監査基準の改訂に伴うKAM・「その他の記載内容」に関する実務上の留意点

旬刊経理情報(中央経済社発行)2021年12月20日特別特大号の特集「12月決算の直前対策」に「監査基準の改訂に伴うKAM・「その他の記載内容」に関する実務上の留意点」に関するあずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

旬刊経理情報(中央経済社発行)「12月決算の直前対策」に「監査基準の改訂に伴うKAM・「その他の記載内容」に関する実務上の留意点」に関するあずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

この記事は、「旬刊経理情報2021年12月20日特別特大号」に掲載したものです。発行元である中央経済社の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

ポイント

  • 2021年3月期の事例で得られた教訓を踏まえると、KAMと企業開示の関係に留意したうえで、特に会計上の見積りに関連する財務諸表における注記や財務諸表外における開示のあり方について、会社と監査人の間で十分に協議することが重要と考えられる。
  • 2020年11月に金融庁/企業会計審議会より公表された「監査基準の改訂に関する意見書」では、監査報告書における「その他の記載内容」に係る記載要求が拡充されている。「その他の記載内容」の記載要求の拡充は2022年3月期の監査から適用されるが、2021年12月期監査において早期適用をすることが認められている。
  • 財務諸表における注記情報(会計上の見積りに関する情報を含む)や有価証券報告書における財務諸表外の開示の作成にあたっては、企業が開示していない情報がKAMの記載において不適切に記載されたり、企業の開示情報とKAMの記載とが一貫していないといった事態にならないよう、監査人と事前に十分に協議することが望まれる。

 

1.はじめに

2021年12月期決算および監査にあたっては、新たに適用となる監査の基準がある。特に、2018年7月に金融庁/企業会計審議会より公表された「監査基準の改訂に関する意見書」において導入された監査報告書における「監査上の主要な検討事項」(以下、「KAM」という)の記載は、2021年3月期決算に係る監査から強制適用になっているものの、12月期決算に係る監査では2021年12月期の監査が初めての適用となる。

また、2020年11月に金融庁/企業会計審議会より公表された「監査基準の改訂に関する意見書」では、リスク・アプローチが強化されると同時に、監査報告書における「その他の記載内容」に係る記載要求が拡充されている。当該「その他の記載内容」に係る記載要求の拡充は、2022年3月期の監査から強制適用されるが、2021年12月期の監査において早期適用をすることも認められている。

本章では、これらを踏まえ、2021年12月期決算および監査において留意すべき監査基準等の改訂に伴う監査報告書の変更に関するポイントとして、KAMおよび「その他の記載内容」に関する記載について解説する。

なお、KAMの記載については、2021年3月期監査を踏まえて多くのKAMの記載事例が出ているほか、事例を踏まえた分析も公表されている。このため、KAMについては、まず制度内容を確認したうえで、事例や分析のなかで2021年12月期決算企業に係る監査や企業の開示実務において参考となる可能性がある点について紹介し、留意すべき事項について説明する。なお、本文中の意見に関する部分は筆者の私見であることを申し添える。

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2.監査報告書におけるKAMの記載

(1)KAMの記載要求が導入された背景

従来の監査報告書は、いわゆる短文式監査報告書として作成されていた。短文式監査報告書は、記載文言を標準化して監査人の意見を簡潔明瞭に記載することで、監査報告書において最も重要である監査意見を明瞭に伝達できるという長所を有していた。他方で、短文式監査報告書においては監査意見に至る監査のプロセスに関する情報が十分に提供されないことから、監査の内容がみえにくいとの指摘がされてきた。

また、国際的には、主に世界的な金融危機を契機に、監査の信頼性を確保するための取 組みの1つとして、監査意見を簡潔明瞭に記載する枠組みは基本的に維持しつつ、 監査プロセスの透明性を向上させることを目的として、監査人が当年度の財務諸表の監査において特に重要であると判断した事項を監査報告書に記載するよう、監査基準の改訂が行われていた。

2021年3月期から導入されている監査報告書におけるKAMの記載要求は、こうした点を踏まえて導入されたものである。

(2)KAMに該当する監査上の検討事項

KAMは、監査人が当年度の財務諸表の監査において特に重要であると判断した事項をいう。監査人は、監査の過程で監査役等と協議した事項のなかから、1.特別な検討を必要とするリスクが識別された事項または重要な虚偽表示のリスクが高いと評価された事項、2.見積りの不確実性が高いと識別された事項を含め、経営者の重要な判断を伴う事項に対する監査人の判断の程度、および 3.当年度において発生した重要な事象または取引が監査に与える影響等を考慮して「特に注意を払った事項」を決定するとともに、そのなかからKAMに該当するものを決定することが要求されている。

