気候関連支出から生じる無形資産の認識(IAS第38号)―IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース―「気候関連支出から生じる無形資産の認識(IAS第38号)」については、2024年12月のIFRS-IC会議において新規に取り上げられました。

IFRS解釈指針委員会ニュース―「気候関連支出から生じる無形資産の認識(IAS第38号)」については、2024年12月のIFRS-IC会議において新規に取り上げられました。

概要

委員会は、カーボン・クレジットや研究開発活動に対する企業の支出がIAS第38号における無形資産の認識要件を満たすかどうかに関する質問を受け取りました。

前提となる事例は以下のとおりです。

a.企業は2020年と2021年に、利害関係者に対して2030年までに炭素排出量の一定割合を削減するというコミットメントを行った。

b..企業は「積極的是正策(affirmative actions)」をとって、当該コミットメントを達成する実践パターンを確立したと考えている。この是正策には次のものが含まれる。

(i)移行計画の作成

(ii)「ネットゼロに焦点を当てる投資家」との対話

(iii)コミットメントと計画を自社のウェブサイトで公開

(iv)排出量削減を達成するための協力を目的とする連合への参加

(v)財務諸表及び投資家等へのプレゼンテーションでの排出量削減目標の記載

(vi)カーボン・クレジットの購入と排出量削減のための「イノベーション・プログラム」への投資に対する資本の配分

c.企業のイノベーション・プログラムは通常、ノウハウや専門知識、その他の知的財産を有するチームを組成し、企業や業界に固有の排出量削減の解決策を策定・開発し、知的資本を創出する。

d.企業の投資家、保険会社、銀行は、企業の是正策に基づいて各自の移行コミットメントを行った。

e.企業は、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」を適用し、当該コミットメントとその後の積極的是正策によって、推定的義務または法的義務が創出されていると結論付けた。

質問では、2024年4月のアジェンダ決定「気候関連コミットメント(IAS第37号)」(2024年6月IFRS-ICニュース参照)を踏まえて、2024年度中に、カーボン・クレジットや研究開発活動に対する企業の支出(イノベーション・プログラムから生じる知的資本をもたらす)が、IAS第38号の無形資産の認識要件を満たすかどうかが問われました。

ステータス

委員会の暫定決定

委員会は、2024年11月の会議で議論しましたが、これまでに収集した証拠によれば、研究開発活動に係る支出の会計処理に重要性がある不統一は示唆されていないとしました。質問事項による広範な影響は想定されないため、本件に対処するための基準設定プロジェクトを作業計画(アジェンダ)に追加しないことを暫定的に決定しました。

暫定的なアジェンダ決定の詳細についてはASBJのサイトに公開されているIFRIC Update(2024年11月)をご参照ください。

コメント期限

2025年2月3日

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