増加の兆しを見せる環境アクティビズムの動向と日本企業における留意点
主に日本および米国における企業の環境対応に関する株主提案の事例に焦点を当て、今後、投資家からの要求が強まることが想定される脱炭素化と株主リターンの両立に向けて、日本企業が留意すべき点について考察します。
日本および米国における企業の環境対応に関する株主提案の事例に焦点を当てて、今後、日本企業が留意すべき点について考察します。
米国において2022年のサステナビリティ関連の株主提案件数が過去最多となるなど、企業のサステナビリティ対応に対する投資家の関心は、近年急激な高まりを見せています。日本においても、2020年以降に企業の気候変動対応に対する株主提案が増加しています。従来、日本においては中小規模の企業に対する資本効率改善や株主還元の強化などの株主提案が中心でしたが、最近は大手企業の気候変動対応の取組みに対する提案がみられるようになりました。また、投資家がエンゲージメントを通じて企業に対して脱炭素に向けた取組みを促す動きも増えており、投資家からの脱炭素に向けた要求は、今後ますます強まると考えられます。
本稿では、主に日本および米国における企業の環境対応に関する株主提案の事例に焦点を当て、今後、投資家からの要求が強まることが想定される脱炭素化と株主リターンの両立に向けて、日本企業が留意すべき点について考察します。
ハイライト
Point 1
企業に環境対応の強化を迫る株主提案は、グローバル全体で年々増加している。特に2022年において米国は前年比約2倍の件数となった。2020年以降、日本においても電力、商社、金融機関を中心に、提案件数は増加傾向にある。
Point 2
環境関連の株主提案のテーマは、気候変動リスクへの対応強化が中心である。特に、アクティビストファンドや機関投資家は、環境負荷の高い事業の継続による将来の株主価値の毀損リスクに着目して株主提案を行っている。よって、単なる環境対応では不十分であり、株主へのリターンを伴う低炭素・脱炭素化が求められる。
Point 3
自社の事業ポートフォリオの脱炭素・低炭素化と中長期的なリターンの創出を両立させるためには、気候変動リスク反映後のリターンに基づく事業ポートフォリオ評価の手法やサステナビリティ投資の評価方法を整備することが肝要である。
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
アドバイザリー統轄事業部
サステナビリティ・トランスフォーメーション
マネジャー 加藤 拓也
シニア 吉田 美沙子
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