ハイライト
エグゼクティブサマリー:試されるレジリエンス
The Consumer Goods Forum(CGF)は、世界中の小売企業と食品・消費財メーカーを結集してプラスの変化をもたらそうとする、唯一の業界組織です。2021年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に素早く対応しましたが、2022年はインフレ、国際紛争、サプライチェーンに対処する一方で、長期的なサステナビリティ目標にも注力しなければなりませんでした。
- 分科会を通じて業界の優先課題に対応
- 分科会を通じ、課題に取り組む
- 業界の再結集
混迷の時代のリーダーシップ
CGFのミッションは、責任あるビジネスプラクティスを通じて「より良い生活の実現」を追求することです。この2年間の社会環境の混乱により、その重要性は一層高まり、業界の長期的な課題に対して団結する、メンバー企業のコミットメントも強化されています。
- 勢いを継続させる
- 分科会の枠を越えたさらなる協業の機会
- 人のつながりが持つ力を改めて活かす
2022年の状況:地域活動の拡大と影響力の増大
過去3年間、パンデミックとロシアのウクライナ侵攻のような未曾有の危機が重なったことで、企業は迅速な対応と解決策を求められました。これに伴い、エネルギーコストや生活コストの上昇、市場の混乱、短期的制約と長期的課題の間の不均衡といった新たな事態が生じています。
分科会のガバナンスモデル導入初期には、詳細なアクションプランの策定や、メーカーと小売企業から熱心な分科会メンバーの募集に、大部分の注意と労力が費やされました。
つながりが持つ力:世界・地域規模のネットワーク形成と知識共有
CGFは以下の目的で、業界のCEOをはじめとする経営幹部をグローバルイベントに招集しています。
- 業界における競争の前段階として情報を共有し、互いに学び合う
- 同業者との人脈を築く
- 知識や経験を交換する
- 業界全体の課題に対する具体的な解決策を生み出す
CGFのグローバルイベント
- グローバル・サミット ――ダブリン、2022年6月20~23日
- GFSIカンファレンス ――バルセロナ、2022年3月29~31日
- サプライチェーン・カンファレンス ――アムステルダム、2022年10月24~26日
- サステナブル・リテール・サミット ――アムステルダム、2022年10月26~28日
- フューチャー・リーダーズ・プログラム ――2022年1月28日~6月23日
CGFの地域イベント
- 中南米
- 中国
- EMEA
8つの分科会
- 食品廃棄物
- フォレストポジティブ
- 世界的な食品の安全
- より健康な暮らしのための協働
- 強制労働撲滅に向けた人権
- プラスチック廃棄物
- 製品データ
- 持続可能なサプライチェーン
集団的影響とインパクト:8つの分科会
食品廃棄物
- 食品廃棄との世界的な闘い
食品廃棄は重大な社会・環境問題であり、責任ある集団行動を通じてのみ、効果的に対処できます。分科会は2021年、世界の食品廃棄と食品ロスの防止・削減のために積極的な戦略を立案しました。
分科会のメンバーは、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット12.3へのコミットメントを表明し、2030年までに自社の食品廃棄を半減させ、自社以外の食品廃棄問題にも貢献するとしています。 - 業界、人、地球にとっての価値
- サプライチェーンの混乱への対応
- 絶好の機会
- 今後の方向性
- CEO同士が強い影響を及ぼし合う
フォレストポジティブ
- 商品主導の森林破壊へのグローバルな対応
森林は世界の陸地の約30%を占めていますが、驚くべき速さで消滅しています。コモディティ主導による森林破壊の阻止は、気候変動への対応、生物多様性の保全、生活の向上、原材料やサプライチェーンの信頼性・持続可能性の確保に不可欠です。
フォレストポジティブ分科会のビジョンは、パーム油、大豆、紙・パルプ・繊維包装材、牛肉のサプライチェーンから森林破壊、森林転換、森林劣化を排除し、集団的行動を通じて人々と地球にとってフォレストポジティブな未来を実現することです。 - 行動への道のり
- マルチステークホルダー・エンゲージメントによるインパクトの実現
- ステークホルダーとの連携
- 透明性と変革の文化をつくる
- 2023年への展望と集団的行動の力
世界的な食品の安全
- 2022年の主な成果
