることで所得税法の簡素化を目指すものであり、現行法の47章819節が新法案では23章536節に削減されます。
ただし、新法案の多くの規定については、具体的なルールの定めが必要なため、今後個々のルールが公表される可能性があります。
(2) 全体的な構造
新法案では、現行法の一部の節・小節にある長い文章を条項に分割し、読みやすさを向上させています。ただし、一部の定義については新法案が現行法の規定を参照し続けていたり、新法案内でさまざまなスケジュールや表への相互参照が多数あることから、煩雑・複雑になっているものもあります。
その他、「評価年度(Assessment Year: AY )」の概念を廃止し、「前年度(Previous Year: PY )」を「課税年度( Tax Year )」と呼ぶことにしたり、規定を無効にするための用語の変更、現行法の節・小節の説明や但し書きの小節への移管、現行法のさまざまな節の表形式化などにより、所得税法の簡素化を目指しています。
(3) 定義の変更
新法案では、新法案全体に適用される一般的な定義に加えて、特定の章・小章のみに適用される特定の定義を各章・小章の最後に記載しています。また、「事業関連性(business connection)」や「関連会社( associated enterprises)」など、新法案の一部の定義の文言については慎重な評価が必要なものもあります。
(4) おおむね変更がないもの
新法案では、個人納税者が引き続き旧個人所得税制度を選択することが可能です。また、税率、事業所得の計算、資本税制(キャピタル・ゲイン課税など)、M&A 税制も現行法の規定とおおむね整合しています。
その他、「II. 税制改正案」で提案された事項の多くは一部の例外を除き新法案に含まれており、新法案は、現行法の規定や2025-26年度インド国家予算案・税制改正案とおおむね整合しているといえます。
3. 日系企業が留意する点
新法案は、現行法の規定とおおむね整合しており、現行法上の類似規定の統合や廃止規定の削除、一部情報の表形式化をすることで所得税法の簡素化を目指すものとなっているため、複雑なインド税制がインド投資の阻害要因となっている日系企業にとっても歓迎すべきものです。
また、新法案の規定を包括的に検討し、現行法との詳細な比較分析をすることで、今後対処する必要のある解釈上の問題が明らかになる可能性があるため、各日系企業は新法案が発効される前に自社の状況を踏まえた詳細な比較分析を行い、検出された重要な差異について対応方針を立案・実行することが重要といえます。
ただし、新法案の多くの規定については、具体的なルールの定めが必要なため、今後の個々のルール化の状況を注視するとともに、現行法のもとで公表されてきた各種ガイダンス・通達・通知・決定が現行法と同一・類似の方法で表現されている新法案の規定にどのように適用されるのか注視していくことも重要です。
1 事業売上高が10 億インドルピーを超えない、認証委員会の適格事業証明書を保有している、2016 年4月1日以降2025年4月1日以前に設立されている、の3要件を満たす場合、設立から10年間のうち連続する3 年間について所得の100%が非課税となる。
2 セーフハーバールール: 利益率など事前に定められた一定の条件を満たす場合に税務当局がその移転価格を受け入れる仕組み。インドでは2013年から適用されており、ソフトウェア開発サービス、IT アウトソーシングサービス、保証、自動車部品の製造・輸出、低付加価値のグループ内サービスなどについて適用基準額とともにルールが定められている。
執筆者
KPMGインド
空谷 泰典/アソシエイト・パートナー
工藤 寛之/ディレクター
髙木 航介/アソシエイト・ディレクター
田島 康教/アソシエイト・ディレクター
久米田 明宏/マネジャー