SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)

Science Based Targets Network(SBTN)は、自然の喪失を抑制するために、企業が自然に関する科学に基づく目標(SBTs for Nature)を設定し、その達成に向けて行動することを期待しています。

Science Based Targets Network(SBTN)は、自然の喪失を抑制するための目標(SBTs for Nature)を設定し、その達成を期待しています。

(1)SBTs for Natureとは

グローバル・コモンズ・アライアンス(GCA)のメンバーであるScience Based Targets Network(SBTN)は、人類が安全に生活を送るために超えてはいけない(超えると地球が破綻する)とされる環境負荷の限界「プラネタリー・バウンダリー」の範囲内に活動を留め、持続可能な社会を実現するための目標としてSBTs for Natureの設定を提唱しています。目標達成のためには自社事業(直接操業)における自然への直接的な負荷を回避または軽減し、復元および再生によって自然を回復させること、さらにはバリューチェーンの上流や下流における自然への間接的な負荷に対処するために社会システムを変革することが求められます。

「グローバル・コモンズ(=地球上の全ての人々が共有する生命維持のためのシステム)」の保護と世界経済の発展の両立を実現するよう経済システムの変革を目指す国際的な同盟。
 

SBTs for Natureを設定するアプローチとして次の5つのステップが示されています。

SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)-1

出典:SBTN Guide for Readers(2023)およびエグゼクティブサマリー(日本語仮訳)(2020)を基にKPMG作成

(2)なぜSBTs for Natureを設定するのか?

企業による事業活動は自然喪失と気候変動に大きな影響を与えており、自然喪失と気候変動に取り組む世界的な目標を達成するうえで、企業は極めて重要な役割を担っています。

SBTNが考えるSBTs for Natureを設定することにより企業が得られるメリットは以下の通りです。

SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)-2

出典:SBTNウェブサイト, “Why set SBTs ?” を基にKPMG作成

(3)SBTs for NatureとTNFDの関係性

SBTNはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のナレッジパートナーの1つでもあり、TNFDの情報開示フレームワークにはSBTNの自然への影響と依存の定義が採用されています。TNFDの自然関連リスク機会を評価・管理するための方法論である「LEAPアプローチ」とSBTs for Natureの5つのステップは内容に類似性があります。TNFDの情報開示フレームワークを適用する企業は、自然に関する目標を設定し、それらの目標に対するパフォーマンスを測定する際、SBTs for Natureの目標設定方法に従うことが推奨されていることからも、TNFDとSBTs for Natureの取組みは同時並行的に行うことが望ましいと考えられます。SBTs for Natureのガイダンスに沿って科学的な根拠に基づく目標を設定することは、自社の取組みの正当性を確認でき、さらに対外的に発信することにも繋がるため、非常に重要な取組みであると言えます。

TNFDについては「TNFDベータ版フレームワークv0.4の解説」をご参照ください。

SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)-3

出典:TNFD Guidance for corporates on science-based targets for natureを基にKPMG作成

執筆者

KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン
あずさ監査法人 サステナブルバリュー統轄事業部
KPMGあずさサステナビリティ

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