テクノロジー企業におけるESGへの取組み:サーキュラーエコノミーへの対応
「ESG」はよく耳にするものの、具体的に何から手を付ければよいのでしょうか。本稿では、テクノロジー企業におけるサプライチェーンにおいて、自社の責任範囲が従来の販売までから今後は販売後プロセスまで拡がる、サーキュラーエコノミーへの対応について考察します。
テクノロジー企業におけるサプライチェーンのサーキュラーエコノミーへの対応について考察します。
業界を問わず、ESGへの取組みは今や避けては通れません。ESGというワードはよく耳にするものの、特にこれから本腰を入れて検討を行う企業においては、具体的に何から手を付ければよいのかわからない、という声も聞きます。
本稿では、テクノロジー企業におけるサプライチェーンについて、従来は販売までのプロセスが自社の責任範囲だったところ、これからは販売後のプロセスにも責任を持つことが求められるサーキュラーエコノミーへの対応について、考察します。
ハイライト
本テーマと企業価値との関連性(ESGの重要課題になっている理由)
テクノロジーセクター、特に製造機能を有するテクノロジー企業においては、原材料等の調達の観点からも、製品販売の観点からも、グローバルサプライチェーンは事業の根幹を支える要素です。自社のサプライヤーに関する観点だけでなく、自社自身がサプライヤーになる場合の販売先の維持の観点からも、自社におけるESG経営の実現が重要課題となってきています。
サーキュラーエコノミーへの対応は、いまや事業継続の前提条件であり、これに対応しないことは事業継続におけるリスクとなり、企業価値を大きく毀損することになるでしょう。
これまでのサプライチェーンにおける取組み
日系テクノロジー企業は、グローバルに展開する企業も多く、早い段階からScope1、2の測定、削減といったESGへの取組みが見られました。また、紛争鉱物の排除や、Tier1サプライヤーにも自社のESG規範の遵守を求めることなどは、既に確立されている状態といえます。
しかし、今後は、自社および社会全体のESG対応を推進することが一層求められます。また人権テーマへの対応も求められています。
日本企業が従来「十分対応できている」と認識してきたテーマにおいても、グローバルでの課題設定や対応レベルではどうか、倫理・価値観に関するトレンドに対して十分にキャッチアップできているかといった点で、継続的な自己点検が必要になります。
サプライチェーンにおける新たな取組み:サーキュラーエコノミーへの対応
サプライチェーンにおいては、静脈物流の整備・充実が今後の対応が求められる大きなテーマと考えられます。
ネットゼロの達成を確実なものとし、サステナブルな社会を実現するためには、既存の社会・ビジネスの仕組みを根本から見直し、廃棄物を生み出さない製品・サービスなど、ビジネスモデルの大転換が求められます。即ち、サーキュラーエコノミー化です。これからは、サーキュラーエコノミー対応は避けては通れず、事業継続のための前提条件となります。
他方、テクノロジー企業にとってはビジネスチャンスでもあります。サーキュラーエコノミーのもとでは、サプライチェーン間のトレーサビリティ情報などの共有が一層必要とされており、これらのデジタル化が同時に求められます。原材料情報・製品情報・最終製品情報などに加えて、使用状況、再生原料情報といった情報・データをクラウド上で一元管理する仕組みやサービスなどの開発がテクノロジー企業には期待されています。
テクノロジー企業におけるサーキュラーエコノミーへの対応事例
まとめ
ESG経営にむけたトランスフォーメーションの実現には、経営理念から事業戦略、実行まで、一貫した取組みが求められ、このような取組みをスムーズに行うために、デジタル化が有効な手段となりえます。
テクノロジー企業は、デジタルツールやソリューションを世の中に提供することで、イネーブラーとして他の業界のサーキュラーエコノミーへの対応を支援する立場にあるともいえるでしょう。
執筆者
KPMGジャパン テクノロジー・メディア・通信セクター
KPMGコンサルティング
テクノロジーセクター統轄リーダー アソシエイトパートナー 和田 智
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