ブラジル:移転価格制度/2023年2月17日のRFB規範指令2,132号

ブラジル連邦歳入庁(以下、RFB)は、2023年2月17日に経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに沿ったモデルの確立を目指した移転価格制度の改革に関するRFB規範指令2,132号を公布しました。

ブラジル連邦歳入庁は移転価格制度の改革に関するRFB規範指令2,132号を公布しました。

当該法令では暫定令1,152号/2022によって導入された新制度に関するいくつかの点が明確化され、ガイダンスも提供されています。

なお、2022年12月29日の暫定令1,152号が一般法として可決されなかった場合(本日時点、下院可決、上院審議中)、移転価格の新制度自体が法的根拠を失うことから、2023年度の任意適用および2024年度の義務化適用も効力を失います。

KPMGブラジルでは、RFB規範指令2,132号の内容について記載したニューズレター(ポルトガル語)を発行しました。

日本語訳は以下になります。

ブラジル連邦歳入庁(以下、RFB)は、2023年2月17日に、経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに沿ったモデルの確立を目指した移転価格制度の改革に関するRFB規範指令2,132号を公布しました。

当該法令では、暫定令1,152号/2022によって導入された新制度におけるいくつかの点が明確化され、ガイダンスも提供されています。

当該法令の主要なポイントとして、次が挙げられます。

新制度の選択に関する期限

2023年度において新制度を任意で選択(2024年は義務化)する納税者は、2023年9月1日から2023年9月30日までにRFBのデジタルサービスセンター(e-CAC)を通じて、規範指令に掲載されている申請書を添付し、申し込む必要があります。2023年9月1日以降に設立された企業、または9月1日以前に閉鎖された企業には特定のルールが適用されます。なお、提出した申請を変更することはできません。

なお、2022年12月29日の暫定令1,152号が一般法として可決されなかった場合、移転価格の新制度自体が法的根拠を失うことから、2023年度の任意適用および2024年度の義務化適用も効力を失います。

法人税(IRPJ)およびCSLLの課税標準の調整に関する期限

納税者の移転価格が独立企業間原則(アームズ・レングス)を反映していない場合、自主的調整または補償的調整を行う必要があります。

  • 自主的調整とは、納税者がIRPJおよびCSLLの課税標準の算定時に直接行う調整を指します。
  • 補償的調整とは、対象となる取引の当事者が、その取引が行われた年の年度末までに行う調整を指します(海外では一般的にyear-end adjustmentと呼称)。

規範指令では当該調整に関する規則を2023年度に限定しており、2023年12月31日までの月次申告において記録を行う必要があります。

補償的調整を行う条件

  • 対象となる取引のブラジル企業および相手方において会計処理されていること。
  • 取引の性質および調整金額を証明する支払手形または受取手形、その他の税務および商業書類に基づいていること。
  • 対象となる取引の相手方の法定代表者による申告書によって証明されていること。申告書には、当該国に所在する企業が行った調整と同額の調整が行われたことが、法定代表者によって証明されている必要があります。

その他の税金に関する課税標準

自主的調整または補償的調整の実施は、製品およびサービスの輸入に課される税金を含めた他の税金の課税標準に対して自動的に影響するものではなく、それぞれの法令に従って算定される必要があります。

ロイヤルティ

当該規範指令では、下記のケースにおいてロイヤルティおよび技術的、科学的、事務的、またそれらに類するサポートが提供または支払われた場合、控除の対象とならないことが再確認されています。

  • 低課税地域に所在する企業または特定の優遇税制を受けている企業(法令9,430号/1996第24条および第24-A条)
  • ロイヤルティの支払いが二重の非課税となった場合

規範指令2,132号/2023は、移転価格制度の変更が間近に迫っていることを示唆するものであり、ブラジルで事業を展開している企業は短期間で変更に備える必要があるといえるでしょう。

なお、上記の日本語訳は一般的な情報の提供を目的に作成しているものであり、正確性を期すために必ず原文をご参照いただきますようお願いします。また、何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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