この点、近年、財務諸表の作成において会計上の見積りが必要な領域が増加しているほか、見積りの主観性や不確実性も増している。このため、多くの監査において、会計上の見積りに関する事項(例:固定資産グループについて減損損失を計上すべきかどうかの判断)がKAMとなる事例が多いことが想定されていた。

また、KAMの記載には、その導入の経緯から、図表1のような効果が期待されている。

図表1 KAMの記載導入により期待される効果

  • 財務諸表利用者に対して、監査のプロセスに関する情報が監査の品質を評価する新たな検討材料として提供されることで、監査の信頼性向上に資すること
  • 財務諸表利用者の監査や財務諸表に対する理解が深まるとともに、企業経営者との対話が促進されること
  • 監査人と監査役、監査役会、監査等委員会または監査委員会(以下、「監査役等」という)の間のコミュニケーションや、監査人と経営者の間の議論のさらなる充実を通じ、コーポレート・ガバナンスの強化や、監査の過程で識別したさまざまなリスクに関する認識が共有されることによる効果的な監査の実施につながること

3.2021年3月期におけるKAMの記載事例

2021年3月期におけるKAMの事例については、公認会計士協会(以下、「JICPA」という)から青山学院大学大学院 蟹江章教授により組成された分析チームよる「『監査上の主要な検討事項』の強制適用初年度(2021年3月期)事例分析レポート」(以下、「KAM事例分析レポート(2021)」という)が公表されている。このため、次より、KAM事例分析レポート(2021)における記載を参照しながら、2021年3月期におけるKAMの記載事例について紹介する。

(1)KAMの数

2020年3月期を中心としたKAMの早期適用事例では、連結財務諸表に対する監査報告書において記載されたKAMの数はおおむね2.2個程度であり、4個であった事例が1つ、5個であった事例が1つあったほかはほとんどの事例で1個から3個であった(参照先:JICPA監査基準委員会研究資料1号 「『監査上の主要な検討事項』の早期適用事例分析レポート」)。しかし、早期適用事例は数が50社程度と極めて限定的であったことから、2021年3月期監査における事例では、もう少し数にバラつきが生じることも予想された。また、早期適用事例は、全体として開示に前向きな企業が母集団となり、IFRS®基準や米国会計基準の適用企業に係る事例が多かったため、強制適用事例では、会計基準別に相当な差が生じるかどうかについても注目された。この点、KAM事例分析レポート(2021)では、図表2のような報告がされている。

図表2 会計基準別のKAMの個数(連結財務諸表に対する監査報告書のKAMを対象)

KAMの個数 日本基準 IFRS基準 米国会計基準 合計
0 2 - - 2
1 1,423 68 3 1,494
2 460 59 5 524
3 53 16 - 69
4 6 4 2 12
5 1 - - 1
会社数 1,945 147 10 2,102
KAMの総数 2,531 250 21 2,802
1社あたりの平均個数 1.3 1.7 2.1 1.3

出所:KAM事例分析レポート(2021)の図表4を筆者が一部修正して作成

図表2を踏まえると、次のような示唆が得られる。

  • 強制適用年度のKAMの平均個数(1.3個)は、早期適用事例の平均個数(2.2個)と比較すると少なかった。当該個数は、アジア各国の個数と比較すると大きく相違しないが、例えば英国の事例(図表3参照)と比較するとやや少ない。
  • 日本基準適用会社に係るKAMは、IFRS基準や米国会計基準におけるKAMと比較すると、全体として個数が少なかったほか、KAMが1個である割合(73%)がIFRS基準適用企業に係る事例(46%)や米国基準適用企業に係る事例(30%)と比較して高かった。
  • KAMの最大個数は5個であり、英国の事例(図表3参照)で報告されていた7個や8個という事例はなかった。
  • 連結財務諸表に対する監査報告書におけるKAMにおいても、KAMを「なし」としている事例が2つあった。これは、適用以前の想定とは異なる可能性がある。

図表3 英国における適用2年目におけるKAMの数

項目 Deloitte   EY KPMG PwC その他
最大個数 8 8 7 8 6
最少個数 2 1 1 1 2
FTSE350における平均 4.1 3.9 3.1 4.4 3.6
FTSE100における平均 4.5 4.3 3.8 5.3 5.0
FTSE250における平均 4.0 3.7 2.8 3.7 3.4

