ASBJ、改正実務対応報告40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」を公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は、2022年3月17日、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(以下「本実務対応報告」という)を公表しました。
企業会計基準委員会(ASBJ)は、2022年3月17日、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(以下「本実務対応報告」という)を公表しました。
企業会計基準委員会(ASBJ)は、2022年3月17日、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(以下「本実務対応報告」という)を公表しました。本実務対応報告では、金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間の1年間の延長や、金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理の趣旨の明確化等が追加されています。
ハイライト
1.本実務対応報告の公表の経緯
2020年9月29日に公表された実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(以下、「2020年実務対応報告」という)では、金利指標の選択に関する実務や企業のヘッジ行動について不確実な点が多いため、公表から約1年後に金利指標置換後の取扱いについて再度確認する予定であるとしていました。
その経緯を踏まえ、また、米ドル建LIBORの一部ターム物についての公表停止時期が2023年6月末に延期されたことや、2020年実務対応報告公表以後に寄せられた意見を受け、ASBJは金利指標置換後の取扱いの再確認についての審議を2021年10月より開始し、2021年12月に公開草案を公表して意見を求め、寄せられた意見を踏まえて検討したうえで本実務対応報告を公表しました。
2.本実務対応報告の主な内容
金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間の延長
金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理の取扱い
金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理の趣旨の明確化
金利指標置換後に金利スワップの特例処理に係る要件(金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定であるという要件を除く)が満たされている場合には、2024年3月31日以前に終了する事業年度の翌事業年度の期首以降も金利スワップの特例処理の適用を継続することができることを明確化しています。
金利指標置換後の取扱いの再確認の過程では、金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後の会計処理について、趣旨を明確化すべきという意見が聞かれました。多様な解釈が生じることで、実務に意図しない影響を及ぼすことが考えられるため、2020年実務対応報告の開発時の考え方を明確化したものです。
金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間を1年延長した場合の取扱い
金利指標置換時が2024年3月31日以前に終了する事業年度の期末日までに到来していない場合であっても、2024年3月31日以前に終了する事業年度までに行われた契約条件の変更又は契約の切替が金利スワップの特例処理に係る要件(金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定であるという要件を除く)を満たしているときは、2024年3月31日以前に終了する事業年度の期末日後に到来する金利指標置換時以後も金利スワップの特例処理を継続することができるとしています。
なお、外貨建会計処理基準等における振当処理に関する取扱いについても、金利スワップの特例処理に関する取扱いを適用することができるとしています。
適用時期
本実務対応報告は、公表日以後適用することができるとしています。
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
マネジャー 松村 和宏