ASBJ、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」等を公表
ポイント解説速報 - ASBJは、2021年1月28日、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」等を公表しました。
ASBJは、2021年1月28日、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」等を公表しました。
Article Posted date
05 February 2021
2019年12月に成立した「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正法」という)により、「会社法」(平成17年法律第86号)第202条の2において、金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社が、取締役等の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないことが新たに定められました。これを受けて、ASBJは、取締役等の報酬等として金銭の払込み等を要しないで株式の発行等をする場合における会計処理及び開示について審議を行い、本実務対応報告、改正企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」を公表しました。
なお、改正法を踏まえ、2020年11月27日付で「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年法務省令第52号)が公布されて、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)が改正されており、取締役等の報酬として金銭の払込み等を要しないで株式を発行する場合に増加する資本金の額等について定める規定が新設されています。
ポイント
適用範囲
- 会社法第202条の2に基づく、取締役の報酬等として株式を無償交付する取引を対象とする。
会計処理
- 対象となる取引には、事前交付型と事後交付型が想定される。
- 費用の認識や測定については、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下「ストック・オプション会計基準」という)の定めに準じることとしている。
- 一方、株式が交付されるタイミングが異なる点や、事前交付型において、株式の交付の後に企業が株式を無償で取得する点については、取引の形態ごとに異なる取扱いを定めている。
- 事後交付型における報酬費用の相手勘定として、株式引受権が新たに設定されている。新株予約権と同様、純資産の部の株主資本以外の項目として計上される。
開示
- ストック・オプション会計基準及び企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(以下「ストック・オプション適用指針」という)における注記事項を基礎とし、ストック・オプションと事前交付型、事後交付型とのプロセスの違いを考慮して、注記項目を定めている。
- 注記事項の具体的な内容や記載方法等については、ストック・オプション適用指針の定めに準じて行う。
- 1株当たり情報の算定にあたっての取扱いを定めている。
適用時期等
- 改正法の施行日である2021年3月1日以後に生じた取引から適用する。
PDFの内容
I. 実務対応報告案の概要
- 適用範囲
- 会計処理の基本的な考え方
- 事前交付型の会計処理
- 事後交付型の会計処理
- その他の会計処理
- 開示
II. 適用時期等
参考情報へのリンク(外部サイト)
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニアマネジャー 玉栁 卓也