経理DXを推進していくために―経営の意思決定サポート業務とITの関係(4)―

今回は経理財務部門の業務変革において、今後大きな役割を果たす経営の意思決定サポート業務とITの関係について解説します。

今回は経理財務部門の業務変革において、今後大きな役割を果たす経営の意思決定サポート業務とITの関係について解説します。

1.意思決定サポート業務へのIT利活用に向けた経理財務の役割

ここまで説明してきた意思決定サポート業務をしっかりと機能させるために、重要なのが以下の3つのポイントです。

(1)経営管理要件の明確化
(2)データ収集におけるリーダーシップの明確化
(3)ITを活用したインサイトの提供

今回は、(2)データ収集におけるリーダーシップの明確化についてです。

(2)データ収集におけるリーダーシップの明確化

データ収集におけるリーダーシップの明確化も重要なポイントです。

具体的な例で言うと、通常、基幹システムの要件を決定するうえでは、そのシステムを利用する現場の各部門から要件を聞き取って、要件定義として取りまとめられます。そこでは、業務遂行上の効率性が重要視される一方、経営管理要件は軽視される傾向にあります。そのため基幹システムの要件として、経営管理の観点で収集すべきデータの要件が漏れなく取り込まれるよう、検討をリードしなければなりません。

基幹システムの要件定義において経営管理要件を取り込む場合には、現場の効率化とは相反する要件となることが多くみられます。例えば、現場では、入力項目は可能な限り減らすことで業務効率化を実現したいと考えるのが普通です。しかし、経営管理要件を取り込む場合には、入力項目の追加が必要となるケースがあります。その場合、現場が抵抗を示すことがありますので、本当に入力項目を追加しなければならないのであれば、現場ユーザーを説得する必要があります。

これはボトムアップでは難しいので、リーダーシップを明確化して臨む必要があります。

経理DXを推進していくために―経営の意思決定サポート業務とITの関係(4)―

次回は(3)ITを活用したインサイト(洞察)の提供についてです。

執筆者

あずさ監査法人
DIA統轄事業部 DI事業部
経理DXチーム

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