ASBJ、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等を公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2023年5月2日、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」並びにこれらに関連する諸会計基準等の一連の改正案(以下まとめて「本公開草案」という)を公表しました。

企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」並びにこれらに関連する諸会計基準等の…

本公開草案に対するコメント期限は、2023年8月4日です。

公表の背景

現行の企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「企業会計基準第13号」という)及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下「企業会計基準適用指針第16号」という)は、当時の国際的な会計基準との整合性を意図して2007年に公表したものです。

しかしながら、2016年に公表されたIFRS第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という)及び米国の会計基準Topic 842「リース」では、使用権モデルが採用され、オペレーティング・リースも含む原則としてすべてのリースについて資産及び負債が計上されるようになりました。使用権モデルとは、原資産の引渡しによりリースの借手に支配が移転した「使用権」部分について資産(使用権資産)を認識し、あわせて当該移転に伴う支払義務を負債(リース負債)に計上するというものです。これらの基準は、我が国の会計基準とは違いが生じていたため、国際的な比較において議論となる可能性がありました。

この状況を踏まえ、ASBJは、2019年3月に借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する会計基準の開発に着手することを決定し、4年間に及ぶ検討を重ねた結果、本公開草案を公表しました。

公開草案のポイント

【会計処理モデル】
借手:原則としてすべてのリース取引について、使用権資産及びリース負債を計上する単一の会計処理モデルが提案されています。

貸手:従前の基準を踏襲してリース取引をファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、それぞれに対応する2つの会計処理モデルが提案されています。

【会計処理の基本方針】
借手:IFRS第16号と同様の単一の会計処理モデルを採用する一方、IFRS第16号のすべての定めを取り入れるのではなく、主要な定めの内容のみを取り入れることが提案されています。

貸手:一部を除き、基本的に企業会計基準第13号の定めを維持することが提案されています。

【適用時期等】
最終化された会計基準の公表後2年程度経過した4月1日以後開始する年度からの適用とし、早期適用を認めることが提案されています。

適用初年度においては、遡及適用を原則としつつ様々な経過措置が設けられており、かつ、遡及適用による累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減することを認めることが提案されています。

執筆者

会計プラクティス部
マネジャー 飯野 友里

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