KPMGジャパンで昨年に続く2回目の取組みとなる本調査では、日本において消費者に提供されている購買体験価値を高める各種テクノロジー・ツールに係る現況と今後の見通しについて、企業、消費者双方へアンケート調査を実施し、企業側のツールやサービスに対する現状の取組みと、消費者側が求める水準とのギャップ等の特定・分析を行った。(昨年から変更:対象テーマの見直し、今後の見通しについての調査と分析を追加)
その結果をもとに国内の小売企業および直販を行う消費財メーカーが目指す購買体験価値のあり方を考察する。

背景

昨今、国内小売業において、消費者向けに購買活動を支援し購買体験価値を高めるさまざまなテクノロジー(ツール・サービス)が利用されている。

2019年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、2022年以降の記録的円安などに伴い、国内外の外部環境の不確実性が増すなか、消費者と直接相対する小売企業は、購買体験を高めることが持続的な成長を実現するうえで避けられないテーマの1つとなっている。

しかし、企業が提供する購買支援ツール・サービスのなかには、消費者側の実際のニーズ(求める内容・水準)と、企業側の消費者ニーズの認識およびそれに基づく取組みにギャップが生じているものも散見され、多くの企業が最適な対応方法を模索している実態がうかがえる。

概要

このような背景を踏まえて、国内小売業において消費者に提供されている各種購買体験を高めるテクノロジーに係る現況の把握のため、昨年に引き続き「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査 (国内小売業) 」を実施した。

企業、消費者双方へアンケート調査を実施し、企業側のツールやサービスに対する現状の取組みと、消費者側が求める水準とのギャップを特定・分析した。
消費者調査の有効サンプル数は4,000件。年齢別(15~69歳の年代別)および男女別で人口動態に合わせて割り付けを実施した。
企業調査の有効サンプル数は104件で、国内小売業および消費者への直販を行う売上10億円以上のメーカーを対象とした。
また、企業の意向についての詳細を補足するため、国内大手小売企業における経営企画またはIT企画部門に所属する専門家11名にインタビューを実施した。インタビューを実施した専門家のうち、9割以上が部長職であり、3名のCIO・CDOが含まれる。

本年は、昨年の主要テーマと国内外の小売業におけるテクノロジートレンドを基に、「実店舗における購買の利便性を高めるテクノロジー」、「オムニチャネルショッピング」、「ハイパーパーソナライゼーション」、「多様な配送サービスを実現するテクノロジー」、「エシカルソーシングを促進する情報提供」、「その他新興テクノロジー」の6つのテーマについて取り上げる。
さらに、本年はテーマごとにサブテーマを設定し、より深掘りした実態把握を試みた。

テクノロジーを活用した購買支援ツール・サービス別の、「現状」の企業と消費者のギャップと企業の解決の方向性 の概要は下記:
(現状の取組みに関する調査・分析の詳細、ならびに今後の取組みに関する調査・分析については、レポート本編を参照)

テクノロジーを活用した購買支援ツール・サービス別の、「現状」の企業と消費者のギャップと企業の解決の方向性

Japanese alt text:顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査(国内小売業)図表1

出典:KPMGジャパン「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査(国内小売業)」 2024年

目次

イントロダクション・エグゼクティブサマリー
  1. 実店舗における購買の利便性を高めるテクノロジー
  2. オムニチャネルショッピング
  3. ハイパーパーソナライゼーション
  4. 多様な配送サービスを実現するテクノロジー
  5. エシカルソーシングを促進する情報提供
  6. その他新興テクノロジー
  7. おわりに:調査を終えて

執筆者

KPMGコンサルティング
アソシエイトパートナー 白石 隼人
シニアマネジャー 戸倉 真咲
シニアコンサルタント 林 由里恵

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