前方業務プロセス・システムにおける課題の把握と解消に向けて―出荷業務における効率化―
経理財務部門の定型業務「取引の処理」の効率化を推進していくために、解消すべき前方業務プロセス・システムに関しての課題について、営業・販売プロセスを例に挙げて解説していきます。
経理財務部門の定型業務「取引の処理」の効率化を推進していくために、解消すべき前方業務プロセス・システムに関しての課題について、営業・販売プロセスを例に挙げて解説していきます。
販売プロセス(出荷業務)における効率化ポイント
営業・販売プロセスを例にとって、一般的なプロセスにおける「取引の処理」の効率化のポイントを確認していきます。
ここでは一連の販売管理プロセス(1.受注、2.出荷、3.売上計上)のうち、2.の出荷を見ていきましょう。
2.出荷
得意先と合意した納期を遵守することが重要であり、営業部門では、出荷から納品までのリードタイムを踏まえ、正確かつ迅速に出荷予定日を算定する必要があります。リードタイムの計算は考慮要素が多く、煩雑性が高いことから、できる限り出荷予定日の計算を自動化することが効率化ポイントとなります。
他方、出荷指示を受ける倉庫部門では、納期が近い順に出荷準備を行う必要があり、効率的な出荷計画を立案するためには、営業部門が適時に出荷指示順序を判断する必要があります。営業部門が出荷指示を遅延・失念すると倉庫部門が効率的な出荷計画を立案することができないことから、出荷指示を自動化することが効率化ポイントとなります。
加えて、出荷予定日どおりに出荷が行われる取引が一般的であれば、倉庫部門において出荷実績情報を随時入力することは非効率であるため、出荷実績計上を自動化することも効率化ポイントとして挙げられます。
<出荷指示・出荷実績の処理効率化ポイント>
- 在庫管理システムに対して出荷指示を自動連携
- 出荷予定日に出荷実績データを自動生成
- 在庫管理システムから出荷実績を自動連携
例えば、具体的な仕組みとして以下のようなものが考えられます。
出荷予定日の自動計算
倉庫拠点、納品場所等の組合せによりあらかじめリードタイムを算定し、これをリードタイムマスタに登録しておくことで、受注入力時に倉庫や納品場所等の情報からリードタイムマスタを参照し、出荷予定日を自動計算する仕組みを構築します。
出荷実績データの自動連携
在庫管理システムでは、出荷予定日において、自動的に出荷実績データを生成し、販売管理システムに自動連携する仕組みを構築します。
また、売上原価対立法による記帳を前提とすれば、在庫管理システムにおいて出荷実績計上に伴う製品払出および売上原価計上もあわせて自動化することにより、出荷に関わる一連の処理を効率化することが可能となります。
執筆者
あずさ監査法人
Digital Innovation部
経理DXチーム