出所:Extended auditor’s reports A further review of experience(2016年1月、FRC)の
Table 7:Number of reported risks of misstatementを筆者が一部修正して作成


以上を踏まえると、2021年12月期の監査業務においては、連結財務諸表に対する監査報告書では最低1個はKAMが報告されることを想定し、対応を考える必要がある。

(2)KAMと決定した項目

「KAM事例分析レポート(2021)」の図表5によると、2021年3月期の連結財務諸表に対する監査報告書にKAMとして報告された項目(上位5つ)は、次のとおりである。

  • 固定資産の評価(1,100事例)
  • 収益認識(567事例)
  • 繰延税金資産の評価(351事例)
  • 棚卸資産の評価(235事例)
  • 営業債権の評価(貸倒引当金の見積り)(154事例)


前記を踏まえると、会計上の見積りに関連するものがKAMとして取り上げられる可能性が高いという推定のもと、会計上の見積りに関連するKAMの記載や関連する事項について検討を進めていくべきと考えられる。ただし、2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、全般的に将来の業績が不透明であり、将来の事業計画に基づく会計上の見積りに不確実性が増していたことも一因であるという可能性も考えられる。

(3)KAMと決定した理由

「KAM事例分析レポート(2021)」の図表6によると、2021年3月期において、連結財務諸表に対する監査報告書にKAMとして決定した理由(上位4つ)は、次のとおりである。

  • 不確実性または経営者の判断の程度が高いこと
  • 重要性について議論になっていること
  • 複雑性が高いこと
  • 専門的な知識や技能が必要であること


他方、わずかながらも、通例でない取引である旨、監査証拠の入手が困難である旨とともに、内部統制の不備が識別された旨がKAMの決定理由として示されていた事例もあった。

4.KAMの記載に伴う企業における留意点

2021年3月期における事例を踏まえると、企業においてKAMの記載に関して次の点に留意しておくことが望ましいと考えられる。

(1)KAMとして決定する項目に関連する企業開示

ある事象がKAMのテーマとして選定されているかどうかによって、当該事象に関する会計処理に相違は生じない。しかし、KAMに該当する項目の性質によっては、KAMの記載が財務諸表注記や有価証券報告書における財務諸表外の開示と関連する場合がある。また、いわゆる未公表情報がKAMとして監査報告書において不適切に記載されないよう、企業による追加の情報開示の必要性について検討する必要がある場合がある。

次より、この点について具体的に記載する。

1.開示されている項目の内訳に関する開示
KAMに該当すると判断された項目については、監査報告書のなかでその対象となった取引の金額や勘定残高を記載することが奨励されている。これまではこのように対象を絞り込んだ金額を開示していなかったケースも多いと考えられる。この場合、KAMの記載とあわせて注記の拡充について検討することが考えられる。

たとえば、のれんの評価について、これまでグループ全体ののれんの残高や、セグメントごとののれんの残高については開示されていることはあっても、特定の買収先の企業に係る資産グループレベルの残高までは内訳として開示されていないことが多いと考えられる。このような場合、KAMとして、「固定資産の減損に関する会計基準」に規定される減損の兆候があるのれんにのみ焦点を当てているときには、監査報告書においてKAMの対象となった減損の兆候があるのれんの残高を記載すべきと判断することがある。

2.会計上の見積りに関する注記
2021年3月期から、企業会計基準31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下、「本会計基準」という)が適用されている。本会計基準では、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目を識別し、次の内容を財務諸表に注記することとされている(本会計基準7項)。

  • 当年度の財務諸表に計上した金額
  • 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資する情報


会計上の見積りに関する注記においては、当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定が、前述の「会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報」として開示されることが例示されている(本会計基準8項(2))。

固定資産の減損損失の要否の検討がKAMに該当する場合、KAMの選定理由とそれに対する監査上の対応において、主要な仮定について言及されることが多い。このため、注記とKAMの記載で齟齬が生じないように、記載の内容について監査人との事前の十分な協議が必要となる場合がある。

3.有価証券報告書の財務諸表外における開示
有価証券報告書の「事業等のリスク」や「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における記載にあたっては、会計上の見積りに関連する不確実性に起因する事業等のリスクや当該リスクを踏まえた不確実性の程度や仮定の内容、および当該リスクを踏まえた経営成績等に生じる影響などを記載することが必要な場合がある。図表4は、企業内容等の開示に係る内閣府令(第二号様式)から関連する部分を抜粋したものである。