新型コロナの終息後、分科会(GFSI)は通常業務に戻りました。GFSIが主宰する第三者認証制度では対面監査が復活し、GFSIが承認したプログラムに対して15万件以上の認証が発行されました。さらに、600名が参加する対面カンファレンスを開催し、主導的な役割を果たしました。 - 食品安全分野におけるThought Leadershipへの貢献
- 背景における取組み
より健康な暮らしのための協働
- グローバル戦略を地域で展開
分科会(CHL)の目的は、店舗、オンライン、地域社会で消費者の健康的な行動を喚起し、セクターを越えた集団行動を促進し、消費者が健康で持続可能な選択をしやすくすることです。 - より健康な消費者の暮らしを支援
- ダイナミックな課題にリアルタイムで対応
- 学びやベストプラクティスの共有
- 従業員の健康とウェルビーイングの増進
- 今後へ向けて
強制労働撲滅に向けた人権
- 公正で適正な労働条件を全世界で実現するというミッション
労働や人身売買など、食品・消費財業界が対処すべき人権問題は多数存在します。特に強制労働は最も重大な問題で、業界が大きな影響を与え得る課題の1つです。
分科会のメンバー企業は、デュー・ディリジェンスの強化と、責任ある採用・報酬実務を組み合わせて、事業やサプライチェーン全体で強制労働を撲滅するために協力し始めています。 - 強制労働の現実
- 責任ある採用の推進
- 組織としての声の力を活かす
- 人権デュー・ディリジェンス研修
- マレーシアでの「ピープルポジティブ」な変革の推進
- 2023年の優先課題
プラスチック廃棄物
- サーキュラーエコノミー(循環型経済)へ向けて
リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行には、プラスチックの全段階での使用に対するアプローチを変更する必要があります。分科会のメンバーは、自然界にプラスチック廃棄物がない世界をビジョンに、プラスチック包装の不必要な使用を排除し、リサイクル性を向上させ、効果的なシステムを支援する目標を掲げています。 - 3つの主な目標を目指し続ける
- 9つのゴールデン・デザイン・ルールの実行
- EPRの定着
- 成立が期待される国連の新しいプラスチック条約
- 2023年への展望
製品データ
- 消費者マインドの構成要素
消費者の信頼形成には、製品の安全性と信頼性だけでなく、適切な情報提供が必要です。これは、正確で一貫性があり、メーカーから小売企業、最終消費者まで簡単に交換できるデータがあってはじめて成り立ちます。
分科会は、全製品がリアルタイムで検証可能な固有の製品識別子を持ち、全ブランドや小売企業、プラットフォームが同じグローバル・データ・モデルを用いる状態を目指しています。その活動の原動力は、信頼性の高いデータ交換による消費者体験の向上と業界への信用・信頼の確立です。 - さまざまなエンゲージメント
- 今後への重要な教訓
持続可能なサプライチェーン
- 業界の社会的コンプライアンスの水準を高める
分科会(SSCI)は、サステナビリティの要件に焦点を当て、食品・消費財業界のバイヤーやサプライヤーに対し、第三者による監査、モニタリング、認証スキームに関する明確な指針を提供しています。
分科会では、製造・加工、一次生産、水産業の3つのスコープで社会的コンプライアンスプログラムのベンチマークを行っています。また、環境ベンチマークの開発も始まり、2024年までに最終的な基準の提供を目標としています。 - SSCIによる承認
- SSCIのベンチマーク
- ステークホルダーが集うプラットフォームとしてのCGF
- 2023年への展望
協業の力をさらに活かす
この2年間の出来事は、企業をはじめとする各組織が、迅速に行動を起こし、素早く解決策を導くためのアジリティ(機動性)を証明するものでした。これは他のどんな場所よりも、CGFの活動において明らかでした。
CGFメンバー企業は、持ち前の粘り強さや共通の目標に対するコミットメントを通じて、業界全体にプラスの変化をもたらそうと積極的に活動しています。そうすることで、人々や地球にとってより持続可能な未来の創出に貢献しています。
今年のアニュアルレビューには、それぞれの分科会の、持続可能な未来へ向けた勇気ある取組み事例が数多く掲載されています。KPMGは今年もその進捗にスポットを当てる支援ができ、うれしく思っています。
英語コンテンツ(原文)
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