棚卸資産の販売に要するコスト(IAS第2号に関連)- IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース- 「棚卸資産の販売に要するコスト(IAS第2号に関連)」については、2021年6月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新しています。

「棚卸資産の販売に要するコスト(IAS第2号に関連)」については、2021年6月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新しています。

関連基準

IAS第2号「棚卸資産」

概要

IAS第2号は「棚卸資産は、原価と正味実現可能価額とのいずれか低い方の金額で測定しなければならない」としています。ここで、正味実現可能価額は、「通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額」と定義されています(IAS2.6)が、「販売に要するコストの見積額」に、販売に要するすべての費用が含まれるのか、それとも販売に係る増分費用のみが含まれるのかが議論になりました。

ステータス

IFRS-ICの決定(2021年6月)

IFRS-ICは、2021年6月のIFRS-IC会議で、棚卸資産の正味実現可能価額を決定する際に、IAS第2号が企業に販売に要するコストを見積もることを要求していることに留意しました。この要求は、企業が販売に要するコストを見積もる際に、販売に係る費用のみに限定することを特段許容しているわけではありません。また、棚卸資産を正味実現可能価額まで評価減するのは「販売又は利用によって実現すると見込まれる額を超えて」棚卸資産が計上されないようにするため(IAS2.28)とされており、販売に要するコストを販売に係る増分費用のみに限定するとその目的が達成されない可能性があります。そのため、IFRS-ICは、棚卸資産の正味実現可能価額を決定する際に、企業は通常の事業活動の過程で販売に要するコストを見積もると結論付けました。具体的にどのような費用がこの範疇に含まれるのかは判断の問題であり、棚卸資産の性質を含む特定の事実及び状況を考慮する必要があります。

IFRS-ICは、2021年6月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS®基準の原則及び要求事項が、正味実現可能価額の決定に際して考慮する「販売に要するコスト」が増分費用に限定されるか否かに関する十分な判断の基礎を示していると判断し、上記に関する基準設定プロジェクトを作業計画に追加しないことを決定しました。当該アジェンダ決定は、2021年6月のIASB審議会で議論され、反対がなかったため、2021年6月に公表されました。

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