前方業務プロセス・システムにおける課題の把握と解消に向けて―売上計上業務の効率化―
経理財務部門の定型業務「取引の処理」の効率化を推進していくために、解消すべき前方業務プロセス・システムに関しての課題について、営業・販売プロセスを例に挙げて解説していきます。
経理財務部門の定型業務「取引の処理」の効率化を推進していくために、解消すべき前方業務プロセス・システムに関しての課題について、営業・販売プロセスを例に挙げて解説していきます。
販売プロセス(売上計上業務)における効率化ポイント
営業・販売プロセスを例にとって、一般的なプロセスにおける「取引の処理」の効率化のポイントを確認していきます。
ここでは一連の販売管理プロセス(1.受注、2.出荷、3.売上計上)のうち、3.売上計上を見ていきましょう。
3.売上計上
適切な時点に売上を認識するためには、取引種類に応じた適切な計上日付を選択する必要があります。計上日付を誤ると、会計上の売上高の期間帰属を誤るとともに、正確な業績評価ができません。売上計上を自動化することが効率化ポイントとなります。
検収基準(もしくはみなし検収基準)で売上計上を行うのであれば、一定のルールに基づいた実績データの検収日で計上すべきですし、船積基準で売上計上を行うのであれば、輸出データの船積日で計上すべきとなります。なお、売上高の認識基準にかかるシステム機能を検討する際は、費用収益対応の原則に基づき、売上原価の認識基準も併せて検討する必要があります。特に売上高の認識基準に船積基準を採用するような場合、出荷基準で売上原価を計上すると費用収益が対応しなくなるため、在庫管理システム上、倉庫出荷から船積みまでの問は積送在庫として管理し、船積完了時点で売上原価計上するといった工夫が必要となります。
これらを適切に判断するためには、受注入力時に売上の認識基準を判断するための取引種類情報を登録しておくことが必要ですが、これもマスタ化することができる領域となります。得意先マスタ、品目マスタの組合せで、売上の認識基準を判断することのできる取引種類マスタを作成しておくことで、自動売上計上機能を活用することが可能となります。
<売上計上の処理効率化ポイント>
- 売上認識基準判断のための取引種類マスタの整備
- 費用収益対応の原則への配慮
- 売上計上における自動仕訳の生成と連携
- 製品払出しおよび売上原価計上における自動仕訳の生成と連携
前方業務プロセスのシステム利用状況を確認すると、データ管理といっても各部門の調整などが必要となり、その実現には多くの課題が出てくることが考えられます。次回は、経理業務における会計関連システムについて、解説をしていきます。
執筆者
あずさ監査法人
Digital Innovation部
経理DXチーム