テクノロジーの融合が半導体企業にもたらす成長機会 - 5G、IoT、AI、および自動車向けの用途による成長の牽引
KPMGが毎年実施する『グローバル半導体業界調査』の第15回調査結果を取りまとめたレポートのパート2(全3レポート)です。
KPMGが毎年実施する『グローバル半導体業界調査』の第15回調査結果を取りまとめたレポートのパート2(全3レポート)です。
半導体は、近代における最大の発明と言えます。半導体は今日のハイテクかつハイパーコネクティッドな(あらゆるものがつながる)世界の中核的な構成要素であり、ビジネスや社会のほぼすべての側面が半導体の確かなエコシステムに依拠しています。
今回の『グローバル半導体業界調査』において、不可欠な産業となった半導体業界の未来について調査を実施しました。パート2の本報告書では、半導体について最も成長が見込まれる製品と末端市場を重点的に扱うほか、主要セクターや用途の成長を鈍化させる障壁、および基準・規制が成長拡大に果たす役割について調査を行いました。調査結果をもとに、半導体業界の最大の成長機会について考察しています。
ポイント
- 革新的な方法によるテクノロジーの融合および相互作用により、半導体業界に新しい機会と事業モデルが創出される。
- デバイスやシステムを同期させるソフトウェアや、データを選別して取り出す新たな分析ツールは、収益源の多様化を目指す半導体企業に新たな機会を提供する。
- 新技術に関する世界共通の規格と規制が制定されれば、製品の製造工程が効率化され、半導体企業はその恩恵を享受することができる。
- 5G、IoT、自動運転車関連の規格が、半導体企業にとって最も利益をもたらすと予想される。
- 半導体企業には多種多様な製品の需要があり、さまざまなノードサイズがいまだに製造されている。
テクノロジーコンバージェンス(技術融合)による成長の加速
調査結果によると、半導体企業のエグゼクティブは、5Gを含む無線通信、モノのインターネット(IoT)、自動車が、業界の将来に収益をもたらす最も有望な用途であると考えています。これらのテクノロジーはその発展に従い、単一のシステムやデバイスに融合されることが見込まれています。中でも5Gは、2年以内に半導体業界の収益成長の主要なドライバーになると予想されます。5Gの台頭は自動運転車などの5Gテクノロジーに依拠する新たなIoTの用途を増加させると考えられ、3Gと4Gがスマートフォンにデータ機能をもたらしたように、5Gによって消費者と企業がさらに高機能なデバイスを利用できるようになるでしょう。5Gネットワークの開発と展開は前途有望な分野の発展に不可欠であることから、より高性能な半導体に対する需要が急騰する可能性も内在しています。
規格がもたらす成長
半導体業界のエグゼクティブが半導体の需要により新技術の出現の増加を確信する一方で、新技術の開発・運用に関する規格や規制の不備が最も大きな障害の1つとなっています。
半導体企業の自社製品の製造はメーカーの仕様書に依拠しています。しかし通常、新技術の用途は確立されておらず、その内容や情報も絶えず変化しています。そこでメーカーは新技術の適用に投資するものの、規格制定後にどのような製品が認可され実用に至るか判明するまでは、慎重に事を進めなければなりません。またコンプライアンス違反に該当する可能性のある部品の大量発注には重大なリスクが伴うため、ほとんどのメーカーはそれを回避しようとします。すなわち規格と規制が制定されれば、新しい市場が開拓され、その市場に特化した半導体への需要が高まるのです。そのため半導体業界のリーダーは、半導体産業における5G、IoT、自動運転車の3つの分野が成長するには、世界共通の規格・規制の設定が最も重要であると考えています。
さまざまなノードサイズの需要が継続
本調査の結果から、自社の半導体製品の設計にさまざまなテクノロジーノードを採用していることも判明しました。半導体企業には単純なセンサーから高度なAIチップに至る多種多様な製品の需要があり、さまざまなノードサイズがいまだに利用されているため、大手半導体企業がすべてのノードサイズの半導体を製造している場合が少なくないのも不思議ではありません。