図表4 有報の財務諸表外における開示の留意点

(31)事業等のリスク
a 届出書(報告書)に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下aおよび(32)において「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク(連結会社の経営成績等の状況の異常な変動、特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生、役員・大株主・関係会社等に関する重要事項等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をいう。以下aにおいて同じ。)について、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容、当該リスクへの対応策を記載するなど、具体的に記載すること。記載に当たっては、リスクの重要性や経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して、わかりやすく記載すること。
(32)経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
a 届出書(報告書)に記載した事業の状況、経理の状況等に関して投資者が適正な判断を行うことができるよう経営成績等の状況の概要を記載した上で、経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容を、具体的に、かつ、分かりやすく記載すること。なお、経営成績等の状況の概要には次の(a)から(d)までに掲げる事項を、経営者の視点による経営者等の状況に関する分析・検討内容には次に(e)から(g)までに掲げる事項を含めて記載すること。
(a)~(f)略
(g)連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積りおよび当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響など、「第5経理の状況」に記載した会計方針を補足する情報を記載すること。ただし、記載すべき事項の全部又は一部を「第5 経理の状況」の注記において記載した場合には、その旨を記載することによって、当該注記において記載した事項の記載を省略することができる。

出所:企業内容等の開示に関する内閣府令(第二号様式)から抜粋したうえで、筆者が太字・下線を追記する等、一部修正
 

有価証券報告書においてこうした開示を行う場合、当該開示内容、財務諸表における会計上の見積りに関する注記内容、KAMとして記載される内容とが一貫している必要がある。

他方、有価証券報告書の「経理の状況」以外の項目は、決算を担当する部署ではない部署(例:法務部、IR部、広報部、経営企画部)が草案を作成することが多いものと考えられ、日常的に監査人とのコミュニケーションをとっていないことも多い。このため、これらの記載内容について一貫性を確保するためにも、従来以上に、企業と監査人との事前の連携が重要になると考えられる。

(2)監査役監査報告書

公益社団法人日本監査役協会(監査法規委員会/会計委員会)から、2021年2月26日に公表された「監査上の主要な検討事項(KAM)及びコロナ禍における実務の変化等を踏まえた監査役等の監査報告の記載について」では、監査役等の監査報告書においてKAMに関する記載を追加する必要はないが、説明責任を果たす観点から言及することはあり得るとされている。この点、2021年3月期においても、監査役等の監査報告書において、KAMについて「会計監査人と協議を行うとともに、その監査の実施状況について報告を受け、必要に応じて説明を求めた」旨の記載が行われている事例がある。

5.その他の記載内容

2020年11月に、金融庁/企業会計審議会から、「監査基準の改訂」が公表されており、監査報告書における「その他の記載内容」の記載要求が拡充されている。当該記載要求の拡充は、早期適用は認められているものの、2022年3月期の監査から適用されるものである。2021年3月期の監査では早期適用した事例は1事例しかなかった。このため、2021年12月期の監査でも早期適用される事例はほとんどないものと考えられる。

ただし、仮に早期適用を実施する場合、監査人は、意見不表明である場合を除き、監査報告書に「その他の記載内容」の区分を設け、図表5を記載する必要がある。

図表5

  • 「その他の記載内容」の範囲
  • 「その他の記載内容」に対する経営者および監査役等の責任
  • 「その他の記載内容」に対して監査人は意見を表明するものではない旨
  • 「その他の記載内容」に対する監査人の責任
  • 「その他の記載内容」について監査人が報告すべき事項の有無、報告すべき事項がある場合はその内容

監査報告書における「その他の記載内容」に関する記載要求の拡充は、通読・検討義務の拡充とセットで導入されている。この点、諸外国の事例を調査した限りにおいて、「その他の記載内容」について監査人が報告すべき事項があるとして報告した事例はほとんどなかったようである。

しかし、これは新基準の適用が企業の開示や監査に関する実務に影響がないことを意味するのではなく、通読・検討義務を十分かつ適切に実施することが前提となる。このため、仮に「その他の記載内容」に関する記載要求について早期適用をする場合、最近における非財務情報の拡充の動きを考慮したうえで、通読・検討のあり方について監査人と十分に協議し、対応の方法についてすり合わせを進める必要がある。

6.おわりに

本章では、主に2021年3月期におけるKAMの記載事例等を踏まえ、2021年12月期決算会社に係る監査や企業の開示実務において参考となる可能性がある点について紹介し、留意すべき事項について説明した。本章が円滑な決算や監査の実施の一助となれば幸いである。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
パートナー 公認会計士
関口 智和(せきぐち ともかず)

シニアマネジャー 公認会計士
阿部 祐基(あべ ゆうき)

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